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祭り・信仰と祈り

東北の四季

写真コース 市川 政明

A3ノビ
PICTORICO PRO Semi-Gloss Paper

かつて人々は地上にもたらされる厄災は、神々の怒りであるとして恐れ、畏怖をするとともに、獲れた獲物や収穫されたものは神々からの贈り物として、喜びを分かち合い、感謝した。人の営みは自然の力の影響を受けやすく、とても不安定なものだった。そうした自然の脅威に立ち向かい、豊かな恵みや家族の安寧を神々に祈り、願い、感謝したであろう、そのため、自然や命を畏敬する呪術や祭りごとは大変重要であったはずである、そうした人々の営々と築いてきた営みを表現してみようと試みた。

今まで撮り溜めてきたものの他に追加取材をしたものを加え、更には一つの祭りに捉われることなく、幅広い題材から主題になり得るような内容を掬い上げ、祭りだけでなく東北の四季の移ろいを伝えてみようと試みてみた。
秋田県鹿角市で例年8月19日から20日の二日間に渡り夜を徹して行われる「花輪ばやし」の屋台行事を取材したものを中心に(2020年から2022年の3年間、新型コロナウイルス感染症防止対策で、祭り自体が中止となっている為、その前後4年間のものになる)再構成したものと、同市内に伝わる民俗芸能(大日堂舞楽は約1,300年の歴史を持つ県内最古の舞楽、集落の人達によって継承されてきた、厳かな神事の舞は、正に「神々の舞い」と呼ぶに相応しい伝統行事である。)や、毛馬内盆踊りのお囃子(大の坂甚句)など四季を通じて、地域に根ざした人々の想いや祈り・風習と言ったものや、国の安寧や五穀豊穣を願う祭祀などを取材するとともに、季節の移ろいが感じられる作品構成を考えた、全体として一年の大きな流れとして記録を試みた。

 作品は、祭りの熱気をそのままに伝えられるよう、ストロボなどの補助光はできるだけ使用せず、現場の照明だけで撮影しており、神事の部分では撮影許可が降りなかったりした部分もあるのだが、屋台同士、お囃子の饗宴など祭りの熱気が伝えられればと思い作画している。また、必要に応じてストロボを使用できる場面では積極的に使用して、東北の四季の歳時記と言った体裁に仕上げられるよう試みた。

曙光 正月2日の晴れの日に

秋田県鹿角市に伝わる大日堂舞楽は、大日堂再興のため遣わされた名僧行基と共に下向した楽人の舞が起源とされ、1,300年の歴史を誇り、その年の国土の平安などの祈りを込めて、毎年正月二日に奉納される

奉納される舞は、神子舞(みこまい)・神名手舞(かなてまい)・本舞と呼ばれる七つの舞が四つの集落により奉納される。これはその内の「鳥の舞」である

総重量10tを超える屋台は、方向変換も大変である、障害物を避けて一気に回すのも祭りの醍醐味である

 夕方5時半、花輪地区の総鎮守である幸稲荷神社(さきわいいなりじんじゃ)で祭り開始の挨拶が行われる10町内の外交部達による最初の「さんさ」が交わされ、いよいよ屋台の出発となる

日中30℃を超える中、子供もお疲れです。

毛馬内盆踊」は北国の風情薫るこもせ(雪除けの為の庇・アーケード)の街並みで、秋田県三大盆踊りにも数えられ、江戸中期から今に至るまで、特徴的な装束や所作を継承しており、国重要無形文化財にも指定されている

大太鼓と笛の伴奏により踊る「大の坂」と、唄のみでおどる「甚句」の2つで構成され、どちらも篝火を囲んで長円になり常に内側を向いてゆったりと優雅に踊る

祭りが終わると、豊饒の海が待っている

また厳しい冬がやってくる

市川 政明

写真コース

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