デザインソフトからシミュレータへ。
風から生まれた、新しい建築のかたち。

建築・環境デザイン領域 ARCHITECTURE AND ENVIRONMENTAL DESIGN FIELD

建築・環境デザイン領域(旧:環境デザイン領域) 2019年度修了

株式会社鴻池組 髙橋 創

大学院では、風の流れと建築のかたちについての研究をしていました。外観や様式とは違う新しい評価軸を、風という身近にあるもので見出すことができれば面白いのではないかと考えたのです。本来は熱の伝達などをシミュレーションする「FlowDesigner」というソフトを使って、風の流れを可視化していきました。「比良おろし」という琵琶湖へ強風が流れ込む現象を体験しに行き、それをPC上で再現したこともあります。また、「旧前川邸」を題材にして、名建築と言われる建物の風の流れを調べました。風の出入り口や窓の開き方、壁の配置について詳しく見ていく中で、快適な風と心地いい居住空間をつくるために、植栽なども深く関わっていることがわかりました。2年次は、風の流れをもとに、新しい建物の形、新しい心地よさをデザインするという試みにチャレンジしました。人がより心地いいと感じるサラッとした風を生み出すために、光によって空気の温度を高めることや、風が下から入って上に抜けていく設計にしたことで、意匠性の追求だけでは辿り着けなかったような建物の模型をつくることができました。大学院を修了した今は、設計職として鴻池組に就職。京都芸術大学の設計も手がけている会社です。この大学は僕にとって、多くの同級生や先生と語り合い、大切な時間を過ごしてきた場所。将来は自分も、誰かにとって大切な場所となるような環境をつくっていきたいです。

髙橋 創

環境デザイン領域 2019年度修了

風を使った新しい建築設計の可能性を探るために大学院へ。「旧前川邸」などを題材に建築と風の関係について考察。修了展にて、模型だけでなく熱流体シミュレーションで空気の流れをヴィジュアル化した作品「風とかたちのエチュード」を出品し優秀賞受賞。株式会社鴻池組に入社し、設計業務に携わる。

プロフィールはインタビュー時の経歴となります。

Works

建築・環境デザイン領域 ARCHITECTURE AND
ENVIRONMENTAL DESIGN FIELD

地球的視野のもとで
生活環境を見つめ、
都市と居住空間をかたちづくる

建築・環境デザインを探究するには、都市や生態、地域性といった「私たちが生きる環境」をどのように考えるかが重要になります。本領域では、専門分野と周縁分野の制作・研究に取り組むなかで、環境デザインにおける実践知を獲得。修了後は建築家やランドスケープデザイナー、あるいは都市や地域のスペシャリストへ。世の中にある既存の価値や信念を再考するきっかけとなる問いを投げかけ、建築・環境デザインの境界を広げながら、その未来像を提起できる人材の育成をめざします。

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