なぜ、絵の具を纏うのか?
自分に問い続けて獲得した、
私のステートメント。

芸術実践領域(旧美術工芸領域) Contemporary Art Practice

芸術実践領域
(旧美術工芸領域)
2018年度修了

美術家 新宅 加奈子

高校生の頃から、時々私は裸になって全身に絵の具を被ります。私にとってそれは、自分が「今ここに生きている」ことを確認するために必要な行為であって、長い間アートとは分けて考えていました。大学の授業で、土や木など様々な素材にふれる中、「身体こそ究極の彫刻作品」だと気づき、自分自身の体を使って制作するようになりました。しかし、絵の具を纏う行為はまだ、作品とは結びついていませんでした。4年生を迎え、自分の作品を語るための概念が圧倒的に足りないことに気づき、もっと深く学ぶ必要を感じて大学院へ。「ステートメントを書くことは、作品をつくることと同じ」とご指導くださる名和晃平教授から、たくさんの「なぜ」を投げかけられました。「なぜ、絵の具を纏うのか」「なぜ、作品をつくるのか」。問いを重ね、ステートメントの一文字一文字を磨き上げたことで、全身に絵の具を纏う私的な儀式は 『I'm still alive』へと作品化していきました。初めてこの作品を発表したHOP展でギャラリーの方と出会い、個展を開催。そこで自分のタブーを取り払って、初めて鑑賞者の前で裸になり、絵の具を被りました。展覧会をきっかけに、ダンサーの方と舞台で共演。さらに、舞台をご覧になった美術館の方から上演のお声かけもいただきました。これから自分は、社会で何ができるのか。ジャンルを超えて、問いへの答えを広げていきたいです。

新宅 加奈子

美術工芸領域 2018年度修了

中学時代にダリの作品に衝撃を受け、アートの世界へ。『embodiment』KUNST ARZT、『indication』(京都写真美術館/KKAG)など、美術家として発表を重ねる。舞台『“raw”~精神と肉体の展示会』ではダンサーと共演。『NONIO ART WAVE AWARD 2020』グランプリ受賞。

プロフィールはインタビュー時の経歴となります。

Works

芸術実践領域 CONTEMPORARY ART PRACTICE

アーティストとしての
確実なキャリアを
実現するため
の実践的プログラム

本領域では、世界で活躍できるアーティストやプロフェッショナルの輩出を目指しています。そのために、必要な専門的スキルを高めるとともに、自己の作品や立ち位置を客観的に見つめる視点や、作品を言語化し伝える力を実践的に養います。
選抜された、異なるメディアを扱うアーティストたちがひしめき合う国際的な環境で、違いを豊かさと捉え、多様な人々とつながりながら、新たな表現を生み出す力を育み、コミュニケーション能力とプレゼンテーション能力を育成します。

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