紀の香り
紀州材がいつもそばにある、暮らしの家具の提案
空間演出デザインコース 畠山 理江
■サイズ:4サイズ(奥行共通300mm)
LL:W300×H450
L:W300×H350
M:W300×H300
S:W250×H250
■材種:紀州杉
■仕上げ:無塗装
「紀の香り」がつなぐ、日々の木づかい
紀州杉を使った可変シェルフ家具「紀の香り」を制作しました。都市での暮らしは便利になった一方で、人工物に多く囲まれています。無垢の木に触れる機会が減った今だからこそ、家では木のぬくもりや香りを感じられる家具が必要だと考えました。
日本人は古来から、木と共に生活をしてきましたが、今では日々の暮らしから本物の「木」が遠のいています。数ある産地の中でも紀州杉を選んだ理由は、「日常使いに向いた杉」だと考えたからです。油分も多くて腐りにくく、経年変化の美しさも楽しめる点、つまり、「永く使える丈夫さ」と「見た目の美しさ」との両立に注目したからです。
このシェルフの特徴は、三つあります。
一つ目は、使う場所や用途に合わせて、自由に組み替えられる可変性です。さらに、安全面への配慮として、積み重ねて使う際は、シェルフの間に耐震マットを挟みます。ここにはロゴを入れ、「安全に、大切に使い続けてほしい」というメッセージも込めました。揺れが生じてもシェルフがずれにくく、安心して積み方をアレンジできる構造にしています。
二つ目は、無垢材ならではの手触りと香りです。杉の香りをダイレクトに感じられ、調湿作用も損なわないようにしています。
三つ目は、国産材を使うことが、森の未来につながるという点です。都市部で紀州材の家具を買うと、お金が産地に戻り、山の手入れや新しい植林が進み、森が健全に保たれます。
制作をとおして、木の香りや手触り、音といった感覚的なことが、 暮らしの質に大きく影響することを改めて実感しました。 この家具が、日常で「木のある暮らし」を考えてくれるきっかけになれば嬉しいです。
設計、加工、組み立てまでを実寸で自作し、素材の特性や手触り、強度、使い勝手を検証しました。収納品や生活動線、持ち運びのしやすさから逆算して寸法を設定し、強度や加工性の観点から調整を重ねました。
畠山 理江
空間演出デザインコース
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