
デザイン科 - ランドスケープデザインコース
樋口愛
ROKKO ~山、海から還る~
「ROKKO ―山、海から還る―」
神戸を象徴する六甲山と、その六甲山を削ってつくられた埋立地をつなぐ風景を作り出すことを目的とした作品です。
六甲山にちなんで六角形の巣の形をもつミツバチが六甲山と埋立地を周遊して、分断された山(の土砂が)が海から還るようにつなぎます。
神戸は山を削った土砂で海が埋め立てられ、戦後「山、海へいく」というプロジェクト名で都市開発を進め、街を大きくしてきました。
その高度成長期の神戸の夢を支えたのが、大量の土砂を運ぶ長大なベルトコンベアーです。
全部で3つ作られたベルトコンベアーですが、最初に建設されたのが阪急六甲駅の近くにある「鶴甲ベルトコンベアー」です。
山から海岸まで地下トンネルを掘り、ベルトコンベヤーでつなぎ埋め立て工事を支えました。このベルトコンベアーの歴史になぞらえて今回の着想に思い至りました。
ミツバチが、蜜源植物を探すために移動する範囲は、巣から半径約2~3kmほどとされていますが、六甲駅から海までは約2キロとなっています。それぞれの拠点は六甲山のふもとから阪急六甲駅、六甲風の郷公園、六甲道南公園、新在家南公園、灘浜緑地の5箇所としました。
今回は利用されていない阪急六甲駅の屋上と壁面を使って公園をつくりました。
メインコンセプトは、自然にやさしく、心安らぐ公園を屋上にもつ駅づくり、
そして六甲山で毎年行われているアートイベントの六甲ミーツ・アートとの融合を考え
六甲山の玄関口にふさわしい場所を作ることです。
朝には散歩を楽しんだり、昼間は小さい子供も連れた親子連れや地域の交流の場であったり、夕方は学校や会社帰りの学生や社会人の人たちがほっと一息をつくことのできる場所としての利用を想定しています。
そして休日は地域の人々だけでなく、登山者や観光客たちが待ち合わせやバスの待ち時間を楽しめる場所にもなれば、と考えています。
六甲駅が話題性を持ち、プロジェクトを広く知ってもらうために、阪急六甲駅南側の「六甲やはた神社」との緑のつながりを意識して六甲にちなんだ六角形が特徴的な壁面緑化にしました。坂の上や六甲山から見下ろした時にも緑が繋がっているようにみえることを期待しています。