本文へ移動

人生の転換期における心の揺れ

イラストレーションコース 工藤杏香

本作品は、スマートフォンの待受画面として、日常の中で何度も目にすることを想定して制作したイラストである。
画面を開いた時に自然と視線が上へ向かうよう、縦構図を活かし、上部には未来への希望を感じられる要素を、下部には不安を表す要素を描いた。下から上へ進むにつれて、暗く重たい雰囲気から明るい印象へと変わっていく構図にすることで、気持ちが少しずつ前向きになっていく流れを表現している。
日常的に使う待受画面だからこそ、見るたびに前へ進むきっかけになる作品を目指した。

制作にきっかけとなったのは、就職を控え、新しい環境へ踏み出す時期に感じた「不安」と「期待」が入り交じる気持ちである。
未来へ進むことは楽しみである一方、これまでの自分や慣れ親しんだ環境から離れることへの迷いや戸惑いもあった。
そのような気持ちは、前向きでいようとするほど周囲には見せにくく、心の中に残り続けるものだと感じた。
そこで、不安な気持ちを無理に消すのではなく、それを抱えたままでも前へ進めるという思いを作品として表現したいと考えた。

画面下部に描いた不安の要素は、はっきりとした形ではなく、雲のようなもやもやとした表現にしている。
これは、言葉にしにくい不安な気持ちや、はっきりしない心の状態を表すためである。
一方で、画面の奥には光が広がり、その先へ進んでいけそうな印象を持たせることで、立ち止まってしまうのではなく、未来へ向かおうとする気持ちが残っている状態を描いている。

また、「未来へ」という言葉は、あえて手書きで描き加えた。
整った文字ではなく手書きにすることで、迷いや揺れを抱えながらも前に進もうとする、人の気持ちがより伝わるよう意識している。
本作品を通して、不安を感じている自分自身を否定せず、それでも一歩踏み出そうとする気持ちにそっと寄り添える存在になればと考えている

工藤杏香

イラストレーションコース

このコースのその他作品