漫画「古墳時代の聖帝 仁徳天皇 ―民の竈に煙立つ―」
イラストレーションコース 橋本彩 (ココノア)
A5サイズのグレースケールの漫画冊子
本作は「仁徳天皇の逸話」を題材とした20ページの漫画冊子です。「現代だからこそ大切にしたい逸話を、少しでも多くの人に知ってほしい」という思いから制作しました。
増税や物価高により生活が苦しくなる今の空気は、どこか仁徳天皇の時代と重なるものがあります。仁徳天皇は、税を免除することで自らが困窮することになっても民を思い、国力の回復をさせました。この日本書紀に記された逸話は、永らく仁政の見本とされてきました。
もっとも、本作は「税金をなくすべきだ」と主張するものではありません。身分制度がなくなった現代においても「上級国民」という言葉が広まり、政治家への不信が強まる今だからこそ、「私たちは政治家を選び、また自ら政治に関わることができる時代に生きている」という事実を、改めて考えてみてほしいと思いました。仁徳天皇の思いを受け継ぐ存在は限られた為政者ではなくなり、「私たち」一人ひとりになりました。
人は、何を知っているかによって考え方が大きく変わります。そして人々の思考が変われば、社会もまたその方向へ動いていきます。「政治家は私利私欲で動くものだ」と思えば、社会はそのイメージに引きずられます。しかし、良い政治のあり方を知り常識が変わっていけば、そこに近づいていくこともできる。私はそこに希望があると感じています。
日本がこれほど長く国として続いてきた理由を考えると、その歴史の中には仁徳天皇と同じように民のためを思い行動した優れた政治家たちが数多くいたことに気づきます。古墳時代を「権力者がただ力を誇示するためだけに古墳を造っていた時代」と片付けてしまうのは、とてももったいないことだと思います。仁徳天皇は「天が君(為政者)を立てるのは民の為だ」と断言しています。そこには善政への真っ直ぐな思いがあり、その思いは今の社会にも大切なものだと思います。本作が、政治や歴史について考える一つのきっかけとなれば幸いです。
表紙には「課税を復活させた後も、民の竈から豊かに煙が立ち上る光景を山から眺める仁徳天皇」を描きました。早朝の澄んだ空気感や山々から立ち上る八重雲の様子を、竈の煙と重ねて表現した所がこだわりです。漫画本編では、場面の対比やコマ割りによって「間」を作るなど人物の心理描写に工夫を凝らしました。
表紙
こぼれ話
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