グラフィックデザインコース 菊島文絵
なぜ感動は一語で言い表せないのか、やばいが使いやすいのはなぜか。
インスタレーション / タテ120cm×ヨコ120cm×高さ120cm 1点 / 紙、アクリル板、竹ひご、糸他
制作の動機は、目に見えない「感情」をカタチにして見える化したかったから。人間は言葉をしゃべり文字を持つので、感情という抽象的な概念を理解できる。感情は社会性の中ではぐくまれていき、人や物との交流でネガティブなものもポジティブなものも豊かに育っていく。人は感情の生き物とも言われるが、自分の感情を正しく認識できる人は少ない。なぜなら感情は、経験や体験の中で常に動いているからだ。しかも複数の感情が同時に発生しては、あっという間に消えてしまう。初めて味わうポジティブな感情のインパクトは、次第に慣れて普段は気にもかけなくなる。一方で、ネガティブな感情は小さくても、積み重なっていくと心身が病んでしまう。私たちはさまざまな感情にさらされながらも、メンタルのバランスを保って日常を送っている。そういった人間の姿がモビールのゆらゆら揺れる動きと重なった。
言葉は物語を語り共感を生み、文字は過去から未来へと情報を伝え、私の知識を増やしてくれる。ただ、言葉は便利なツールだが、そのものの本質を十分に表すものではない。私の中に湧き上がる、このなんとも言えない感覚は、本来は私だけが気づく、私だけが感知できる体温や筋肉の微細な変化だ。それを「希望」と呼ぶか「わくわく」にするかどうかの選択権は私が持っている。願わくは、自分から生まれるうれしい感情も悲しい感情も、ひとつひとつ大切に味わえる人生を送りたい。
菊島文絵
グラフィックデザインコース
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