何人もの先生が、
私を社会と
つなげようとしてくれた。
私という作家を、つくってくれた。

芸術実践領域(旧美術工芸領域) Contemporary Art Practice

芸術実践領域
(旧美術工芸領域)
2019年度修了

アーティスト 岡田 佑里奈

01 大学院に進んだ理由

油絵から写真へ。
一度すべてを捨てて掴んだ、
私だけの表現。

中学生の時に油絵と出会って夢中になり、美術系の高校、そして、京都芸術大学へと進み、絵を描き続けました。しかし、なかなか独自の表現が見いだせず、古典的な技法にそって制作を重ねる日々。3回生の頃、大庭大介先生から、そんな私の迷いを見抜くかのような、ハッとする言葉を投げかけられました。そこから私は毎日のように使っていた絵筆を置き、カメラを手に持ちました。撮り始めたのは夜の街。インスタントカメラのチェキで、街の空気や匂いを切り取った当時の作品は、「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD#7」で後藤繫雄賞を受賞するなど、絵画とだけ向き合っていた頃には得られなかった手応えを私に与えてくれました。この転換期に、池田光弘先生のゼミで「なぜこの作品ができたのか」を深く掘り下げて文章化することに取り組みました。ようやく見えてきた自分の表現をさらに磨き、作家としての一歩を踏み出したい。そんな想いで大学院への進学を決めました。

02 大学院での学び

作品の言語化、クオリティ、
社会とのつながり。
先生からもらったすべてが、
私という作家をつくってくれた。

絵画か、写真か。カメラを手にしたばかりの頃は、どちらかに絞らなければならないと考えていました。しかし、大学院に進み、作家としての自分の核となるものを見つめるうちに、何年も向き合ってきたペインティングと写真を融合させた表現が見えてきました。そして、大学院で過ごした2年間、様々な先生が私を社会とつなげようとし、作家としての一歩を後押ししてくださいました。制作の過程で、実践的かつ細やかなご指導で作品の質をどんどん引き上げてくださる大庭先生。「ここをこうするともっと良くなる」とアドバイスいただいて改善を試みると、本当にその通り、作品のクオリティが劇的に向上しました。そして、在学中も、卒業してからもギャラリーの方とのつながりを次々とつくってくださる鬼頭健吾先生。椿昇先生からは社会や未来を大きなスケールで見据え、その中でアートと経済を結びつける方法を、竹内万里子先生からは衝動から生まれた荒削りな作品を磨く手法と、言葉による豊かな表現を学びました。先生方の教えから、作品の世界観も、作家としての可能性も大きく広がっています。

03 現在の活動

大きなチャンスが
後押ししてくれた、
作家としての第一歩。

大学院を卒業してからも、先生方はチャンスに満ちた発表の場をセッティングして、そこに作家として私を招いてくださいました。鬼頭先生から、東京・西武渋谷での展示会に作家として出展しないかと声をかけていただき、展示会場だけでなくショーウィンドウにも作品がディスプレイされ、多くの方の目に留まる機会を得ました。コロナ禍にもかからず、想像以上に反響が大きく、つぎの出展依頼や、コレクターの方からの作品のオーダーにもつながっています。社会に出て1年目で、自分たちのアトリエもつくりました。1人ではなく集合アトリエとしてオープンに空間を活用し、様々な情報交換や交流、チャンスが生まれる環境になってきています。先生たちからたくさんのつながりをもらったように、自分たちの手でも、同世代のためのつながりの場を育んでいけたらと考えています。

04 大学院の特徴・メッセージ

食べていける作家、
その先へ行ける作家を、
本気で育てる環境。

この大学院の大きな魅力は、作品を売って生活していくための基盤を培えることだと考えています。普通ならお会いすることのできないギャラリーの方やキュレーターを、先生方が毎月のようにキャンパスに招いてくださり、自分の制作スペースや作品を見ていただくことができます。ゲストの方たちと交流する中で、自分の作品を向上させるアドバイスをいただいたり、作家としてのコミュニケーション能力を磨いたりすることができます。そして、実際に現役でアーティストとして活躍されている先生方の“今”を間近で見ることができ、自分が今後どのように動いていけば良いかが見えてきます。アーティストをめざしてこれから大学院へ進む皆さんには、つながりとチャンスに溢れたこの環境を、存分に活かしてもらえたらと思います。

岡田 佑里奈

美術工芸領域 2019年度修了

中学時代から油絵を描き続け、京都芸術大学へ。学部3回生の時、カメラを手に取る。写真を撮りはじめて間もなく、『ART AWARD MARUNOUCHI 2018』後藤繁雄賞受賞、『The Art of Color DIOR 2019』に入選を果たすなど高い評価を受ける。大学院修了後も、1年目から『SHIBUYA STYLE vol.14』(東京)、銀座蔦屋書店 GINZA ATRIUM(東京)などで、次々と作品を発表。作家としての一歩を踏み出し、チャンスを広げている。

Works

芸術実践領域
(旧美術工芸領域)
Contemporary Art Practice

プロフェッショナルとしての
クオリティーを獲得する

本領域では、世界の第一線に立てるアーティスト、あるいは、各々の分野でプロフェッショナルとして活躍できる人物の輩出をめざし、そのために必要なクオリティーを磨き上げていきます。技術や専門性を高めるとともに、自己の作品や立ち位置を客観的に見つめられる視点を身につけ、作品を言語化して社会と結びつけていく力を養います。

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