“時の流れ”を、画にうつし込む。
ひとりの画家を研究し、描き方も、
生き方も深めていく。

博士課程 Doctoral Course

博士課程 2016年度修了

日本画家/
京都芸術大学通学部美術工芸学科
日本画コース 非常勤講師
顧 洛水 コ・ラクスイ

大学で中国画を学んでいた私は、初めて本物の日本画を目にしたとき、その迫力に圧倒されました。日本画家として尊敬する山田伸先生や松生歩先生が教鞭をとっていると知り、この大学院に進学。一から日本画を学びました。2年では時間が足りず、もっと日本画の世界を知りたいと博士課程の道へ。私と同じように女性を描き続けた上村松園をテーマに研究に取り組みました。能の物語からインスピレーションを受けることの多かった上村松園。
“物語に流れる時間”を、ひとつの画としてどう表現するのか。『焰(ほのお)』という作品では、物語の象徴的な存在である“藤の花”が着物の柄として描かれています。様々な資料を集めて、ひとつの画、ひとりの画家と向き合っていく時間は、私自身の絵にも変化をもたらしました。女性の背景に描く植物に、どのような感情や物語を投影させるのか。時の流れを意識することで、作品に奥行きが生まれていったのです。研究と制作を行き来する中で、大学から推薦をいただいて『京都アートフェア2014』に参加。ここで画廊とのつながりが生まれ、神戸と東京で個展を開催できるようになりました。東京から神戸まで、私の作品を見に来てくださる方もいて、画家として生きる日々に大きな幸せを感じています。京都芸術大学は、作家として生きる姿を見せてくれる先生が間近にいる場所。私も女性画家としての道を、力強く描いていきたいです。

顧 洛水コ・ラクスイ

博士課程 2016年度修了

中国北京言語文化大学で中国画を学んだ後、日本画を学ぶため本学へ。2014年『京都アートフェア』をきっかけに神戸や東京で個展を重ねる。2015~2018年『顧洛水個展』(川田画廊)、2018年『夢の如く』(清アートスペース)。また2014年に『春の院展』に初入選。公募展、グループ展でも数多く作品を発表。

プロフィールはインタビュー時の経歴となります。

Works

博士課程 DOCTORAL COURSE

挑戦し続ける3年間と、
未来に向けて

博士課程の3年間は学位取得を目指して、自身の専門分野の「理論研究」あるいは「理論研究」と「制作研究」において挑戦し続けることになります。挑戦し続けるからこそ、これまで誰も踏み込んだことのない、新しいテーマを見つけ出し、「その人ならでは」の成果を生み出すことができるのです。
博士課程では「その人ならでは」の何かを見つけることが極めて重要で、それを育て、世に問うことになります。こうした努力が学位を取得という結果に結びつきます。さらに学位取得で終わらず、研究成果の「社会化」を模索し続けて欲しいと思います。それが研究者・制作者の未来へとつながって行きます。博士課程では未来に対して意欲的な人の入学を期待しています。

詳しく見る

一覧に戻る