
デザイン科 - グラフィックデザインコース
田畑智子
思い出の新しいカタチ
ー父の人生をミニチュアで表現ー
立体
「思い出」の残し方って何があるだろう?
写真や動画、絵や本に言葉、、、頭の中にある「思い出」を新しいカタチで残したい。
そんな思いから私の卒業制作がスタートした。
そこで、自分の好きな「ミニチュア」で表現できないだろうかと考え、
古希を迎えた父の人生を二次元の思い出から三次元として表現することへ繋がっていく。
私がミニチュアに興味を持ったきっかけは小さい頃、町のおもちゃ屋にあった手作りのジオラマに感動し、
釘づけになったた事からである。
ミニュチュアを見ると、心の中がワクワクする。子どもの時だけでなく、大人になった今でも。
ミニチュアの世界は、「現実から切り離した世界を感じる」ことができる。
憧れを投影したり、手に入れられなかったものが小さくして手に入れることができるのもミニチュアの魅力である。
今回は父の人生を様々な「木」を用いながら、フォトフレームから飛び出してくるように作成し、
思い出のシーンは下から上へと人生同様、登っていくように表現している。
一つひとつの思い出を繋いでいるものは吊り橋にリフト、ロープウェイ、時には綱渡り。
それは、父の波瀾万丈な人生のように。
モノづくりでは常にイメージ通りにはいかない。
作っては壊しを繰り返す事でまた新しい発見がある。
デザインとして「大切なひとりのために」が成立することを目指して。
父の人生を一緒に噛み締めながら、思い出の新しいカタチを父が喜ぶ姿を想像しながら創り出した。
そして、その瞬間に出会えたことは大切な思い出のひとつとなった。