
フィルム/デジタル銀塩プリント
美術科 - 写真コース
伊藤 皓太朗
Mine Sites
鉱山跡地を撮影し、いつものように帰りの電車に乗った。初めて鉱山跡地を訪れた時に感じた曖昧だった輪郭をなぞっていく。
鉱山跡地には人間が活動していた無数の痕跡が残っていた。パワーショベルで何度も踏み固められた大地に、根ごと切り崩された鉱山の斜面に、ぽっかりと空けられた穴に水が溜まっていたように。自然はそれらの隙間を縫うように、あるいは皮膚のように新陳代謝を繰り返している。人間が転んで怪我をした時にできる瘡蓋とは異なり、自然は自身の大きさの限界も知らずに拡がっていく。
鉱山跡地を歩いている時、私は誰かが言った「自然は人間を必要としない」という言葉を思い出していた。