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TOKOKARA

所沢の人とまちをつなぐ、もう一つの居場所

空間演出デザインコース 内野 舜太

コース奨励賞

図面、イメージCG、リーフレット、模型(S=1/100、W900×D600×H100mm)

 自宅や職場、学校とは異なり、特別な目的を持たずとも気軽に立ち寄り、思い思いに過ごせる「居場所」は、私たちの日常の中にどれほどあるでしょうか。
 公園や図書館、カフェ、商業施設など、人々が集まる空間は数多くありますが、その多くは「何かをするため」に訪れるためのものであり、偶然の出会いや自然な交流が生まれる余白は限られているように感じられます。
 都市化と再開発が進む昨今、私たちは利便性や快適さを手に入れました。一方で、地域の中で顔を合わせ、関係を育む機会は少しずつ失われ、世代を越えたつながりや、土地に根ざした文化に触れる機会や場は埋もれつつあります。所沢駅周辺もまた、利便性の高い都市空間へと変化する過程で、人のスケールに寄り添った居場所や交流の場が求められる転換期にあります。
 本計画「TOKOKARA」は、駅という人とまちをつなぐ場所に、地域交流の拠点となる「もう一つの居場所」をつくる試みです。ここでは、農や食、学びや記憶といった身近な行為や体験を通して、異なる世代や背景を持つ人々が同じ時間と空間を共有します。
 何気ない滞在や小さな関わりの積み重ねが、人と人、人とまちとの関係をゆるやかに結び直し、地域の文化や魅力を未来へとつないでいく。TOKOKARAは、そのための土壌となる公共的な空間を目指し、計画されました。

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Title:
TOKOKARA

※所沢(TOKO)から(KARA)
所沢の魅力や新たなコミュニティが生まれることを願い、名付けました。

Concept:
“集い、楽しみ、学ぶ”
人と文化が交流する、もう一つの居場所

所沢市の人口は約34万人を推移しているが、今後は若年層減少と高齢化により減少が見込まれている。その市内にある所沢駅周辺は再開発が進み、商業施設や高層建築が集まる「所沢の顔」となりつつある。

各プログラムが独立した機能として空間に反映されるのではなく、それぞれの体験が空間として連なり、相互に関係していく構成を意識している。

芝生空間を中心に配置された各空間は、主要な利用空間が外部環境や緑と隣接し、どこにいても所沢の自然の気配を感じられる。

線路に面する東側は、列車の行き交いや音、光や風といった周辺環境を空間内に取り込むことで、建物内外の活動が互いに感じ取れるよう視線や動線が開かれている。

西側道路へと開かれたスロープを主動線として計画し、フロア間の移動を直感的で分かりやすいものとした。人の動きや視線が交わり、自然な出会いや関係性が生まれる。

実際に利用されている様子を表現した内観模型(1F)

実際に利用されている様子を表現した内観模型(2F)

利便性の裏で見えにくくなった地域の記憶や関係性を、体験を通して結び直す空間であるTOKOKARAは、所沢のこれからのまちづくりを考えるための一つの視点である。

内野 舜太

空間演出デザインコース

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