嫗三十六首写真絵巻 親愛なるあなたへ
写真コース 石井 康行
折本(A4) デジタル/インクジェットプリント(和紙)
2013年1月 7年ぶりの大雪が降った二日後
冬うららの朝 一人居の嫗が逝った
残された文箱に 嫗の短歌があった
『嫗三十六首写真絵巻 親愛なるあなたへ』は、亡き母が想いを込めて詠んだ短歌が掲載された新聞の切り抜きと、短歌に共振する新旧の写真をコラージュした写真絵巻である。
短歌には、父への想い、一人居になったのちの淋しさ、生きていることへの感謝、息子たちへの気遣い、四季の移ろい、何気ない日常などが詠まれていた。その中でも特に父への想いは哀傷歌でもあり、恋歌でもあった。
母は、短歌が掲載された新聞を切り取りながら時空を超えて父への思慕の念を強くしたに違いない。
切り取った新聞の形には母の想いが詰まっているようで、この形を大切にした。母のアルバムに残されていた古い写真、並びに短歌に共振し撮影した写真を新聞の切り抜きの上に重ね、それらを2025年の陽の光のもとで撮影し、母の思慕の念を「今」に蘇らせた。
石井 康行
写真コース
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