
デジタル/インクジェットプリント
美術科 - 写真コース
谷渕 捷紀
終局
例えば、あと数ヶ月で世界が滅びるとしたら。
何の前触れもなく、ある日を境にすべてが途絶えてしまうとしたら。
そして、"終わり”が訪れることを知っているのが貴方だけだとしたら。
そんな空想の世界を、現実の世界を切り取る「写真」で表現することを試みる。
終わりゆく世界という設定の下でそこに生きる誰かの人格を想定し、期間を設けて実際に演じる。ロール・プレイングという体験の中で、架空の人物として撮影や編集といった作業に取り組んだ。
迫り来る終局と向き合い、写真のもつ記録・保存という側面にひとつの希望を見出した私ではない「誰か」ーー現実の世界に空想のフィルタを重ねていく制作によって、その姿を描くことが出来るのか。