アイデンティティ・クライシス
イラストレーションコース 山本梨生
コース奨励賞
タイトルから、どのような印象を抱いたでしょうか。
「アイデンティティ・クライシス」という言葉は、不安定さや否定的な印象を伴います。心理学などでは、アイデンティティを喪失した状態を指す用語として用いられており、この状態が続くと抑うつや睡眠障害などを引き起こす可能性があることから、一般的には対処・回復すべき問題として扱われてきました。
本作品はこのように自分を定義できない状態に対する見方を転換し、それを自然なものとして捉え直すことを提案するポジティブな作品です。
現代では、SNSを中心に盛んに行われる推し活や趣味の発信、就職活動や制作活動などあらゆる場面で「私は○○が好き」「私は○○な人間です」といった一貫性のある自己像を言語化し自己ブランディングができる者が理解・評価されやすい傾向にあります。そのため、自分を明確に定義できない状態にある者は、存在の輪郭を失いやすい構造に置かれていると感じました。
しかし、情報過多で変化や選択の場面が多い現代社会において、ひとつに定まらず揺ぎ続けていることは決して異常な状態ではなく、むしろ自然に生じるものであるといえます。
そこで、「揺らぎ続けるアイデンティティの肯定」をテーマに、これまで“クライシス”と呼ばれてきた状態について悩みや不安を抱えている者に目を向け、寄り添えられるような作品を制作しました。本作品が、揺らぎの中にいる時間を肯定的に捉えるきっかけとなれば幸いです。
Pixiv BOOTHにて作品の画像データを無料配布しています。スマートフォンやタブレット、PCの壁紙としてご自由にご利用ください。
販売ページ URL【https://a32277618.booth.pm/items/7855453】
山本梨生
イラストレーションコース
未経験からイラストの分野を学び始めました。楽しかったです。
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