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空間演出デザインコース 岡山 香苗

NAKANOSHIMA ART TIME GUIDE


Concept : 「自分だけの答え」を見つける時間

「アート」と「ビジネス」、一見遠いような存在に思える両者。

先行きが見えず変化の多い昨今、ビジネスの現場では“新しい価値を創る”ことが
個人や組織とともに今後の時代を切り抜けるキーアクションであると考えられてきています。

そのためには、自身の土台(OS)のアップデートが必要不可欠ですが
有効な思考法、物事の捉え方、視点の変え方、問いの立て方として近年注目されているのが【アート思考】という思考法です。

- アートを通した自分だけの問い、答えを見つける時間

従来、アート思考を身につけるには、美術館での作品鑑賞を基本としているものがほとんどです。
しかしながら、アート思考に興味はあっても、アートに馴染みがない方にとっては美術館に行くという行動そのものがハードルが高いと感じてしまうでしょう。
そこで今回は、ビギナー向け、アート思考の入門編として街中でアート思考の鑑賞法を実践する体験「アートタイムガイド」を提案いたしました。
具体的には、ビジネス街の中心に位置する大阪・中之島エリアを美術館のように見立て、
自分起点の答えを見つけるアート思考の鑑賞体験を通じ、今後のビジネスパーソンに求められる能力開発に活かしてもらう目的です。
また、本作品での体験を他者と共有することで、多様な意見への受容や視点の多様さを理解し、日常生活でのコミュニケーションでも活用できるよう期待しています。

アートへの能力開発分野での活用、社会的価値を感じてもらうこと延いては、アートそのものへの関心を持つ(美術作品への理解、美術館への来訪などの)きっかけにしたいとも考え制作いたしました。

学習の中で生じた「アートに対して問われる存在価値や社会的役割は何だろう?」という問題意識と、 キャリア相談の仕事を通して寄せられる「先行きの見えない時代の中で、どう自身や組織を適応させていけばいいか?」 「自身の土台(OSのようなもの)をアップデートするにはどうすればいいか?」といった多くの悩みがきっかけとなり、 両者を活かして双方の課題の改善の糸口になるものはないかと考えたのが、テーマのきっかけでした。

日本では「アート」と「ビジネス」、人によっては正反対の存在であると捉えられるほど、これまで両者は縁遠い分野として認識されてきました。例えば、美術館へはオフタイムかつ、リフレッシュのため来訪すると考える人が多いです。 しかし、世界に目を向けてみると、美術館をはじめとするアートを何らかのビジネスアイディアの起点、能力開発のツールとして捉え活用されています。 このようなアートとビジネスの関係性については、近年様々な研究が進められています。 その中でも、アートのプロセスを活用して価値創造(0から1を生み出す)の能力開発に寄与する部分に着目しました。 この数年で認知度が高まってきたのが「アート思考(アート・シンキング)」という考え方です。 明確な定義は未だ不明瞭ですが、単純にアート作品そのものを指すわけではなく、アーティストのような視点をもって 自分起点で問いを立て価値をつくるという思考法です。 顕在的な課題を解決する「ロジカル思考」 、潜在的な課題を解決する「デザイン思考」、その起点となる問題意識を創造するのが「アート思考」の役割とも言われています。

この「アート思考」を体験できる時間を「アートタイム」と名付け、アートに馴染みがない方でも まち歩きの中で気軽に体験できるよう制作したのが、【NAKANOSHIMA ART TIME GUIDE】。 直接書き込めるA5サイズのワークブックです。

今回アートタイムの場所として選んだのは「大阪・中之島」です。 古くからビジネスの中心地に位置し、バラ園など憩いの場であり、複数の美術館やフェスティバルホールなど文化・芸術の地としても存在感のあるエリアです。 今後は新しい路線も開通されるなど、ますます発展が期待されているこの地を、様々な視点が得られそうなフィールドとして選びました。

ガイドブックでは、中央公会堂を起点として、6つのアート思考を体験できるルートを選定しました。 各ルートにテーマを設定し、美術館の展示室を歩くように「アート思考」を体験できる時間(アートタイム)を提案しています。 <提案するアートタイム> Route① :「見る」を考える時間 Route② : 「イメージ」と「リアル」を並べる時間 Route③ :「こんな感じ」を表現する時間 Route④ :違う「感覚」を楽しむ時間 Route⑤ :「立ち位置」を変える時間 Route⑥ :「自分だけの問い」を見つける時間 Route①から順番に取り組むのはもちろん、どこか1つのルートだけ部分的にも取り組むことが可能で、 中之島の新たな一面を発見できたり、従来のガイドブックとは異なる体験が得られるような内容です。

ガイドブックでは、中之島の代表的なスポットを題材として、普段とは異なる視点で対象を見るような質問を投げかけています。 質問は主にオープンクエスチョン形式で、体験者の考えたこと、アウトプットを可視化し、振り返った際に自身で再認識することも考慮しています。基本的に正解はなく、自身の見方をアウトプットしていくワークブックですが、他の方の回答などを随時載せることによって、比較して客観的に見ることもできるようになっています。

本でのワークを通して、「アート思考」、自分起点の考え方やを体感してもらいます。 アートやアート思考に関心が高い方はもちろん、興味はあるけれど何から取り組めばいいか分からない方にも 気軽に体験できるように、街中の対象物、屋外のアート作品や美術館の無料スポットを題材にしています。

このガイドブックはあくまでも入門編であり、アート思考や関連した知識へのさらなる探求や、美術館への来訪のきっかけになることなど、体験の展開を目的としています。 そのため、さらに詳しい参考文献(オススメのブックリスト)や美術館の紹介、 自宅でも取り組める表現ワークなど、知的好奇心の枝葉を伸ばしていただく情報も記載しています。

このガイドブックを通して得た気づきは、自身の価値観のアップデートに繋がることはもちろん 複数人でのワークショップやSNSなどを通して他者と共有することで、自分以外の意見や考え方を受け入れる きっかけとしても活用できます。1人でのワーク以外でも、研修やワークショップでの展開を想定しています。

このガイドをより便利に利用していただくため、 実際のルートの案内動画、中之島エリアの詳細地図(既存地図アプリへのリンク)をまとめたウェブサイトを作成しています。 また、本ガイドブックを電子ブック化したコンテンツも閲覧でき、 タブレットなどのモバイル端末でも利用できるよう利便性を高め、気軽に取り組んでもらえる工夫を行っています。

岡山 香苗

空間演出デザインコース

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