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身近な素材で織るタペストリー

染織コース 須永 奈穂子

サイズ:横25縦85×16枚
素 材:絹糸 レース糸 たこ糸 麻ひも テグス 紙ひも
    羊毛毛糸 アクリル毛糸 PPテープ オーガンジー 
染 料:みやこ染めコールダイオール ネイビー

普段、糸として存在する素材で布を織ることにも魅力を感じているが、卒業制作ではあえて身近にある異なる素材を織り、タペストリーとして並べたら面白いのではないかと考えた。卓上織機で扱える範囲で、普段は布地として使われないような素材を選び、それらをどう織り合わせられるかを考える時間そのものが楽しい作業だった。日常生活で使う素材に惹かれる自分にとって、それぞれの素材を“織る”という行為で表現できたら面白いという思いが制作の原点にある。
前期作品では、さまざまな紐状の異素材を用いて8枚のタペストリーを制作し、素材の組み合わせから生まれるリズムや対比の面白さを強く感じた。また、糸として扱われない素材と通常の糸を組み合わせたときにどんな変化が生まれるのかを試すことで、素材の境界が揺らぐような瞬間にも出会えた。
後期では、前期と同じ素材を同じ染液で染め、素材ごとに異なる色の出方を可視化することを試みた。素材の特性が色として立ち上がる点に魅力を感じていたが、当初想定していた糸の組み合わせでは染色後の差異が十分に表れず、表現としての面白さに欠けたため、素材の組み合わせを見直し、タペストリーそのものも織り直すことにした。この試行錯誤の過程は、素材と向き合う制作の醍醐味でもあった。
今回の作品では、より身近でありながら普段は布として扱われない素材に改めて目を向け、それらを織り合わせたときにどのような表情が生まれるのかを探った。異なる繊維が並ぶことで生まれる質感や色、手触りの変化を観察し、異素材が交差することで立ち上がる新しい魅力をタペストリーとして提示することを目指している。日常に潜む素材の可能性をそっとすくい上げるような気持ちで制作した。

絹糸は深く濃く染まり、羊毛は柔らかな手触りを持つ オーガンジーは光を透かし、麻ひもやPPテープは異素材ならではの面白い表情を生む
羊毛とPPテープ、アクリル毛糸と紙紐は思った以上に柔らかく、オーガンジーは毛糸と組み合わせると独特の手触りが生まれる 異素材同士の意外な質感の変化が魅力となった
100円ショップやホームセンターの素材が、織りで変わる
一番魅力的に見える色を確かめるため、いくつかの色で染め、試し織を行う
ネイビーが色の幅が大きく感じられたため、この色で染めることに決める
本来は素材ごとに染料を変えるところを、あえて同じ染料で染めることで、素材ごとに生まれる発色の違いを見せたいと考えた
色の濃い方から順に並べて展示し、素材ごとの発色の違いがゆっくりと見えるように展示
不思議な手触りになった毛糸とオーガンジーの組合せ

須永 奈穂子

染織コース

東京生まれ
2019年 京都芸術大学 空間演出デザインコース入学
2023年 染織コースへ転籍
小学生の頃から手芸が好きで身近な素材に触れることの
楽しさを感じてきました
糸や布という素材とじっくり向き合う中で、手で作ることの心地よさや素材が持つ表情に惹かれています
日々の暮らしの中にある小さな発見を大切にしながら
見る人の心にふんわり残るような作品作りを目指しています

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