京都芸術大学 通信教育部

芸術史講義(ヨーロッパ)4

十八世紀・十九世紀のヨーロッパ諸国の上演芸術作品の諸潮流を学びます。

はじめに - シラバス -

担当教員からのメッセージ

受講されるみなさま、この科目を担当する中村亮二です。よろしくお願いします。
この講義では、近代の西洋文化が扱われます。私たちになじみの深い世界に次第に近づいていきました。実際にヨーロッパに旅行した時、目にする町並みの多くはこの時期に作られたものです。華やかで、豊かであると同時に矛盾と苦悩をかかえた世界です。この複雑な世界を読み解いていきましょう。

  • 授業概要 西洋の上演芸術を、18世紀後半から19世紀末までの約250年間にわたって概観し、ドイツ、イタリア、フランス、ロシア、アメリカなどで生じた様々な作品についての基礎的な知識を修得します。特にハイドンやモーツァルトに代表される古典派音楽から、ゲーテなどのロマン主義の文学、さらにはイタリア・オペラ、あるいはワーグナーやチェーホフそしてワイルドの作品などを採りあげます。
    また、個々の作品の背景にある芸術動向について学習した上で、それらの上演芸術を分析し、近代という時代の特殊性に関して考察します。
    授業目標 18世紀後半になると、文学の世界では「小説」、音楽では「交響曲」といったような、私たちになじみの深いジャンルが確立されます。また、感性の面においては、「ロマン主義」がこの時期から台頭し、それに対抗するかのように、19世紀半ばには「自然主義」が発展していきます。こうした西洋文化の重要な要素がどのように形づくられ、どのように変化していくか、全体の流れのなかで総合的に理解していくようにしてください。と同時に、この講義を通じて、さまざまな作家、さまざま芸術家に出会い、個々の作品に親しむ機会を設けてください。単なる紹介文に満足せずに、実際の作品に触れることが大事です。理想は個々の作品を様式的に捉えたうえで、その作品の特性を理解することです。この2つのアプローチは一見矛盾しているように見えるかもしれません。しかし、この2つが両立した時に、真の意味で文化を把握できたと言えるでしょう。
    授業の流れ ・1章 古典派の音楽-人間の理性と科学の時代へ
    ・2章 ゲーテと近代ドイツ文学の幕開け-啓蒙主義、シュトゥルム・ウント・ドラングからロマン主義へ
    ・3章 ロマン主義の誕生-18世紀末へ向けて
    ・4章 近代小説の誕生-内面へのまなざし
    ・5章 ロマン主義の作家たち-古典からの脱却
    ・6章 ロマン主義の音楽-市民階級の時代
    ・7章 ドイツ観念論-経験から遠く離れて
    ・8章 オペラとバレエ-歌と舞踊がつくり出すドラマ
    ・9章 リアリズムの系譜-ブルジョワジー作家たちの活躍
    ・10章 小説の時代1-呼応する新旧大陸
    ・11章 小説の時代2-ロシア文学の全盛期
    ・12章 ロシアとフランス、民族主義の音楽-さまざまな作曲家群像
    ・13章 象徴主義-新しい詩のために
    ・14章 イプセンからチェーホフへ-近代のはずれで生きる
    ・15章 19世紀末の文学-20世紀へ向けて
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