Digital Shelter -深淵-
誰にも言えない言葉を、ここになら。
グラフィックデザインコース 渡辺 真奈美
Webアプリケーション(PC/スマートフォン対応)、HTML・CSS・JavaScript使用
本作「Digital Shelter -深淵-」は、誰にも言えない言葉を受け止める、デジタル上の“心の避難所”を提案するWeb作品である。
現代社会では、SNSを通じて常に誰かとつながり続けている。しかしそのつながりは、評価や比較、承認欲求と隣り合わせであり、本音をそのまま吐き出せる場所は決して多くない。誰かと関わりたい気持ちと、干渉されたくない気持ち。そのあいだで揺れる私たちにとって、安心して息をつける場所は、思いのほか少ないのではないだろうか。
Digital Shelterは、通知も評価も記録も存在しない空間である。投稿された言葉は保存されず、やがて水中へ溶けるように消えていく。深い海を思わせる群青の世界観のもと、「No Log(記録しない)」「No Evaluation(評価しない)」「With Presence(気配を共有する)」という思想を軸に、干渉のないつながりと、記録に残らない安心感の両立を目指した。
本作の目的は、問題を解決することではない。悩みに答えを与えるのではなく、ただ言葉を吐き出し、心を少し軽くする“カタルシス(精神的浄化)の体験”を提供することである。評価されないこと、残らないこと、干渉されないこと。その余白をあえて設計することが、現代に必要なもう一つの心のインフラになると考えた。
何も残さないという選択が、誰かの心をそっと救うこともある。
本作は、デジタル社会に小さな余白をつくる試みである。
トップ画面。深海の静寂を思わせる青い世界に、心の呟きが泡のように浮かぶ。評価も記録もない空間で、孤独や痛みを抱えた人が心安らかに自分と向き合える「デジタルの避難所」を表現。
言葉を入力し、宛先のない思いを綴るインタラクション画面。誰にも言えない感情を海に流し、ただ手放すためのUIを表現。
過去に流された言葉たちが漂うログ画面。誰かの心のかけらが泡となり、静かに消えていくのをただ眺める場所。
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