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2016.08.19

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瀬戸内国際芸術祭2016関連企画

ヤノベケンジ展 「CINEMATIZE シネマタイズ」

2016. 07/16 (土)

2016. 09/04 (日)

09:30

19:00

月~土 9:30-19:00、日9:30 -17:00 入館は閉館30分前まで

高松市美術館

香川県高松市紺屋町10-4  MAP

展覧会期間中、林海象監督、永瀬正敏主演の映画『BOLT』の撮影が美術館内で実際に行われます

主 旨
高松市美術館では、1990年代から日本の現代アートをリードし続けるアーティスト・ヤノベケンジによる四国における初の大規模な個展を開催します。

テーマは「CINEMATIZE (シネマタイズ)」です。

社会的メッセージにユーモアを盛り込み、イマジネーションあふれる作品の数々を世に放ってきたヤノベの創造の軌跡を、「シネマタイズ=映画化」という視点で再編します。ストーリー性やキャラクター性を豊富に持つヤノベ作品は、様々な場所に設置されることで、もはや単体の物体ではなく、ヤノベが紡ぎ出す物語の役者や舞台美術と化し、空間や現実自体を映画のように変容させる効果があります。

本展覧会では、虚構と現実が入り混じり、相互に影響しながら膨れ上がるヤノベの作品世界を「シネマタイズ」として新しく捉え直します。

そもそも、これまでのヤノベの作家人生それ自体が「映画のような」、ストーリー性に満ちたものでした。1990年代初頭から「サヴァイヴァル」をテーマに身体に装着する機械彫刻を多数制作し、1997年には放射線を検知する防護服《アトムスーツ》を装着して原発事故後のチェルノブイリを訪問、2010年には福島県立美術館で展覧会に参加すると同時に、発電所跡の美術館(下山芸術の森発電所美術館)で、予言的ともいえる大洪水をモチーフとした巨大インスタレーションを展示しました。

 2011年の東日本大震災以降は、復興の願いを込めた《サン・チャイルド》に代表にされる作品群を制作、福島を含めて世界中で巡回展示しています。さらに、四国地方では小豆島に怒れる井戸の神様の作品《アンガー・フロム・ザ・ボトム》をビートたけしと共同制作。「瀬戸内国際芸術祭2013」の会期中には、井戸の神様の怒りを鎮める祭礼が地元の神主や巫女によって執り行われました。現在では社が建てられて「美井戸神社(びーとじんじゃ)」となり、水を守る祭神として祀られています。

今回展示されるヤノベの各時期の作品は、まるで時代というシナリオライターに導かれるかのように時代とシンクロし、共鳴し合っています。また、作品同士が網の目状につながっています。それらを時系列的に見ることによって、時代精神が感じられると同時に、様々な伏線的なストーリーが浮かび上がるでしょう。それがこの先どこでつながるかはまだわかりません。

そして、ヤノベがこれまで撮りためてきたドキュメンンタリー映像には、時代と向き合い、格闘しながら制作された作品が、空間や現実をいかにして映画のように変容させ、驚きに満ちた影響を与えてきたかが、克明に記録されています。また、膨大な数のドローイングや資料の展示によって、影響力のある巨大作品を作るイメージの源泉やストーリー性を生み出すイマジネーションの一端が明らかになるでしょう。

さらに、映画監督・林海象、俳優・永瀬正敏とのコラボレーションにより展示室全体を映画セットにする巨大インスタレーションが設置され、実際の公開映画が撮影されます。それは、美術館自体を「シネマタイズ」し、アートの領域を拡張、横断する画期的な試みといえるでしょう。

本展は、今後も続いてくヤノベ作品のドラマチックなストーリーの予感に満ちたものになるはずです。


【展示構成】
<第1部> Cinematize Reality 「サヴァイヴァルからリヴァイヴァルへ 未来の廃墟のドキュメント」

ヤノベケンジの初期作品から最新プロジェクトまで実作品の展示とドキュメンタリー映像、資料で構成。1997年のチェルノブイリ訪問や3.11以降の制作など、映画のようなストーリー性を持つ作家活動と、作品によって「シネマタイズ」されていく世界の全貌に迫ります。


<第2部> 林海象×永瀬正敏×ヤノベケンジ コラボレーション展示
Cinematize Fiction 「パラレル・フィクション 妄想世界の水域へ」

ヤノベケンジが美術を担当する林海象監督の新作映画『BOLT』の撮影セットを巨大インスタレーションとして美術館内に組み上げます。観客は巨大プールや通路、ヤノベ作品で構成されたインスタレーションを回遊しその映像世界を体感します。展覧会期中、実際に館内で映画の撮影が行われます。
※ 新作映画『BOLT』公開撮影期間 8月下旬予定。共演俳優は7月中旬発表予定です。
※展示作品、観覧エリアが従来展示状況と変更する可能性があります。ご容赦ください。

<映画『BOLT』について>
映画『BOLT』(SF中編映画) 林海象監督 永瀬正敏主演 ヤノベケンジ美術 2017年劇場公開予定 
・あらすじ:日本のある日ある場所で大地震が起きた。その振動で原子力発電所のボルトがゆるみ、圧力制御タンクの配管から冷却水が漏れ始めた。その高放射能冷却水をとめるために、ボルトを締めにゆく男たちの物語。
・『BOLT』は、林海象監督による短編映画3部作の内、2014年撮影の第2話『GOOD YEAR』、2015-2016年撮影の第3話『LIFE』に続いて撮影される第1話。

<林海象監督映画『BOLT』(パイロットフィルム)『GOOD YEAR』特別上映>
会場では映画『BOLT』パイロット版短編と、『BOLT』の後日譚である『GOOD YEAR』を特別上映します。
『GOOD YEAR』(2015年/日本/20分)監督・林海象 主演・永瀬正敏

<永瀬正敏写真作品 特別展示>
『BOLT』主演の俳優であり、写真家、アーティストでもある永瀬正敏が、ヤノベ作品をモチーフにした写真作品を特別展示します。


【出品予定作品】
デビュー作《タンキングマシーン」》(1990)、《サヴァイバル・システム・トレイン》(1992)、チェルノブイリでの《アトムスーツ・プロジェクト》写真(1997)、《アトムカー》(1998)、人工稲妻装置内蔵の《黒い太陽》(2009)、3.11以降のモニュメント、《サン・チャイルド》(2011)、増田セバスチャンとの共作《フローラ》(2015)等。その他大小合わせて30数点。


【作家 略歴】
ヤノベケンジ
1965年大阪生まれ。91年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。現在、京都造形芸術大学教授兼ウルトラファクトリーディレクター。1990年初頭より、「現代社会におけるサヴァイヴァル」をテーマに実機能のある大型機械彫刻を制作。創作の原点は、幼少期に解体された大阪万博跡地を遊び場とし、「未来の廃墟」を体験したこと。ユーモラスな形態に社会的メッセージを込めた作品群は国内外で評価が高い。97年より、放射線感知服《アトムスーツ》を身にまといチェルノブイリを訪れる《アトムスーツ・プロジェクト》を敢行。その後、21世紀の幕開けと共に、制作テーマを「リヴァイヴァル」へと移行し、近年では、腹話術人形《トらやん》の巨大ロボットや、2009年には「第五福竜丸」をモチーフとする船《ラッキードラゴン》を制作し、火や水を用いた壮大なパフォーマンスを展開するなど精力的に発表を続けている。2011年震災後、希望のモニュメント《サン・チャイルド》を国内外で巡回。2013年「瀬戸内国際芸術祭2013」、「あいちトリエンナーレ2013」、2015年「PANTHEON 神々の饗宴」(京都府立植物園)で作品発表。

【展覧会コラボレーター 略歴】
林 海象(はやし かいぞう)
1957年生まれ。映画監督。1985年に製作・脚本・監督をてがけたモノクロ・無声映画『夢みるように眠りたい』で映画監督デビューし、国内外でグランプリを受賞。1994~96年『我が人生最悪の時』『遥かな時代の階段を』『罠 THE TRAP』の『私立探偵 濱マイク』シリーズを生み、探偵ブームを巻き起こす。『彌勒 MIROKU』(2013)等永瀬正敏との協働制作は多い。『BOLT』次章に当たる『GOOD YEAR』は、「Västerås Film festival(ベステルオース映画祭)」(スウェーデン)で2015年“最優秀撮影賞”を受賞している。代表作『二十世紀少年読本』(1989)、『ZIPANG』(1990)、『海ほおず The Breath』(1996)、『CAT'S EYE』(1997)、『探偵事務所5』(2005)、『THE CODE/暗号』(2009)他。

永瀬正敏(ながせ まさとし)
1966年7月15日生まれ。俳優。相米慎二監督『ションベン・ライダー』(1983)でデビューし、ジム・ジャームッシュ監督『ミステリー・トレイン』(1989)で注目を浴びる。新人・ベテラン監督を問わず、国内・海外にて映画を中心に活動。『息子』(1991、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞他)、『隠し剣・鬼の爪』(2004、日本アカデミー賞優秀主演男優賞他9、『毎日かあさん』(2011、日本映画批評家大賞・主演男優賞受賞他)、『KANO 1931海の向こうの甲子園』(2014、台湾金馬映画祭・主演男優賞他)、『あん』(2015、アジアン・フィルム・アワード主演男優賞他)、『64 ロクヨン前編・後編』(2016)、『後妻業の女』(2016)、今年のカンヌ国際映画祭・オフィシャルコンペティションにもノミネートされたアメリカ映画『パターソン』(2016、ジム・ジャームッシュ監督)等代表作多数。また写真師の祖父を持ち、写真家としても活動、20年以上のキャリアを誇る。2003年草間彌生、荒木経惟、森山大道、舟越桂、奈良美智他も参加したアート展「HOPE~未来は僕らの手の中に」(ラフォーレミュージアム原宿)に作品を提供したほか、フジコ・ヘミングのCDジャケットや雑誌にも多数作品を発表。青森県立美術館(2012)、みやざきアートセンター(2014)、ライカギャラリー TOKYO(2015)等、現在までに多数の個展を開く。台湾で開催した「This Moment」では75,000人以上を動員し、会場の華山1931文創園區/中5鍋爐室の観客動員記録を塗り替えた。また2015年、台湾~台北市・新竹市・台中市・高雄市を巡回して開催された「Mind's Mirror~心象」は120,000人以上の観客動員を記録した。
費用 一般 1,000円(800円)、大学生500円(400円)、高校生以下無料 ()内は前売、20名以上の団体、瀬戸内国際芸術祭2016会期中パスポート所持者
定員
申込方法
主催 高松市美術館
お問合せ 高松市美術館 (Tel: 087-823-1711)
関連在学生 ウルトラプロジェクト参加学生
URL http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/museum/takamatsu/index.html
関連教員 ヤノベケンジ(美術工芸学科 教授)
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