研究の成果を教える経験と、
研究をさらに深める経験。

博士課程 Doctoral Course

博士課程 2014年度修了

伝統画材ラボ「PIGMENT」所長
京都芸術大学 美術工芸学科
日本画コース 非常勤講師
岩泉 慧

私の専門は、日本画の技法と材料です。博士課程に進んだのは研究や制作を続けたかったことと、社会に出て自分が学んできたことを人に教えられるようになりたいという理由からです。博士号を取得すればその道に近づけると考えました。博士課程では、TA(ティーチング・アシスタント)として先生の授業を手伝いました。日本画の材料である膠(にかわ)を特殊な方法で溶かすなど、私が研究してきたことを学部生たちに伝えました。実際の授業ですからプレッシャーもありますが、人に技術や知識を教える訓練になりました。一方で、自らの研究については、修士のときよりも専門的になります。そして、その研究を生かし、新たな日本画の技法を盛り込んだ作品を制作しました。しかし、当初は否定的な評価を受け、そのまま続ける自信が持てませんでした。そんなとき、藤本由紀夫先生から「否定されるということは、誰もやっていないことだからチャンスだよ」という言葉をいただきました。それが救いになって新たな作品を完成させることができ、結果的には好意的な評価をいただくようになったのです。

博士課程の研究を突き詰め、
チャンスを掴んだ。

現在は、本学の日本画コースの講師を務める一方、東京の伝統画材ラボ「PIGMENT(ピグモン)」の所長をしています。このラボでは、伝統的なものから最新のものまで様々な画材をそろえ、画材の販売にとどまらず、伝統技法の講座などを開いて知識や技術も提供しています。私はここでも講師として、様々な人に珍しい日本画の技法を教えています。振り返れば、日本画の技法・材料を研究し作品を制作しながら人に教えるという学生のときからの目標が、現実のものになっています。チャンスを掴めたのは、博士課程で勇気づけられた“誰もやっていない”研究を突き詰めてきたからです。「PIGMENT」では、芸術を核にして他業種と連携する“誰もやっていない”試みにも挑もうとしています。

岩泉 慧

博士課程 2014年度修了

1986年生まれ。神奈川県出身。2006年、京都芸術大学美術工芸学科日本画コースに入学。同大学院に進学し、博士号(芸術)を取得。博士課程で開催した個展「滅びの装い」で好評を博す。現在は同大学美術工芸学科日本画コースの非常勤講師と伝統画材ラボ「PIGMENT」所長を務める。

プロフィールはインタビュー時の経歴となります。

Works

博士課程 DOCTORAL COURSE

挑戦し続ける3年間と、
未来に向けて

博士課程の3年間は学位取得を目指して、自身の専門分野の「理論研究」あるいは「理論研究」と「制作研究」において挑戦し続けることになります。挑戦し続けるからこそ、これまで誰も踏み込んだことのない、新しいテーマを見つけ出し、「その人ならでは」の成果を生み出すことができるのです。
博士課程では「その人ならでは」の何かを見つけることが極めて重要で、それを育て、世に問うことになります。こうした努力が学位を取得という結果に結びつきます。さらに学位取得で終わらず、研究成果の「社会化」を模索し続けて欲しいと思います。それが研究者・制作者の未来へとつながって行きます。博士課程では未来に対して意欲的な人の入学を期待しています。

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