「わたしのゆくえ ~名も知れぬ子らの背を追って~」
-戦争を題材とした小学校中・高学年向け書籍の表紙・挿絵等の制作-
イラストレーションコース 三浦 明仁 (Pit)
書籍表紙用イラストレーション(カラー×2枚(表裏))、中表紙(1枚)、扉絵・挿絵(各話4枚×5話)
自作の5つの短編小説のためのイラストレーション作品群である。
各短編は、子どもを中心とした社会的弱者が、戦争がもたらす様々な「生の歪み」の中でどう生き抜いていくのかを描こうとしている。敗戦後80年の今、国家や多くの市民から「棄てられ、忘れら去られ」ようとしている数多の人々がいた事実を伝えることを通し、「生きるていることの偶然」や「生き抜き、生き切る」ことの意味について想像が広げられることを制作のテーマとした。
題材は、「戦争トラウマの連鎖」「戦争と障がい者」「少年と軍隊(予科練)」「満州引き上げ」「戦災孤児」の5つとした。対象年齢は小学校中~高学年を想定した。読者層を意識し作品においては次の点を念頭に置いた。
・物語の中心的な場面を敗戦後とすることで、子どもたちと生きる現代と地続きであるイメージを大切にした。
・主人公はできるだけ読者層に近い年齢(最高で10歳~14歳の設定)とし、自身を投影しやすい設定とした。
・物語もイラストレーションも、最終的にはテーマに沿った「未来」「希望」や「一歩を踏み出す」というイメージが読後感として残るようにした。
・時代状況・物語の背景などは文章で描くと説明的になりがちなので、読者である子どもたちのイメージ形成を補うような要素を各物語の扉絵のイラストレーションに盛り込むようにした。
・今回は各プロットに基づきイラストレーション制作を優先したため、小説部分については未完である。
書籍化した際の裏表紙に当たる部分。各短編の主人公が戦後の豊かになった時代の街を背景に立っている姿を表紙と対になる形で描いた。
見返し(遊び)と目次の間に入る本扉のイラストレーション。第5話の主人公家族の出征前の記念写真を模して描いた。
第1話「終わらない戦争」(戦争とトラウマ)戦争トラウマの連鎖を題材としている。左上が中扉、物語に沿って左下、右上、右下という順にイラストーレーションが配置されている。(以下同様)
第2話「リハーサル」(戦争と障がい者)障がい者を収容所に送り「安楽死」という名目で虐殺したナチスのT4作戦を題材としている。扉絵は通称「灰色のバス」で子どもたちが送られたハダマー収容施設。
第3話「一人生きて」(少年と戦争)14歳で天涯孤独となり予科練に志願した父をモデルとしている。イラストに描かれた場面は全て父の記憶に基づいたもの。
第4話「白い薬包紙」(満州引き上げ)敗戦後、常に死と隣り合わせであった満州からの引き上げ家族を題材としている。
第5話「『浮浪児』とよばれて」(戦災孤児)空襲によって孤児となった二人の姉弟が主人公。
三浦 明仁 Pit
イラストレーションコース
お話を支えより魅力的にする絵をつくることを目指し、コミック風の絵を中心に創作をしています。書籍の表紙(装丁)や挿絵、絵本、ことばと絵(さまざまな物事を取材したレポート、思想・研究・科学事象の解説など)といったお仕事のお話があればぜひ。
もの心ついたころから絵を描きつづけ。小学生のとき石森章太郎と出会いマンガを描くのに熱中しました。高卒後、社会人として働きながら通った大学で尾形憲教授と出会い小学校の教員へ転職。仕事で活用するものを中心に絵を描き続け現在にいたります。
お絵描き関連で好きな作家は、石森章太郎、大友克洋、近藤ようこ、萩尾望都、竹宮恵子、荒川弘、A・モディリアーニ、A・ミュシャ、林明子、東君平。No Music, No Life.の人間です。
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