美華と研究所跡地
イラストレーションコース 江島七海 (入海涼夏)
サイズ:3360px × 1890px / 350dpi
使用機材:Clip Studio Paint / XP-PenペンタブレットDecoシリーズ、Deco 01V2
近年、平成文化やレトロデザインが再評価されて、かつて「古い」とされたものが、現在ではむしろ「新しい」として受け入れられています。時代を経て、当時の表現を目にする機会が減った現代において、懐かしさとともに新鮮な魅力を感じさせる存在となりました。
平成期のイラストレーションには、大きな瞳や角ばった目などの特徴的な造形が見られ、色彩面では現代のイラストよりも明度が低く、彩度は中~高でまとめあげられています。当時のデジタル技術や印刷環境の制約が大きかったことで、手描きによる線のブレや筆の痕跡が結果的に独自の風合いを生み出し、デジタルにはない温度が生まれました。
一方で、令和のイラストはデジタル技術の進化によって、線も色もより洗練され、効率と完成度は高まりました。ただ整いすぎた表現は無機質で、人のブレや不完全さがもたらしていた味わいがなくなり、温度を感じられにくくなってしまったと感じました。
私は現代を生きている人間として、平成と令和の両方の感性を持っています。だからこそ、令和の技術や価値観を取り込みながら、自分の思う平成らしさを再構築することで「レトロでありながら新しい」ビジュアルスタイルを目指しました。
本作品は、とくに平成期に流行していたフリーホラーゲームに焦点をあて、不穏さとノスタルジーを軸に、「ホラー×恋愛×胸糞」を融合した架空のゲーム作品を想定し、ゲームのメインビジュアルを制作しました。
ヒロインの一人である美華が物語の重要なキーとなっているので、ゲームの舞台となる研究所跡地で座り込んだ彼女の場面にしました。こちらを見下ろし静かに微笑んでいる彼女は何を考えているのか、ここでどんな研究が行われていたのか、そんな風に自由にゲーム内容を想像しながら彼女を鑑賞して下さい。
シナリオや舞台設定、キャラクター設定などと細かく世界観を構築しているので、今後も引き続き個人製作で実際にプレイ出来るノベルゲームの制作を計画しています。ホラーの持つ恐怖や不安、恋愛がもたらす親密さと感情の揺れ、そして胸糞と呼ばれる後味の悪さ、この三つの要素を組み合わせた、単なる恐怖や美しさだけではない、人の感情や記憶の奥深くに爪痕を残すことができるゲームを目指してこれからも制作していきます。
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