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光を紡ぐ 信楽透土の律動
陶芸コース 福原 美佳 (MICA FUKUHARA)
20cm×14㎝・15cm×10㎝・15cm×15㎝・10cm×12㎝・7cm×6㎝・7cm×5㎝・5cm×4㎝
信楽透土/無釉/酸化焼成
光を紡ぐ 信楽透土の律動
信楽の豊かな土壌から生まれた「信楽透土」。その最大の特徴である透光性を極限まで引き出し、器という形の中に「光」と「動き」を封じ込めることを試みた。
制作は、形なきものに芯を据える作業から始まる。まずは新聞紙を丸めて芯材とし、その不安定で有機的な膨らみを手がかりに、薄く伸ばした土を一枚、また一枚と丁寧に重ねていった。土を置く場所は、あえて整えすぎず、自然な重なりが生むリズムを大切にしている。筆巻きの上で土を極限まで薄く引き延ばす作業は、土の粒子と対話するような繊細な時間が流れる。指先に伝わるわずかな厚みの変化を感じ取りながら、向こう側の光が透けて見えるほどの薄さを追求した。
この「薄さ」へのこだわりは、単なる技術的な挑戦ではない。それは、硬質な陶土の中に、呼吸をするような「動き」と、空間を優しく包み込む「光の透過」をもたらすための願いを込めて制作を楽しんだ。単純で同じことの繰り返しの工程であるが個々に表情の変化があり、おもしろさも感じたところ。芯を抜く作業はタイミングを見計らって慎重に行った。
焼き上げにおいては、素材本来の潔い白さを活かすため、酸化焼成を選んだ。あえて釉薬を施さないことで、土の素肌そのものが持つ柔らかな質感と、手仕事による微細な凹凸をそのまま残している。釉薬という膜を排したことで、光は遮られることなく土を通り抜け、器の内部に柔らかな陰影を宿す。
完成した作品は、静止していながらも、どこか波打ち、揺らめいているかのような躍動感を纏っている。それは、新聞紙という仮初めの芯から解き放たれ、土自らが光に向かって形を成そうとする瞬間の記録でもある。
光が差し込む場所にこの器を置いたとき、透き通るような白さと、そこに生まれる生命感あふれる動きを感じていただければと思う。素材が持つ純粋な力に心を寄せ、祈るように重ねた土の軌跡が、見る方の心に静かな光を灯すことを願う。
福原 美佳 MICA FUKUHARA
陶芸コース
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