犀皮漆器の復元:劉 暢(2017年度修了)

プロフェッショナルとしてのクオリティーを獲得する

本領域では、世界の第一線に立てるアーティスト、あるいは、各々の分野でプロフェッショナルとして活躍できる人物の輩出をめざし、そのために必要なクオリティーを磨き上げていきます。技術や専門性を高めるとともに、自己の作品や立ち位置を客観的に見つめられる視点を身につけ、作品を言語化して社会と結びつけていく力を養います。

領域の特長

現役作家と直結した、ゼミ活動と実践

椿昇、名和晃平、ヤノベケンジをはじめ、第一線で活躍する作家たちが間近で現代美術に取り組む本学。「ウルトラファクトリー」や名和晃平が主催する「SANDWICH」で、その創造の現場にふれ、自らも創作やプロジェクトを手がけながら、作家としての自覚をまとっていきます。

社会とつながるチャンスが、ふんだんにある環境

鬼頭健吾、大庭大介らが“今、学生に会わせたい”ゲストを招へいする「Pr PROJECTS」や、他大学の修士生と刺激を与え合う「サマーキャンプTOKYO」、著名なギャラリストやコレクターが訪れる「修了展」など、自主的・主体的に動くことで、様々なチャンスを享受できる環境があります。

領域長メッセージ

ひとつのことに、すべてを注ぐ2年間を

大学院では、学部時代に見つけた自分の「核」となるテーマや表現をもとに、作品の「クオリティー」をどこまで高められるかが、ひとつの鍵になると考えています。少なくとも同世代の中でトップに立たなくては、プロとして第一線でやっていくことは難しい。全国に優秀な学生がいる中で、抜きん出ていかなければならない。そのためにも、大学院では自分のやりたいこと一本に、すべてを注いでもらいたいと思います。2年間集中することができれば、どんな世界に行っても、それは生きる。大学院に入ったばかりの4月と、修了間際の3月とでは、学生の目つきも全然違います。やった人は、伸びていく。みなさんの変化と成長を、楽しみにしています。

鬼頭 健吾

美術工芸領域長

鬼頭 健吾

本学大学院芸術研究科准教授。インスタレーションをはじめ絵画や立体など多様な作品を国内外で発表。五島記念文化財団の助成を受けニューヨークへ、文化庁新進芸術家海外研修員としてドイツでも活動。

修了生紹介

自分の作品をつくるという固執からも、自由に。終わりなくかたちを変えていくもの。

わだ ながら
檜皮 一彦(ひわ かずひこ)さん

美術作家 [ 2017年度修了 ]

大阪府生まれ。修了展で発表した『hiwadrome type ZERO』で大学院賞を受賞。inner space colony(ARTZONE)、ULTRA×ANTEROOM exhibition 2018「Re:Traffic」、アートアワードトーキョー丸の内2018など、修了後間もなく次々と展示を手がける。第22回 岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)受賞。

檜皮 一彦

[上] hiwadrome type THE END (2018年制作)
[下] Untitled (Movements) (2016年制作)

手を動かすという行為はなくなり、作品のほうが動き始めた。

アートという不可能なことを、どのように可能にするか。檜皮という作家を、どのようなかたちで生かしていくのか。大学院で研究したいと考えました。学部時代に彫刻を通して造形の強さを突き詰めた経験と、舞台美術や演者としてパフォーミングアーツの分野に関わってきた経験をもとに、私の作品は可変性/可塑性を帯びていきました。檜の皮やポータブルラジオ、照明器具、そして車椅子。誰でも手に入る物を使って作品を構成しながら、コミュニケーションの量と密度を高めていく。音や光、私や来場者自身のパフォーマンスによって、作品は終わりなくかたちを変えていく。自分の手を動かすという行為は必要なくなり、作品のほうが動き始めたのです。

学問としてのアートはとても自由で、生きる知恵を与えてくれる。

手を動かす時間よりも、頭を動かして作品と向き合う時間が増え、座学の大切さを再確認しました。私は、アートは人文領域のひとつだと考えています。たとえば、美術はいつも社会の動向と対比しているため、美術史を理解するためには世界史を知る必要があります。他の学術分野と接続できる点が無数にあり、学びたいことは次々と見つかりました。学問としてのアートはとても自由で、社会がどのように変わろうとも、その流動性に耐えうる知性を与えてくれます。アートを学び、「自分の作品をつくる」という固執からも自由になれたことで、今の私を支える核となる「hiwadrome」というコンセプトに辿り着けたのかもしれません。

資料請求 あたらしいパンフレットができました。