
『風の谷のナウシカ』は10代の頃から、ずっと傍に置いていた漫画でした。明快な答えないために何度読み直したか分かりません。しかし、年を取るごとに新しい気づきを与えてくれました。卒業制作まで辿り着けたら、題材にしたいと漠然と考えていました。
その矢先のコロナ禍でした。衝撃的だったのは、人間関係のバランスが一気に崩れてしまったことです。「まるで戦時中やな」と体験者から聞いた時、歴史的な厄災の中に放り込まれたのだと感じました。
パンデミックとナウシカを、果たして結びつけることができるかが最大の不安でした。新聞紙上で「コロナ下で読むナウシカ」を見つけた時は感激しました。しかし、その意見に引っ張られ、今ひとつ独自性を出せなかったのが心残りです。二人のナウシカは、奇しくも正反対の人生を歩むことになりました。まだ知らない人は、両作品とも是非鑑賞してほしいと思います。
現実の友人とは今も会えないままですが、この一年、旧友とたっぷりと対話をしてきました。友の新しい一面を知ることが出来たのは、パンデミックの経験だけではなく、この3年間の学びがあったからだと思います。それを支えてくださった先生方、受講生の皆さんに感謝申し上げます。