建築を手がける者としての、思想を深める

建築や街づくりにおいては、目には見えない思想や哲学が重要になります。本領域では、建築、インテリアデザイン、ランドスケープデザイン、地域デザインという4つの分野で実践的な研究・制作指導に取り組む一方で、分野の枠を超えて多くの知識や考えにふれる機会を設け、専門的な視座と包括的な視野を併せ持つ人材の育成をめざしています。

領域の特長

分野の枠を超えて、より豊かな生活を考える

本領域は、人が生活していくうえで不可欠な建築や環境を扱います。たとえば、街づくりにおいてもひとつの建築が地域に影響を与え得るということが考えられます。このため、専攻する分野の中で視点を固定せず、建築をより大きなものとして捉え、豊かな生活を見つめる眼差しを大切にしています。

エンジニアではなく、デザイナーであること

芸術大学にある本領域で建築を学ぶ意義とは、建築を工学的・技術的な観点から構造物として扱うのではなく、そこから感動や豊かさを生み出そうとする過程にあるのではないでしょうか。本領域では、学生一人ひとりが固有に抱えるテーマと自主性を尊重し、デザイナーとしての素養を育んでいきます。

領域長メッセージ

教えるのではなく、伝え、ともに考える

「今年も、みなさんに何も教えませんでした」。修了式の挨拶でそんな話をするくらい、私は院生たちと向き合うとき、「教えては駄目だ」と自分に言い聞かせています。教えるのではなく、伝える。できるだけ新しい情報を、できるだけ正しく伝えること。最終的には、その情報をもとに一人ひとりが自分で何かを考えはじめることが重要なのです。そこに私の考えや経験を交えようとすると、それが正しい答えとして受け入れられてしまう可能性があります。「より豊かな生活とは何だろう」「どうすればそれを実現できるだろう」という問いを絶えず持ち続け、学生とともに学び、ともに考えていく。そんな関係を大切にしたいと考えています。

中村 勇大

建築領域長/芸術専攻(修士課程)専攻長

中村 勇大

本学環境デザイン学科教授。近畿大学工学部建築学科卒業。1988年、北村陸夫+ズーム計画工房入社。1990年 中村勇大アトリエ設立。1991・94年 SD Review入選、2001年日本建築家協会新人賞、2004年吉岡賞、2016年日本建築学界教育賞、2017年文部科学大臣表彰科学技術賞他受賞多数。2011~18年建築新人戦実行委員長。

修了生・在学生紹介

わだ ながら
内納 耀平(うちのう ようへい)さん

修士課程1年次

福岡県北九州市出身。本学の環境デザイン学科在学中に、パリでの海外インターンシップを経験。国にとらわれず建築家としての働き方を探るようになる。卒業制作作品「そこには大きな穴がある。—石灰石砕石場跡地の地形のコンバージョン—」で奨励賞受賞。NEXTA’17竹鼻良文賞受賞。

自分の身を、そこへ置くこと。
世界へ出て、様々な可能性にふれる。

私は「学内特別選抜」という制度を活かして、学部4年生のときから修士課程の授業に参加してきました。そこで人として尊敬できる先生に出会えたことが、大きな財産になっています。先生は一見すると放任主義のようであり「社会に出たら先生はいない」ということを伝えてくださる一方で、実は私たちのことをよく見てくれていて、然るべきときに言葉をかけくれます。大学院に進んでからは、自分の研究をする時間がふんだんに生まれました。旅をしながら建築や集落にふれて、文献では得られなかった感覚をもとに考察を深めています。「素材」や「感覚的」なものをテーマとして扱いたいと考えている私にとって、実際にそこへ身を置くことは、とても大切なことです。在学中に世界に出て、様々な素材や環境にふれるとともに、海外の企業でこれからの働き方を見つめてみたいと考えています。

周 焱
林 雅人(はやし まさと) さん

空間デザイナー [ 2014年度修了 ]

兵庫県神戸市出身。中学生のときに訪れた「愛・地球博」に憧れを覚え、万博を手がけた実績を持つデザイン会社に就職。現在は、イベントや展示会を中心に、アミューズメントパークや式典など、幅広い仕事に携わる。

日本の建築に学び、すこし手を加えるだけで、空間を変換させるデザインを。

大学院では、日本にある建築の特色について研究・制作を行ってきました。日本人は、障子や欄干によって人の存在は見えないのに気配は伝わる曖昧な空間をつくったり、花見などで見られるように、シートを敷くだけで何も無いところを落ち着く空間へと変換する能力に長けています。このように、建築家がつくるものではなく、ちょっと手を加えるだけで誰でもデザインできるような空間というものを目指していました。大学院では、実践の場も数多くありました。印象的だったのは、展覧会が節目ごとにあり、その空間構成を任せてもらったことです。作品と作品の間に壁ごと隙間をつくり、他の作品の気配を感じながら領域を横断できるような空間をつくりました。この空間によって、今まで個々の気持ちが強く衝突もあった作家たちが、次第に一体感を持ち始めたことがとても印象深いです。

資料請求 あたらしいパンフレットができました。