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オーロラ夜咄 / VOL DE NUIT

ーばあちゃん、旅に出ようー

日本画コース キャンベル 成美 (Narumi Campbell)

120.0 x 120.0 cm (組み作品)
紙本/岩絵具、水干絵具、墨、胡粉、雲母、チタンホワイト、膠、金泥、金箔、ベビーパウダー、雲肌麻紙、装丁用クロス、厚紙、ベニヤ板、PVA糊

極光とも呼ばれるオーロラに、心惹かれている。この世界にある何よりも。

 私はその色に魅せられ、様々な土地を旅している。オーロラと北の大地が形作る柔らかな空間は、私にとって、永遠に循環する安堵感を得られるような唯一無二の居場所なのだ。高緯度のオーロラは頭上に現れる。初めは、小さな線だった色が一瞬のうちに夜空一面に広がる。天と大地が、自分を媒介に繋がる瞬間である。

 2024年秋、祖母が101年の生を全うした夜、私が暮らすアイルランドの空にオーロラが現れた。私はその柔らかな光の中に、祖母を見た。それは、祖母の旅立ちを祝福する来迎だったのかもしれない。私は、この光に包まれて昇天できるなら、その瞬間まで精一杯この時間を生き、大切な人に笑顔で再会したいという、倶会一処の願いを抱いた。

 毎夜、弟と私に本を読んでくれた祖母は、その話がどこから来たのかも教えてくれた。それはまるで、3人で世界旅行をしているかのような楽しい時間だった。
 その祖母が亡くなる1年前、夫と私に、旅がしたいが歳をとるとできなくなるのが悔しいと、声を絞り出して言ったのだ。彼女を抱きしめるほかできなかった私は、オーロラを祖母に見立て、作品を通じて世界へ連れ出すことにした。

 アイルランドに居ながら日本画を学んだ2年間は、私にとって不可能への挑戦でもあった。しかしながら刻々と変化する色光を表現するには、岩絵具の特性上、視覚混合による偶発的混色が起こる日本画が最適だった。この卒業制作にはオーロラそのもののほかに、象徴としての伝統的流水紋や、本質が類似する彩雲やシャボン玉を用いて表現の幅を広げた。
 ヨーロッパの伝統的技術のブックバインディングを用いた表装は、自分がいる場所でできることを追求した結果である。装丁に用いた色は新橋色に近いターコイズブルーであり、ヨーロッパではこの色と金の組み合わせをよく見かける。私はその色彩に空を感じた。
 
 自身の創作テーマである三要素「自然、色、人間」を紡ぎ、オーロラと祖母というテーマに織り込んだものを、ヨーロッパの空の色で包んだ作品が、この《オーロラ夜咄 / VOL DE NUIT》である。

Björkliden, SWEDEN
Rovaniemi, FINLAND
Bakkejord, NORWAY
Rome, ITALY
In Loving Memory of Kikue Omori, 1923 - 2024
Paris, FRANCE
London, ENGLAND
Isle of Harris, SCOTLAND
Kyoto, JAPAN

キャンベル 成美 Narumi Campbell

日本画コース

CONTACT

岡山生まれ、京都暮らし、少しスコットランド、今はアイルランド


母方のアヴァンギャルドな職人集団の大家族に育つ
美大でデザインを学び、学芸員課程修了
日本画家宇治田純子氏に師事

本、苺、旅、北極、保育の仕事、夫のアクセル、彼の音楽とオーロラを待つ時間が好き

Born in Okayama, lived in Kyoto, Scotland, and now in Ireland.

Raised in artisan families of my mother’s.

Studied design, curation at art universities, also study under Japanese painter Junko Ujita.

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