キャラクターデザイン学科

学生紹介

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2019年12月10日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズ Vol.16「北園胡々里とアナログゲームについて語るの巻」 Part2

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村上

で、今年は学生作品展でも張り切ってアナログゲームを二つも作ったわけだけど、

ここからはそのゲーム作品の話を聞いていこうかな。

 

北園

今回は「TOTTEN」と「魔女のお茶会」という二つのゲームを作ったんですけど、

TOTTEN」の方は、正直悔しいんですよ。やりたいことが出来なかったんで。

どうしてもプレイ時間が想定よりも長くなってしまって、

そこの調整がうまくいかなかったっていうのと、

見た目のクォリティもそうだし、

とにかく自分の理想の形には程遠くてとにかく悔しいんです。

 

村上

なるほど、ルールを紹介してくれる?

 

北園

うーん、ちょっと説明が長くなるんですよね。

 

村上

ルールの説明を短くまとめられないってことは、そこにシステムの欠陥があるんだよ。

 

北園

はい、仰る通りです(笑)。

まずこれは、ジャンケンの要素と人狼の要素を合わせて新しい面白さを追求してみたかった、

ていうところから企画が始まったんです。

ジャンケンゲームで「1対複数人」っていう要素に面白さを見出せないかと思って。

最初のジャンケンバトルの時に複数人側の人たちはチームとして戦うわけですけど、

次のバトルでは敵同士になってしまうので、

一度手の内を見せ合った状況でどんな駆け引きを展開するのかっていう点が見どころでした。

でもそこに力を入れすぎて周りが見えなかったっていう、

私の詰めの甘さが出てしまいました…。

 

村上

狙いは良かったんだけどなぁ。

この企画に対してこちらからGOサインを出したのは、

ルールの面白さというよりも、テストプレイをしてるときのゼミ生たちの盛り上がり方が凄かったから。

ここまで感情を揺さぶる仕組みなら面白いだろうと判断したんだけど、やっぱり難しかったね…。

じゃあ、もう一つのゲーム「魔女のお茶会」の方を聞かせてくれる?

 

北園

「魔女のお茶会」は、まず、★が1から5まで書かれたカードがあって、

それぞれに毒々しい魔女のスイーツのイラストが描かれています。

この★は毒の危険度を指すんです。

このカードを相手に受け渡して、最終的に★が一番少なかった人の勝ちという単純なルールです。

 

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学科展に出品していたアナログゲーム「魔女のお茶会」

 

北園

まず相手にカードを伏せた状態で一枚差し出して、

「これは危険度が3です。いりますか?」というように聞いて、相手は「いる」か「いらない」を返答するんです。

このとき提示された数字が本当かどうかは相手には分かりません。

★が5の危険なカードを受け取ってほしいから「1です」と嘘を言って受け取らせるでもいいですし、

信頼させるために中途半端に「3です」と言って迷わせるのもアリです。

「いる」を選んだらそれは相手のカードになるんですけど、

まだ伏せたまま相手の所にストックされます。

なので★がいくつのカードを受け取ったのかは分からないままなんです。

「いらない」を選んだら、こっそりカードを見ることができます。

そしてそのカードをまた別の人に★の数と一緒に提示します。

…ということを繰り返していって、最終的に一番★の数が少ない人が勝ち、多い人の負け、

というルールになっています。

で、もし全員が「いらない」と言った場合は、そのカードは自分の所に戻ってきます。

言葉だけで説明すると難しく聞こえるんですけど、

実際に一周遊んでみると簡単なルールだって分かってもらえるので普通に遊んでもらえます。

 

村上

ルールはシンプルでいいね。

これを初めての人に一言で説明するとしたら何て言う?

 

北園

「少ない情報でいかに人を騙すか」を楽しむゲームですね。

 

村上

なるほど。これって、例えば今自分の手元に★が12のカードしかない場合、

これを誰かに受け渡すと★の数の大きいカードが自分の所に回ってくる可能性があるから、

何もせずにパスしたいんだけど、パスはできないのね。

 

北園

パスはできません。なので、★1のカードを相手に渡して、

全員が拒否してまた自分の所に戻ってくるように、いかに騙すかが重要になってくるんです。

 

村上

たらい回しにされることを想定してゲームを進めると。

でも「1です」と言ったら相手は当然欲しがるよね。

 

北園

いや、嘘かも知れないのでそうとも限りません。

「これは1です」って言われたら、大抵は5なんじゃないかと疑うはずなんです。

 

村上

確かに。悪いカードを相手に渡すゲームだしね。

 

北園

そうなんです。なので、相手の表情とか、

相手が今までに提示してきた数から推理していくんです。

 

村上

これを初めてプレイさせてもらったときに、ゲームの仕組みは単純で面白いと感じたんだけど、

同時に勘の要素が強すぎるのかなって思ったのね。

「こいつ1って言ってるけど、本当は23のどちらかに違いない」っていう絞り込みがある程度できて、

その想定範囲内でのランダム要素という形にとどめられるとゲームとしての駆け引きが熱くなると思う。

ところが1から5の中のランダムなので、振り幅が大きすぎるんじゃないかと感じた。

 

北園

それもあったので、カードの背面に色をつけて奇数と偶数で分けるとか、

ある程度絞り込めないかと工夫したこともありましたね。

 

村上

そうだね。何かもう一つビジュアル面も含めての工夫があればもっと面白くなったかな。

でもこのゲームで気になったのは本当のその部分だけで、基本的にはすごく良くできてると思う。

 

北園

あ、でもですね、ゲームバランスの面については

何度かイラストゼミのAさんとSさんを巻き込んでテストプレイをしたんですけど、

Sさんが★5しか取らないっていう現象が起きまして。

ていうのもSさんは純粋すぎて、「これ1だよ」って言ったら全部真に受けて取っちゃうんですよ。

で、回数を重ねるとその人の性格が分かってきて、遊び方が見えてくるんですね。

逆に言うと、回数を重ねないと成立しないゲームになってるっていう(笑)

 

村上

俺は一回しか遊ばなかったから「ランダム要素が強すぎる」って言ったけど、それじゃ分からなかったわけか。

 

北園

そうなんです。10戦中9戦はSさんの負けだったので(笑)、

単にランダムなのではなくて性格や戦術が反映されるゲームになってるってことなんです。

一度Sさんの後ろに立ってテストプレイの様子を見てたことがあるんですよ。

そしたら、Sさんの持ってる1は全部他の人に取られていって、Sさんのところに45だけがどんどん溜まっていくんです。

Aさんは物凄くうまいんですよ。あいつポーカーフェイスが得意で「人狼」もうまいんで。

 

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村上

このゲーム、対戦相手の表情だけで状況の判断はできる?

 

北園

意外とできましたね。

 

村上

あ、そうか。

1と言われて「いらない」って言った後でそれが本当に1だった時とか、あからさまに表情に出るもんね。

「いるって言っときゃ良かったー!!」って。

じゃあ「5ですよ」って言って渡される場合はどうなる?

 

北園

そのときは本当に5の場合が多いですね。「5です」と宣言したときは5とか4とか結構上の数字なんですよ。

もしくは意表を突いて1ですね。3とか2という言い方をするプレイヤーはほとんどいなかったです。

 

村上

5とか4と言われると、当然それを受け取るのは嫌だし、逆に1ですと言われると「こいつ嘘ついてるな」ってなる。

となると、「いらない」と言った方が得だと。で、最終的にたらい回しにされて良いカードが自分の所に返ってくる。

 

北園

そうです。繰り返し遊ぶと徐々にそのパターンになっていきます。

あと「いらない」って言い続けると情報が収集できるんですよ。

カードが自分のところを素通りしていくんで。その繰り返しで勝率も上がっていきます。

その他には、カードを手渡すときに二度見する人がいるんですけど、

二度見というのは確認行為なので大抵嘘ですね、とか。

 

村上

と考えると、全て北園の狙い通りのゲームデザインになってたってことになるね。

 

北園

ですよ。全て狙い通り(笑)。

 

村上

このゲームはどこから企画を始めた?

 

北園

私いつもトランプを持ち歩いてるんですよ。トランプって大体何にでも活用できるんで。

で、トランプって1から13まであるじゃないですか。

これが制限されたらどうなるんだろうって思って、そこから考え始めたんですよ。

「数少ない情報から何かを読み取る遊び」というコンセプトを立てて、

まずカードを並べて眺めながら「15だけ並べて何か出来ないかな」って思ったのが切っ掛けでしたね。

 

村上

最もプリミティブな遊びの発想から始まって、仕組みが固まったら徐々に味付けをしていくっていうことね。

 

北園

最初は一人で考えるから余計にそう思うんですけど、制限を大きくしすぎるとつまらないんですよね。

でも一人でカードをめくってるうちに段々楽しくなってくるんです。

2!」とか言ってカードをめくって「なんだ5か」とか独り言を言いながら。

そのランダムの振り幅が大きいとただの運ゲーになるし、小さいとつまらない。

どの段階が面白いかを理解するまで独り言を言いながらひたすらカードめくりをしてましたね。

 

村上

相手がいないから読み合いも何もないね。

 

北園

単なるギャンブルですよね。いや、ギャンブルにすらなってないですね(笑)。

でもゲームの形になりかけてきてからは、

まだ設定も何もないまま絵も一切描かずにトランプだけを使ってAさんたちとテストプレイをしてました。

遊びの面白さだけを追求したかったんで余計な情報を一切入れたくなかったんです。

 

村上

慣れない人がゲームを作ろうとすると、どうしても最初はストーリーを作るところから入るよね。

でも北園はトランプだけを使ってゲームデザインを組み立てていったから、

そこで生じるたらい回しとかの体験がデザインできて、

そこから徐々に「もらって嬉しくないもの」という設定が転じて「魔女のスイーツ」の絵に繋がっていったんだね。

遊びが確定してからいつの間にかストーリーがまとまっていったっていう、企画の流れとしてはとても理想的。

 

北園

一時期「ゴキブリポーカー」にハマってたんで、ぶっちゃけ影響されてます(笑)

 

村上

「ゴキブリポーカー」のファンはうちの学生でも多いね。

で、学科展に出展したときのお客様の反応はどうだった?

 

北園

かなり幅広い年齢層の人に遊んでいただいたんですけど、

全員5を受け取らせたときのしてやったりな表情とか、

逆に受け取った時の絶望的な表情を見るのが楽しかったですね(笑)

 

村上

感情の振り幅が大きいゲームだったね。

読み合いっていうキーワードも出て来てたけど、北園にとって読み合いの面白さって何だと思う?

 

北園

「嘘をどれだけ隠せるか」って感じですかね。

話せば話すほどボロが出るんですけど、上手い人は綺麗に隠し通せるんです。

 

村上

俺「ワードウルフ」で一度も勝てた事ないんだけど。

 

北園

先生「人狼」でも勝てた事ないじゃないですか。

 

村上

そう、ああいうの苦手なんだわ。

 

北園

私はそういう系統のゲームが凄く得意だったので、やっぱり作るゲームにも影響しちゃうんですね。

 

村上

なるほどね。ところで「魔女のお茶会」は思考する類のゲームとはまた違うのかな。

 

北園

違います。思考ではないですね。「観て、得る」が基本です。

私はあんまり考えて遊んでほしくないって思ってるんです。

観ることで得た情報をもとにいかに想像を膨らませて遊ぶかが重要だと思ってるので。

 

村上

なるほど。しっかり観て、情報を取得して、そこから情報を加工するというのは、

学習する上での当たり前の行為だよね。

特にクリエイティブの領域だと、観察を通して情報の編集をしてテーマを掘り下げて、そして作品を作っていく。

そういうクリエイティブとかアクティブラーニングの基本形がこのゲームの中に濃縮されてるような気がする。

知育玩具としてすごく有用なゲームになるんじゃないかな。

思考だけだと段々パターン化されてきてゲームの面白さにつながらないんじゃないかと思うけど、

このゲームは対戦相手が変わることで戦略も変わってくるので。

 

北園

だからだと思うんですけど、テストプレイしてるときに、Sさんが連敗してたのに、最後の一回だけ勝ったんですよ。

学んだのかどうか分からないんですけど、綺麗に12だけを揃えて勝利してたんです。

 

村上

偶然なのか、学んだのか…!?

 

北園

何回も遊んでるうちに、Sさんが周囲を見始めたんですよ。それまでは自分の手元のカードだけを見てました。

 

村上

つまり全体を観察する人が勝てる?

 

北園

はい。私とAさんは、常にそこにいる全員の表情と、

その人たちのカードと、自分の手元のカードを見比べながら全体を見渡す癖がありました。

 

村上

自分のことだけを見てる人はロクでもない結果を生むけど、

一歩引いて全体を客観視できてる人は幸せになれるっていう、

人生の縮図みたいなゲームともいえるね。

 

北園

壮大な話ですけど、でも確かにそうかも知れないですね。

あとテストプレイの時にもう一人別の学生もいたんですけど、その子は「場を見る」という癖がありました。

遊ぶ人によって視点が違うっていう点に気付いて、これを含めて面白いと思いました。

観察すると情報がたくさん入ってくるので、

制作を通して視点が変わったことで私自身がたくさん学ばせてもらいましたね。

 

村上

視野のコントロールって教育上すごく重要だったりするけど、

そのトレーニング用の教材としても活用できそうだね。

なんか今回のインタビューではゲーム性とアクティブラーニングの共通点を見つける上での重要なキーワードが出てきたね。

ここは今後ももう少し掘り下げて研究を進めていこうと思います。

では今回はありがとうございました。

 

北園

はい、ありがとうございました。

 

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2019年11月27日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズvol.16「北園胡々里とアナログゲームについて語るの巻」part1

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ゼミ通ヒーローズ Vol.16

「北園胡々里とアナログゲームについて語るの巻」 Part1

 

今回のゼミ通ヒーローズは、村上ゼミ3年生の北園胡々里さん(大阪府立芥川高等学校出身)をピックアップします。

 

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学科展にて自身のゲームの実演紹介を行う北園胡々里さん。

 

村上

まずは定番の質問からなんだけど、なんでこの大学に来たの?

 

北園

最初は芸術系の大学は考えてなくて、普通の大学に行こうと思ってたんですよ。

でも先輩からここが良いって聞いて。

ここは先生が全員現役のプロのクリエーターとして技術にも特化してるっていうのが凄くて、

オープンキャンパスで色々話を聞かせていただいて、先生との距離も近くて衝撃を受けたんですよ。

 

村上

なるほどね。いきなり芸術系に鞍替えっていうのもなかなか勇気のある決断だな…。

 

北園

AO入試で合格したんですけど、あの日一時間遅刻したんですよね。

絶対落ちるって思いながら慌てて大学に電話して「すみません、バスに乗る方向間違えました」って(笑)

 

村上

遅刻したのに合格したとは。じゃ発想かプレゼンが高く評価されたんだね。

 

北園

私、絵はうまくないんですよ。

 

村上

うん、わかってるよ(笑)

 

北園

ただ趣味で描いてた程度で。なので発想力が評価されたのかなって思ってます。

 

村上

実際に入学してみてどうだった?

 

北園

なんか、違ってました(笑)。もちろん技術とか基礎的なことも教えてくれるんですけど、

私がゲームの授業を中心に履修してたから余計にそう思うのか、発想力強化に凄く力を入れてるなって思いました。

古いものよりも新しいものを学んでる感じがしました。

 

村上

うちは横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」の理念を崇拝してるから、

「あそび」を作る上での普遍的な話ばかりをしていて、新しい事は何ひとつ教えてないんだけどな。

技術的な話なら各自ネットで調べて勝手にやって下さいってスタンスなんで。

 

北園

でもなんか新しく感じたんですよ。

 

村上

それは単純に未知の領域だからそう感じただけなんじゃないかな。

 

北園

なるほど、それはそうかも知れないですね。

その考え方が浸透したからか、一年生のとき作ったアナログゲームが切っ掛けでどっぷりとゲーム制作にのめりこみました。ゲームを作るのって面白いって。

 

村上

ちなみに、あの授業の中でアナログゲームの作り方って実は一切教えてないんだよね。

ただゲームの7要素の話とか、ジョーカーの要素の話を軽くしただけで、あとは発想力を鍛えるためにひたすら学生を質問攻めにするというやり方と、グループワークのときのチームビルディングの方法を教えただけ。あとは放置(笑)。

 

北園

3年生になって、「あれ?そういえば私、先生から何も教わってない」って思いました。

 

村上

そう、教えた覚えはない。

 

北園

こうしたら面白くなるっていうマニュアルがあるわけじゃないし、テストプレイを重ねて面白さを自分たちで見つけていくしかないっていう積み重ねがのめりこんだ理由なんだと思いますね。

 

村上

これ、アクティブラーニングの基本なんだけど、教え込むっていうのが嫌いなんだよね。君らは生徒じゃなくて学生なので、そこを尊重したいわけ。教え込まれる立場ではなくて研究者っていう意味でね。だから「どうしたい?」って聞くばっかり。そりゃ余りにも効率が悪いとかクォリティが上がらないとかシステムが破綻してるというような場合は助言をするけど、基本は学生が何をしたいのかを引き出して、ゴールへ導く方法だけを示す。

 

北園

確かにそんな感じでしたね。でも先生に途中経過を見せるたびに「これで良いと思う?」って聞かれるのはわりと恐怖でしたよ。単なる質問なのか、悪い点を間接的に指摘されてるのか、その意図が分からなくて、意図を聞くのも怖くて必死で改善案を考えました。

 

村上

で、考えたでしょ?だからそれでOK

 

北園

はい、ものすごく考えて、仕様を詰め込みすぎる傾向もありましたね。

 

村上

最初はそうなりがちだわな。初めてゲームを作る時って客観性を失うから色々詰め込みすぎて複雑になっていく。そして面白いかどうかの前に、「遊び方が分からない」っていう最悪の結果を生む事になる。

でも恐怖を与えてしまってたのはマズいな(笑)。根がゲーム野郎なんで意地悪な部分はあると思うけど。ちょっと追い詰めてみて、泣きそうになってるところを見て楽しんだり。

 

北園

基本、ゲームを考える人って性格悪いですからね。

 

村上

それは否定しない(笑)。履修登録前のガイダンスでも言ったよね。この進路は性格の悪い人が向いてますって。

ゲームゼミの受講条件は「人を一度有頂天にさせてから叩き落とすのが好きな人」。真面目に不真面目を追及するとか。

…あんまりここで変な事を言うと受講希望者が減るからやめとこう…。

 

北園

だから来ました(笑)。私も落とし穴を掘ってニヤニヤするタイプなので。

 

村上

今や北園はアナログゲーム担当みたいな立ち位置だよね。

 

北園

そうですね。すっかりそんなキャラですね。

 

村上

それに感化されてか、今年の学科展ではアナログゲーム作品が全部で4つも。去年は1つだったけど。

 

北園

元々デジタルゲームで遊ぶばかりであまりアナログゲームには触れてこなかったんですけど、数名揃わないとできないっていう制約がネックでなかなか遊べなかったんですね。

それでも授業で「ナンジャモンジャ」とか「モンスターメーカー」、

友達とは「コヨーテ」「キャット&チョコレート」「人狼」をやってどんどんハマっていきました。

 

村上

ルールの面白さというよりも、人とのコミュニケーションが面白いよね。

 

北園

正解のないゲームなので、自分の発想力で勝負するしかなくて、アイデアを話していかに相手を納得させるかっていうルールが面白いです。で、実際にやってみて、人の反応を見るのがものすごく楽しかったんです。

 

村上

先日も一年生のゲーム基礎の授業でアナログゲームの実演をしてみた。普段みんなスマホのゲームでしか遊ばなくて、コンシューマゲームすらも離れつつあるから、逆にアナログゲームをやらせたら異様な盛り上がりでみんなドハマりしちゃって。

「ナンジャモンジャ」にはじまり、飛騨名物となった「箱入り娘の大家族」とか。やっぱり発想というか、使い古されたネタに対してジョーカーの要素を加えたり視点を変えることで面白さを探していくっていうのが素晴らしいね。

 

北園

「箱入り娘の大家族」はいいですよねー。ただの古めかしいパズルゲームなのに、遊んでいくと勝手にストーリーが出来上がっていくっていう。

 

村上

じゃあ北園は学科展用の作品は最初からアナログゲームを作ろうと考えてた?

 

北園

いや。最初はデジタルゲームで考えてましたよ。でも一年の時のゲーム制作でのめり込んで以来、気が付いたらアナログゲームの資料を集めたり調べたりして、アナログの研究ばかりやってました。四条界隈にアナログゲームのお店があるんですけど、新作が出てないかと思って覗くのが日課になってますね。

 

村上

アナログゲ―ムの魅力って?

 

北園

デジタルだと画面しか見ないじゃないですか。アナログゲームはテーブルもだし人もだし、色んなものを見なきゃいけないですよね。「人狼」みたいに、人の表情を読み解いて戦略を考えるようなゲームだと、とにかく人を見るのが楽しいですよね。

 

村上

大人数だと、誰かの戦略に合わせて次の人がまた流動的に戦略を変えて、というような一筋縄ではいかない部分が面白いね。

 

北園

流れを断ち切られた時のヤバさが楽しいですね。「計画が変わった!どうしよう!」ってパニックになってボロを出してしまったりとか。

 

村上

で、今年は学生作品展でも張り切ってアナログゲームを二つも作ったわけだけど、ここからはそのゲーム作品の話を聞いていこうかな。

 

 

Part2に続く

 

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2019年11月13日  学生紹介

奥田菜陽と「Happy Elements授業」について語るの巻 Part2

 

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ゼミ通ヒーローズ Vol.15

 

 

村上

では、ゲーム制作特殊演習での奥田の作品を見ながら話をしていこうか。

 

奥田

はい、お願いします。

 

村上

まず、授業の課題内容はこんな感じね。

 

<課題内容>

概要:

昼はダメ男、夜は二枚目の主人公タカシが、クラスメイトのコマチとともに現代の京都を舞台に妖怪退治をする。

地獄の入口と呼ばれた六道珍皇寺の井戸が何者かによって開放され、封印されていた妖怪が街に溢れ出した。これらを見つけ、妖怪を封印するたびに妖怪の持つ能力を引き出し自分のものとして吸収していく。(能力に応じて見つけられる妖怪の種類が増えたり移動可能な場所が拡張されていく)

成果物:

このゲームのコンセプトアート1枚と、ゲームに登場するキャラクターの中から任意のものを2体選んで立ち絵を作成。

制作のポイント:

モチーフとなるキャラクターや妖怪、世界観についてのリサーチ及びロケハンを行ない、地域文化・歴史に対する考察を行なってキャラクターをデザインしていく。フィールドワークによる調査過程も成績に反映させる。

 

村上

これは、授業の前半で制作したコンセプトアートだね。

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奥田

これはですね、今まさに敵と戦わんとする主人公タカシと、そこで指示役として登場するヒロインのコマチがいたので、二人が力を合わせている場面を描きました。

スマホゲームのコンセプトアートなので、パッと見たときに分かる色っていうか、まあ、結局私が得意な色を使っちゃったんですけど。キャラクターの顔とエフェクトに視線が行くように頑張って描いたつもりです。

 

村上

ビビットな色を使ってるところがスマホゲームを意識したっていうこと?

 

奥田

そうですね。やっぱりスマホの液晶画面ってハッキリした明度差がイメージとしてあったので、明るい所は明るく、暗い所は暗く描きました。

 

村上

なるほど。今度はキャラクターデザインだけど、だいぶ改良したよね。

 

奥田

そうですね。最初のバージョンからかなり変わりましたね。

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キャラクターのラフスケッチ

 

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ヒロインの最終イメージ。

 

 

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奥田

これでHappy Elementsさんに見ていただいた時に、コマチが全体的に強すぎると指摘されました。ヒロインなのでもう少し守ってあげたくなるような女の子らしさとか出した方がいいと。

 

村上

昼バージョンのカタシ、キャラ立ってないな…。最初こんなんだったっけか。これじゃ完全に立場逆だもんね。

 

奥田

サポート役なのにコマチ一人だけでも戦えそうって言われて。でも何度か修正を加えて、最終的には随分大人しくなりました。

 

村上

ゲームの主旨には合ってるわな。キャラクターを作る時はどういうところに気を付けてる?

 

奥田

ポーズですね。あと個人的なこだわりは髪型なんですけど。

ポーズはめちゃくちゃ描き直して、先生にも何回か修正を言われて、ずっと「女の子らしさって何だ!」ってすごい考えました。家に帰ってから鏡の前で悪戦苦闘して(笑)

 

村上

実際に自分が演じてみて、そこから描いてるのね。

 

奥田

そうですね。最初の絵は足に結構動きがあったっていうか、足腰が強すぎて。

 

村上

足腰に力が入るとアクションゲームのヒロインみたいになってしまうよね。

 

奥田

そうですよね。

 

村上

じゃあ、主人公のタカシは?

 

奥田

近寄りがたい雰囲気を出したくて。

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村上

いるいる、こんなやつ。これは近寄りがたい(笑)

 

奥田

設定で一応「昼はあまりパッとしない男」てことになっていて、そんな彼を好きなコマチはちょっと変、みたいな。

 

村上

そのギャップを演出したくてわざわざこうしたのね。コマチ自体はモテそうなのに、そんな子が惚れた相手がこれかよ(笑)!を狙ったと。

 

奥田

そうですそうです。めっちゃ友達から気持ち悪いって言われます。こいつが妖怪じゃんって(笑)それでも、よくよく見たら髪がサラサラだったりとか、顔立ちはまぁまぁ良いよね、と言われるようには気を付けました。

 

村上

目のキャッチライトが目立ってないから死人っぽく見えるな。それは意図的な演出?

 

奥田

意図的ですね。ハイライトはいつもより小さめに入れるようにしています。順光というよりはどこかの照り返し程度の光に押さえてます。コマチは赤系統のハイライトを入れて強そうに見せてます。

 

村上

強いヒロインが好き?

 

奥田

好きですね。私のヒロイン作りのルーツが「るろうに剣心」なんですけど、なんかナヨっとした男の主人公が、ヒロインにケツしばかれながら「さっさと働きなさいよ」とか言われてるのが好きなんです。

 

村上

ゲームにおいてキャラクターデザインがもたらす効果ってどんなものが考えられる?

キャラクターがいなきゃいけない理由というか。

 

奥田

入りやすさですかね。自分を照らし合わせる部分っていうのが、ゲーム単体とか遊びだけだったら感じられないですけど、でもキャラクターは鏡の役割もあって明確に自分をここに合わせて良いんだ、ここに立っていて良いんだっていう立ち位置みたいなものを感じることができます。

 

村上

「ここに立っていて良い」というのは、共感性のことを指してるのか、文字通りその空間に立ってるということなのか、どうなの?

 

奥田

どちらかというと心理的な意味合いですね。プレイヤー自身を反映するための目印っていうのかな。先生もよく「ゲームキャラクターは記号だ」って仰ってますけど。

 

村上

なるほどね。これ、結構ショックを受ける学生が多いみたいね。可愛いとかカッコいいキャラクターを描きにこの大学に入って来たのに、いきなり初回の授業で「記号」って言われて。

じゃあ、ビジュアルで惹かれたゲームって何かある?

 

奥田

めっちゃ最近ですけど「ペルソナ5」ですね。UIも凄いんですけど、とにかくキャラクターが好きで。

 

村上

なるほど、確かにあれは自分もシステム云々の前にキャラクターとストーリーの魅力に惹かれてエンディングまでいったな。

 

奥田

子供の頃は、私はたまに周りの流行から外れてて、昔からあるゲームで遊んだりすることもありました。

 

村上

それは親の影響で?

 

奥田

いや、なんとなく自然に。家に誰も使わないPlayStation2がずっと置いてあったので、中古でゲームを買っては遊んでましたね。

 

村上

自分はファミコン以前のカセットテープの時代からゲームで遊んでたんで、デフォルメされたキャラクターどころか記号をキャラクターと見立てて想像だけで遊ぶようなものをやってたんで、今風のシリアスなキャラなんて想像できなくて、「こんなキャラを動かしてゲームとして成立するのかな」って疑問に思ったくらい。ましてや3DCGに変わったときも、これどうやって動かすんだろうって思って。

でも今の学生って、スタートがそこからだから、逆に二頭身キャラクターとか気持ち悪いとは思わない?

 

奥田

いや、どうなんでしょうね。私は「かまいたちの夜」みたいなキャラクターやビジュアルに凝ってないゲームばかりやってきたので。

 

村上

凝ってないって言うな(苦笑)キャラクターがシルエットで表示されてるだけね。

 

奥田

あとは「絶体絶命都市」とか、キャラクターに入り込むよりも状況そのものを楽しむようなものが好きですね。

 

村上

Happy Elementsさんのゲームでプレイしたものは何?

 

奥田

「メルクストーリア」と「あんさんぶるスターズ!」ですね。

 

村上

なるほど、それぞれのタイトルの魅力を感じるポイントは?

 

奥田

やっぱり絵作りが良いですよね。キャラクターの内面や設定はとりあえず分からなくても、パッと呑み込まれるっていうか、見た瞬間にビビッとくる色とビジュアルが良いなって思ってます。すぐダウンロードしてみようかなってなるぐらい初見で殴られる絵作りだと思います。もちろん世界観とかシステムも良いんですけど、入口が入りやすいって感じがしますね。

 

村上

自分はコテコテのコンシューマ畑の出身なので最初はその魅力が分からなかったんだけど、実際にプレイしてみたらやっぱりビジュアルで引き込まれていつの間にかハマってしまった。

 

奥田

たしかに。いや凄いですね本当に。特に「あんスタ」の色はめちゃくちゃ良いなって思います。こんながっつり紫とか使ってるゲームなかなか見かけないんじゃないかな?と思ったり。

 

村上

で、まさにそれらのゲームを開発してるアートディレクターさんに直接授業を受けてるわけだけど、既存のイラスト系授業との大きな違いは何かある?

 

奥田

自分は去年イラスト制作の基礎、今年は応用を取っているのですが、流れ的には指示書のようなものがあって、それに沿ったイラストを描いて提出、合評という形なのですが、やっぱりいかに指示書に添えたか、あとイラストとしての出来、デッサンの狂いなどを見られる気がします。

Happy Elementsさんの授業は、絵のクオリティは当たり前として、じゃあそれが実際課金やダウンロードに繋がるのか?とか、こういったモチーフや色からどういう印象をプレイヤーに与えるのかまで、自分が絵を描いて人様に見ていただくまでの流れを強く意識するというのが大きな違いではないでしょうか?

この授業を受けて、実際見る人やプレイする人に届いたところに関する意識を強く持つようになりました。

 

村上

今回のHappy Elementsさんとの合同授業で得たものって何?

 

奥田

まず、授業を受けて良かったと思うのは、絵に対する姿勢はかなり変わりましたね。やっぱり趣味で描く絵とプロとして描く絵は別じゃないといけなくて。さっきも話しましたけど、プロはもっと先のことを考えてやってるから、今のレベルで立ち止まってちゃいけないなって思いました。プロとして描く絵は思考のプロセスから絵の作り方からちゃんと状況に合わせて考えなきゃいけないというのを学びましたね。

 

村上

そもそもアウトプットがあるかどうかなんだよね。趣味で描くと「絵」で終わるけど、ゲームなのであればゲームとして動作したときにどう見えるのかを考えなきゃいけない。

 

奥田

そこはちゃんと切り分けないといけないなって思ってて、今年はアウトプットの練習ってわけじゃないですけど、自分の絵を実際に物にしたり形にしたいと思ってます。本とかキャラクターグッズとかにしてみて、「映え」を意識したモノづくりをしていくつもりです。

 

村上

プランナー志望っていうのもあるし、そこも含めてのビジュアル作りをしていくということね。

というわけで、そろそろ時間なのでこの辺で。

ありがとうございました。

 

奥田

ありがとうございました。

 

 

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2019年11月8日  学生紹介

奥田菜陽と「Happy Elements授業」について語るの巻 Part1

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ゼミ通ヒーローズ Vol.15

 

今回のゼミ通ヒーローズでは、ゲームゼミ2年生(12期生)の奥田菜陽さん(広島県立広島観音高等学校出身)をピックアップ。

絵も描けて企画もできる奥田さんですが、

今回は彼女が受講している「ゲーム制作特殊演習(株式会社Happy Elementsさんとの合同授業)」での

イラスト作成を中心にその表現についてお話を聞こうと思います。

 

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オープンキャンパスのスタッフとして高校生に学科説明をする奥田菜陽さん。

 

村上

まずは人となりから聞いていこうかな。そもそも、どうしてこの大学に入ろうとしたの?

 

奥田

私、高校の時にずっと「ジョジョの奇妙な冒険」にハマってたんですけど、

荒木先生を尊敬してて、とにかく漫画が描きたかったんです。

受験のときもここのマンガ学科が第一志望でキャラデは第二志望だったんですけど、

二つの学科で合格が出たんですよ。

その時大学から届いた通知には「隣の芝は青く見えるのでしっかり考えましょう」みたいなことが書いてあったんですね。

それを読んで「じゃあ、本当に私はマンガが描きたいのか」って考えた時に、

荒木先生が「漫画は総合芸術だ」っていうことを言ってらっしゃって、

それがすごい憧れだったっていうか、

一つの作品を作るのに全部のことをしなきゃいけないじゃないですか。

で、キャラデはどうかって考えた時に、学べる領域がたくさんあって、

これを組み合わせたら自分がやりたい総合芸術が何か出来るんじゃないかと思って、ここに決めました。

 

村上

キャラデで漫画を描こうとは思わなかったの?

 

奥田

それはですね、1年生のときに「ゲーム制作基礎」をとってたじゃないですか。

あの時に、本当にたまたまだと思うんですけど、村上先生が「ゲームは総合芸術だ」って言ってて、

その作業工程も含めて自分がやりたいことと一致したので。

 

村上

ちなみに、総合芸術じゃなくて、究極の総合芸術ね。

 

奥田

あー、そうでした。そんな風に言ってましたね(笑)

 

村上

情報をインプットするだけじゃなくて、操作することで「人と機械」「人と人」の相互関係が生まれたり

「体験」をデザインできるから究極の総合芸術って言い方をしてる。

イカすだろ(微笑)

 

奥田

はい、そこでズキューンってきました(笑)

 

村上

…にしても、漫画からゲームって、物凄い変化じゃない?

 

奥田

そうですかぁ?

 

村上

総合芸術であれば何でも良かったってこと?

 

奥田

いや、なんか色んなことに触れてみたかったっていうか、

性格的に一本に絞るのが向いてないなって思ったんですよ。

 

村上

貧乏性なのかな。目の前に出されたものは勿体ないから全部喰うみたいな。

 

奥田

そうかも知れないですね。一つのことだけだとどうしても途中で飽きちゃうんですよね。

 

村上

自分も超飽き性だからよく分かるな。常に違うことをやってないと耐えられない。

ゲームの開発をしてた頃も、基本トラブル続きだから飽きない(笑)。

しんどすぎて毎回「今回が最後。これで退職しよう」って思い続けて、

打ち上げの席では「次何作ろっか!?」なんて盛り上がってる。

今思えば完全に中毒だったね。

 

奥田

そう、それです。毎回課題やってても辛いと思うこともあるんですけど、

いつの間にか絵を描いてたり、新しい企画を考えてたり、そんなことばっかりですね。

 

村上

それはどういう思考なの?

 

奥田

ただ描きたいって思って描いてます。頭の方が先に動いてはいるんですけど。

 

村上

「何を描くか」ではなくて、ペンを握ってから「さあ何をしよう」ってこと?

 

奥田

そうです。衝動的に絵を描きたいって思ってから題材を決めますね。

 

村上

自分もそのタイプなんだけど、いざペンタブに向かって「描くぞ」ってなって、

集中して気持ちを高めて、ペンを走らせようとした瞬間にメールとかLINEとか。

結局返信を書いてるうちにどんどんメールが溜まってきて、あわわわわわみたいな。

 

奥田

まさしく去年がそんな感じで、今年もかなりヤバかったんですけど、

去年はゲームだけじゃなくてアニメーションとCGの授業もとってたので、

常に一定のペースで大きな課題が押し寄せてくるっていう。

 

村上

随分ヘビーな授業で固めたね。

 

奥田

そうですね、とれるうちにたくさん取っておこうと思ってましたね。

今年はCGとアニメはとってない分、ビジュアルに特化しようと思っていて、

「デザインソン」とか「動画ソフト演習」「背景美術」とかとってますね。

 

村上

中でも一番ヘビーな授業は?

 

奥田

ヘハインホンれす(笑)

 

村上

かなり言葉を濁してきたね(笑)

 

奥田

別にしんどいっていう意味ではなくて、デザインって正解がないじゃないですか。

絵の場合だったら自分の中で「ここで完成」って区切りがつけられるんですけど、

デザインって、考えれば考えるほど悩んでしまってずーっと修正し続けて終わりが見えてこないので。

あと、単にillustratorに自分が慣れてないだけっていうのもあるんですけど。

私の場合、アウトプットに行くまでに結構時間がかかるんです。

まず頭の中でアイデアを練って、スケッチブックに何枚も案を描いて、

それが納得いくまで形にしないみたいなところがあって、締め切り直前にわーってなるんです。

 

村上

企画をしっかり詰めるのは良いことなんだけどね。

ところで、ゲームゼミに入った理由は?

 

奥田

まあ、ゲームを作りたいっていうのが大きいですね。

総合芸術っていうのはあくまでスタートだったっていうか、

それ以降はあまり意識してはいないんですけど、

自分に何ができるとか、何がやりたいかをちゃんと探したかったっていうか。

 

村上

今年の2月には、まだゼミも決まる前から卒業制作展でのゲームゼミの展示を手伝ったりしてたもんね。

全日程朝から晩までずっと手伝ってくれてたけど、あれはどうして?

 

奥田

友達に誘われたっていうのもあるんですけど、しかも前日の深夜2時に。

 

村上

それで出てくるのがまず凄いよな。

 

奥田

最初は面倒臭いなって思ったんですけど、

設営初日に「カナンの塔」というゲームの展示のお手伝いに行った瞬間に

先輩の作品を見て「すげー!!」ってなって、思い切り頭を殴られたような気になりました。

先生もよく言ってますけど、やっぱり身近な存在の重要性っていうのを思い知って。

それまでは4年生と話す機会がなかったんですよね。

だから初めて会う人でしたけど、

ゲームゼミの先輩でこんな自分の手に負えなさそうな凄いものを作ってて本当にびっくりしました。

 

村上

あの子らは他の後輩からも「レジェンド」って呼ばれてた人たちだからね。

で、また絵の方の話に戻したいんだけど、今年のゲームゼミ2年生のメンバーって、

企画もできるし絵も描ける濃いメンバーが揃ってるよね。

 

奥田

そうですね、確かに濃い面々ですよね。

 

村上

奥田自身も同じく企画もデザインもできるけど、ゼミの中での奥田の立ち位置というか、

この先どうしていきたいっていうビジョンはあるの?

 

奥田

立ち位置についてはずっと悩んでるんですけど、本当に周りのメンバーが凄すぎて、

置いていかれないように精一杯突っ走ってるって感じなんですよ。

でもやっぱり絵が描けるプランナーという立ち位置を目指してますね。

 

村上

さっき奥田が言った「周りのメンバーが凄すぎる」っていうのは、実は他のメンバーも同じことを言っていて。

で、これは今になって思えば申し訳ない話なんだけど、

ゼミの初回授業で「キミらは関西でも高い人気を誇る学科の、その中の人気ゼミに選ばれて入ってきた。

先輩たちの努力によってこのゼミもこんなに大きくなったから、皆もがんばろぉー!」っていって

ハッパをかけたつもりだったんだけど、

それが思いのほか皆に大きなプレッシャーを与えてしまってたみたいで…。

 

奥田

はいはいはい、そうですそうです(笑)確かに初日から怖かったですね、あれ(笑)

 

村上

でも今回はゼミの話がしたいわけではなくて、ゲームにおけるキャラクターデザインという題目で、

今ゲーム会社のHappy Elementsさんとやっている授業「ゲーム制作特殊演習」の中での

イラストレーション制作について触れてみようかなと。

 

奥田

はい、わかりました。

 

村上

これは去年から開講された授業で、

去年はチームを4つ作って、そこでゲームプランニングから企画書を完成させるところまでをやったんだけど、

プランニングの要素が入ると評価基準もバラバラになって判定しにくいということもあって、

今年の授業では各自単独の作業として、決められたゲームプロットをもとにオリジナルのキャラクターをデザインしたり、

コンセプトアートを描いたり、最終的にはそれを設定集として人様に見せられるレベルの冊子を作る、という内容に変えた。

 

奥田

内容としては、前期は先生が考えたゲームの企画書をもとに、

その舞台となる世界観を紹介するためのコンセプトアートやキャラクターデザインをして、

後期になると、それを活かしてUIデザインを含めてゲーム画面を作り込んだり、

設定集を作ったり、でいいんですよね。

 

村上

そうそう。大きく分けると前期はイラスト、後期はグラフィックデザインという流れになるかな。

で、実際に前期受講してみてどうだった?

 

奥田

自分の作品に対してはまだ納得がいってないんです。

受講者全員が選抜されたメンバーというだけあって、先輩方の考え方とか絵のクォリティが桁違いに高くて、

それに触発されて頑張ろう!てなった感はあるんですが、

どれだけやってもプロのレベルっていうのは全然違うんだなって実感しましたね。

 

村上

どの辺にプロとの違いを感じた?

 

奥田

思考のレベルですかね。描きたかったものを描いてしまう癖とか、

テーマにこじつけて何とか自分の描きたいものに近づけていくことが多かったですけど、

Happy Elementsさんの説明を聞いていたら、「この色はこんなイメージを与えるから」とか、

ちょっとした構図とか、それこそこの会社のキャラクターは特に顔が売りになってくるので、

表情をちゃんと見せるための構図作りをしているとか、常に私たちの一歩先を考えてるんだなって感じました。

私たちは「絵を描く」っていうところまでしか考えてなかったんですけど、

絵を描いてそれを売っていくところまでプロの人はちゃんと考えてるんだなって感じました。

私の考えが浅かったなと(笑)

 

村上

2年生の段階でそこに気付けたのは大きいと思うよ。

 

奥田

今年は2回生が多いですね。だいたい半分くらいですかね。どうやって受講者エントリーの審査したんですか?

 

村上

ガイダンスの時に「これは3年生が中心になる授業ですよ」と詠っていながらも、

履修エントリーの際のポートフォリオを全員分並べて審査した時に、圧倒的に2年生の画力が高かった。

Happy Elementsさんの会議室で全員分の画像を表示して、結構時間をかけて一人ひとり審査したよ。

これまでの授業の履修状況とか出席率とか授業態度とか(笑)

ここで選ばれた君はエースってわけで。

 

奥田

おぉー!(笑)

 

村上

この授業の扱いとして、学科の憧れの授業にしたかったんだよね。

だから「聴講したい」って希望も結構聞くんだけど、それも受け付けない。

選ばれた人しか入れませんっていう。

じゃあ、ここから授業の具体的な内容について触れていこうかな。

 

 

 

Part 2に続く

 

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2019年11月5日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズvol.14「菊竹茉由と制御について語るの巻」Part2

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ゼミ通ヒーローズvol.14

菊竹茉由と「制御」について語るの巻 Part2

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村上

なるほど。じゃあ今度はゲームゼミの根本の話をするけど、「ゲーム教育」というものについて掘り下げていこうかな。

 

菊竹

また難しい話を…(笑)

 

村上

ゲームって、世の中的にはあまりよろしくないイメージがあるよね。

 

菊竹

やり過ぎたら怒られるとか。まあ、あまり良いイメージは持たれないですね。

 

村上

子供は、宿題をやれと言ってもやらないけど、ゲームは「するな」というと隠れてでもしようとする。それは一体なぜですか?という問いかけから授業は始まるわけだけど。

先日うちの嫁さんがママ友から「子供がずっと隠れてゲームをやってる」と相談を受けたのね。スマホを隠したりパスワードを変えたりしても、意地でも見つけ出してロックも解除して遊ぼうとする。で、依存症になりそうで怖いと。

 

菊竹

でも、ゲームを隠したところで結局探しに行くだけですよね。全く根本解決になってない。

 

村上

そう。でも、例えばサッカーの練習に夢中になってる少年は依存症とは言われないよね。洗濯は大変だし帰りは遅いし、時には怪我もするし。あとは朝練で疲れ果てて授業中はずっと居眠りしてるし、母親からすると結構大変な状態なはず。でもそれは「ヨシ」で、コンピューターゲームは「ナシ」と言われる。

で、そんな世の中的に「ナシ」と言われてるものを君らは一生懸命研究してるわけだよね。

 

菊竹

でもやっぱり遊びって必要ですよ。単純に言うと、楽しくないと何をするにもモチベーションが上がらないし。

 

村上

うちのゼミでは、人を観察してその人を楽しませるための仕組みを考えるっていう創作工程そのものを「遊び」だと定義してる。平たく言うと、クリエイティブこそが遊びであり遊びこそがクリエイティブ。

 

菊竹

絵を描いてて楽しいのは、頭に思い浮かんだものを形にできるのが嬉しいからなんですよね。

描いたものを見てもらうことも出来るし、設定とかつけて物語にもできるし、描いてるときも描いたあとも楽しい。

 

村上

設定を考えてるときが一番楽しいっていうのは、やっぱりプランナーとデザイナーの両方の資質を持ち合わせてるからこその考え方なんだろうね。

 

菊竹

絵に限らないですけど、ただジャンプしてるだけでも楽しいですよ。

 

村上

マリオのコンセプトはそうだね。

 

菊竹

子供の頃って外を走り回るだけでも楽しかったんですよ。どれだけ速く走れるかとか、走ってるときに風が当たったりとか。単純なのに感じられるものがたくさんあって。

 

村上

自分が動くことによって何かが動くから楽しい?

 

菊竹

それもありますけど、それこそ自分を操作してるみたいな感覚ですかね。

 

村上

広い所を走ってるっていうより、制御するっていう感覚の方が大きいのかもね。特に下り坂を全力で走った時なんて、止まらなくなっていく感じにヒヤっとする部分もあって、これ以上スピード出してコケたら大ケガするかも、とか。

 

菊竹

そういうギリギリ感が楽しいですね。

 

村上

具体的に、子供の頃によくやってた遊びって何?

 

菊竹

水泳ですね。毎週テストがあって、そこで頑張ると水泳帽にワッペンをつけてもらえるんですよ。保育園の時とか、ワッペンだらけの帽子をかぶるのが嬉しくて。

 

村上

なるほど。水泳がうまくなったことと同時に承認欲求を満たされて喜び倍増ってことね。その過程でワッペン追加っていう「成長の可視化」があることでモチベーションが維持できる。こういうことを子供の頃に経験しておくと、実際にゲームをつくるとき「人ってこういうことをすると喜ぶ」というのがよく分かって良いよね。

ちなみに今後はどんなゲームを作ってみたい?

 

菊竹

昔遊んだゲームの「ポケモン」とか「サルゲッチュ」とかも好きだったので、そういう古いゲーム対する尊敬っていうか憧れがあって、そこに自分らしさをプラスしていって、同じ面白さを表現できるようなものがつくれたらいいなって思います。

卒業制作でどんなものを作ろうかなって考えながらノートにネタをまとめてるところです。

 

村上

早いな。もう卒業制作の準備してるの?

 

菊竹

夏の卒制中間合評で先輩方の作品を見て、このクォリティまで仕上げるのは大変そうだなとは思ったんですけど、ああいう場で自分が作ったものをちゃんと発表して、今までで一番良いのがつくれたらいいなって思いましたね。単純になんかワクワクするので、もうやっちゃおうかな、って感じです。ただ今はまだUNITYに慣れてないっていうのもあって、なかなか思い通りに動いてくれないんで、その辺りが難しいですね。

でもやっぱりアクションゲームを作りたいです。

 

村上

アクションゲームが作れたら何でも作れるしね。ターン性じゃなくてリアルタイムで同時多発的に色んな処理が発生して、これを制御しながらバグが出ないようにゲームとして成立させるって、かなり大変なんで。自分は昔RPGかアドベンチャーゲームばかり開発してたから全然気づかなかったけど、フリーになって初めてアクションゲームを開発した時に、想定しなきゃいけない要素が多すぎてとにかく大変だった。そんなときにwiiで「スーパーマリオ・ギャラクシー」が発売されて、

 

菊竹

あれはめちゃくちゃ面白いですよね。

 

村上

そう。面白いんだけど、開発者の立場で見てしまうから「一体どんな天才がこれを作ったんだ」って思って心底打ちのめされたね。あまりにもゲームとしての出来が良すぎて…。

当時のクリエーターにとっては「ゼルダの伝説/時のオカリナ」も仕事の教科書と呼ばれてて、制作現場のスタッフたちと「どうやったらこれを越えられるのか」って真剣に議論したこともあった。

 

菊竹

ゼルダも神ゲーですよね。

 

村上

さっき「制御感」が面白いって話が出てたけど、特にアクションゲームは思い通りに動くから面白いっていうものもあれば、初期の「バイオハザード」みたいに「上を押しても上に行かない」という操作性に慣れるまでに時間がかかってそれが恐怖を演出していて、操作に慣れてきた頃にストーリーに入り込んでいけるようになるっていう構造のものもあるよね。

 

菊竹

それで一つ思い出しました。前にPC用のフリーゲームで遊んでたんですけど、それはプレイヤーがすごく小さくて、少し移動させただけでも自分が思ってるより遠くまで移動しちゃって、すぐに敵に当たって死んじゃうんですよ。この操作に慣れるまでが大変なんですけど、制御できるようになってきてからが急に楽しくなるんです。右を押して急速に右へ移動し始めたときに左を押してブレーキをかけて、思い通りのタイミングと場所で止まってくれたときに嬉しくなるんです。

 

村上

なるほどね。そういう制御感でいくとレースゲームなんかだと分かりやすいね。「マリオカート」は割と直感的な操作で思い通りに動くから楽しいと思うのね。これに対して「グランツーリスモ」はレースゲームではなくてドライブシミュレーターと呼ばれてるように、とにかく実車をモチーフにしてるから挙動がリアルで、それだけに「マリオカート」の感覚で操作をすると一瞬で事故る(笑)

個人的にはセガサターンで発売された「セガラリー」っていうレースゲームが凄く好きなんだけど、あれはドリフトの感覚を楽しむゲームになっていて、車体が滑って制御できなくなるギリギリの感覚がとにかく楽しい。思い通りにいかなさそうなものを動かす喜びってゲームにとって凄く大事なんじゃないかなって思うね。

と、レースゲームの話をしたけど、逆に現実世界ではどう?制御できないことだらけで大変だよね。

 

菊竹

そうですね、現実で大変なのはグループの話し合いとかですかね。一年生の時にグループでアナログゲームを制作したんですけど、なかなかうまく話しがまとまらなくて…。でも最後に「これでいこう!」って決まった時にはすごくスッキリしました。

 

村上

全員が黙り込むような状況よりは全然良いけど、個性の強いメンバーが集まってそれぞれ違う事を言うと、それを制御するのは難しいよね。

 

菊竹

なので、強制じゃなくて誘導する方法を考えました。

まず「これはどう?」ってアイデアを提案するんですけど、たくさんの選択肢になるようなアイデアを先に考えておいて、私が密かに一番推したいアイデアにみんなが食いつくように話を進めていくんです。で、誰かが食いついたら即座に「じゃそれで!」て言ってどんどん決定していきます。もちろん皆の意見は取り入れながらですけどね。

 

村上

自分のアイデアを強要するんじゃなくて、グループメンバー全員がまるで自分が決めたかのように演出をして、実は自分の思い通りのアイデアで固めていくっていう方法ね。

RPGのゲーム展開なんかはそういう構造になってるよね。自分で道を開拓したかのように錯覚させておいて、でも結局は一本道でした、みたいな。「説明」じゃなくてストーリーによる「表現」になってるから一本道であることになかなか気付かずに没入していく。掌で転がすって感じ(笑)

 

菊竹

言い方悪いですけど、でも、そういうことですよね。道筋はともかく最終的に皆が能動的になれることが一番良いので。やっぱり自分が考えた通りに進んでくれたら楽しいなっていうのはありますね。

 

村上

17人もいるゲームゼミの面々をどうやって制御するかっていう問題があるけどね。

良い結果を求めようと思ったら、結局チームワークが全てになってくるんだよね。

 

菊竹

そうですね。

 

村上

過去最多人数のゼミ生を引っ張っていくにあたって、これからはリーダーの菊竹に対して「おいリーダー、何をやってるんだ」ってお説教をすることが多くなってくるから、とにかくメンタルを強く持っていてほしいな。

 

菊竹

メンタルに関しては、昔一回折れてるんで(笑)、もう大丈夫です。

 

村上

折れ癖がつくってことはないよね(笑)

 

菊竹

はい、大丈夫だと思います。

 

村上

ではこれからも頑張って下さいな。ではインタビュー収録ありがとうございました。

 

菊竹

ありがとうございました。

 

 

 

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