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毒を解く

写真コース 堀田 静枝 (ホッタシズエ)

人の体には「毒」を分解する高度な機能がある。例えばアルコールは「毒」と見なされ、胃や腸から吸収されたあと肝臓で分解されて無毒化される。これを「解毒」という。
また、風邪をひいた時に咳や鼻水が出るように、体内にウィルスなどの「異物」が入ると、それを体の外に排出しようとして「防御反応」が起こる。 これらは人間が本来持っている「自然治癒力」の働きによるものだ。私はこれらの身体機能を「浄化」と捉えることにした。
自分を押し殺して、誰かが決めた正しいことばかりに縛られていると、そのうちに見えない「毒」が溜まっていくように思う。見えない「毒」はやがてヒトのこころとからだを蝕んでいくだろう。この作品は私の中にある「毒」や「異物」を、これ以上蝕まれないよう写真によって「浄化」したものである。
写真を通して少しずつ「毒」を客観的な視点で見つめ、それらを中和する過程でもある。

矛盾感や腹ただしさといった負の感情や空想を、外の「小さな景色」に投影し撮影してきた。
一見、見過ごされそうな他愛のないものばかりだが、よく見ると何かしらおかしなところがある。それらを撮影することは、見えなかった「毒」を可視化する行為と言える。
一方で、外の景色だけでは「毒」になりきらないように感じた。
頭の中にあるちょっと意地悪な思考を可視化して、一緒に並べたらどんな反応を起こすだろう。この制作では、そうした想像を形にして撮影したものをおり混ぜた。
「毒」や「異物」を負の感情にとらわれずに楽しみたいと思っている。そうすることで私はこの先も「浄化」され、落ち着きのないこの世界を生き延びていけるように思う。

堀田 静枝 ホッタシズエ

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