京都芸術大学 通信教育部

芸術教養講義8

私たちの風土にあわせた暮らし方のなかで培われた空間のあり方を学びます。

はじめに - シラバス -

担当教員からのメッセージ

芸術教養講義8を担当する野村朋弘です。
日本の伝統的な美意識は、東アジアから様々な文物・技術が輸入されることによって成立しています。この科目では、空間の美意識について、詩・庭・かおりをテーマとして、学んで頂きます。
現代に生きる我々と同じように、前近代の人々も、美景を愛でていました。単に学習するというだけではなく、好奇心を持って楽しんで貰えばと思います。

  • 授業概要 <伝統的空間の様式を学ぶ>
    「花鳥風月」を愛でるという意識はいつから生まれたのか。その源流を中国・朝鮮半島・日本の詩歌から読み解きます。
    それらの詩歌が詠まれた節句や儀式から、空間の美意識を学びます。続いて、日本庭園の立地条件を読み解き、「見立て」るという日本の伝統的空間認識の成立を考えます。こうした伝統的空間がどのよう近代の日本庭園に引き継がれてきたのかを代表的な作庭家から学びます。そして伝統的空間にある「かおり」にも注目し、古代から現代に至る五感で味わう生活空間がどのような変遷を経たのかを学びます。
    授業目標 芸術教養講義8では、伝統的な空間についての様式を学びます。
    古来、東アジアでは、花鳥風月の世界が身近にあり、自然を愛でる眼差しに溢れていました。この科目では、その眼差しについて学ぶため、15章を3つの大きなテーマに分けて空間の美意識を把握していくことを目指します。
    1つ目は中国・朝鮮・日本と東アジアに対する視点です。日本が形成してきた空間認識は、東アジアの伝統的な空間認識を淵源とします。この東アジアの花鳥風月を愛でる空間認識を「詩」をテーマとして考えます。
    次に2つ目は庭園です。日本の造園史を繙くことによって、日本人が美しいと感ずる伝統的な空間認識を学びます。
    最後の3つ目はかおりです。花鳥風月を愛でる際に、かおりは欠かせないものでした。今日を生きる我々にとっても身近なものをテーマとしながら、美意識の理解を深めることを目標としたいと思います。
    授業の流れ ・1章 中国古代漢詩にみる「風月」の空間美意識
    ・2章 韓国古代漢詩にみる「風月」の空間美意識
    ・3章 日本古代漢詩にみる「風月」の空間美意識
    ・4章 東アジア重陽の節句にみる空間美意識
    ・5章 中国曲水宴にみる庭園文化の形成
    ・6章 日本庭園の伝統的空間認識
    ・7章 庭園の立地環境を読み解く
    ・8章 庭園意匠の抽象化
    ・9章 近代日本庭園のめざした自然
    ・10章 現代の「市中の山居」をつくり出す
    ・11章 香りの「いろは」
    ・12章 日本の香りが来た道
    ・13章 香り文化の広がり
    ・14章 『源氏物語』の風情を彩る庭園の香り
    ・15章 桂離宮の「香り風景」、そして現代へ
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