キャラクターデザイン学科

学生紹介

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2019年12月27日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズvol.17「吉田未来と恐怖演出について語るの巻」part2

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ゼミ通ヒーローズ Vol.17

 吉田未来と「恐怖演出」について語るの巻 Part2

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村上

去年「見世物小屋」プロジェクトをやったよね。これについても触れておこうかな。

 

吉田

これは学祭用に作ったお化け屋敷のプロジェクトですね。

 

村上

この見世物小屋は毎年人気があり過ぎて整理券が確保できないんだよね。

 

吉田

そうなんですよ。前売り券が相当売れるみたいですね。

 

村上

入場料500円であのクォリティだったら全然OKだね。学生が作るお化け屋敷っていうと何となく半分馬鹿にされそうな感じだけど、うちのは本当に怖いし、物凄いボリュームがあるし。

このプロジェクトの中では吉田はどういうポジションだったの?

 

吉田

部屋ごとにグループを作って制作していくんですけど、私はそこでのリーダーを務めました。

一番最後の脱出口からその前の部屋を担当して、そこでの演出や仕掛けを考えました。

元々大きなストーリーの流れが用意されていて、そこから部屋割りをして、各部屋でのエピソードを話し合って決めて、その後は個々で部屋の構造とか雰囲気を作っていきます。

 

村上

一番おいしいところだね。「ゴールが近づいてきたぞ!」と思わせておいて「まだ来るか!?」という恐怖を畳みかける演出ができるしね。

 

吉田

そうですね。そこには薄い膜みたいなものが貼ってあって、うっすら影が見えるんですよ。「あ、誰かいるな」て思ったら、わーっと飛び出してくるみたいな。でも私はその部屋に入ってなくて、ずっと裏で仕掛けを動かしてました。

 

村上

何年か前に一度行ったんだけど、うちの大学のお化け屋敷の特徴って、後ろから襲い掛かってくるパターンが多いよね。あれが嫌いでね、怖いから。前から襲い掛かってくる分には身構えることが出来るんだけど、後ろから来られるとね…。逃げたくても前がつかえてるから逃げられないし。

 

吉田

順路に沿って移動してもらうための仕掛けですね。後ろにお化けがいたら前に進むしかなくなるので。

 

村上

なるほど、強制スクロールゲームね。

テレビゲームだったら大体画面端にミニマップみたいなものが表示されるけど、一人称視点で見世物小屋に入ったら当然全体マップなんか見れないし、全体の何%進んだのかも分からない。情報がないっていう状況が怖い。

逆に全体が見渡せるから怖いっていうのもあるよね。「クロックタワー」みたいに、巨大なハサミを持った男が延々自分の後ろから追ってきて、絶対に倒すことができない。もしこれが一人称だったらあんな恐怖は味わえないと思う。扉の向こうにヤツがいて、もう少しでこの扉が破られそうだっていう恐怖感は一人称視点だと分からない。横スクロールの画面だから全体が見渡せて、敵の動きを見ながらこちらも行動を考える。

 

吉田

お化け屋敷だと戦略もなにもないので、ただ体感して恐怖を味わってもらうだけですね。

 

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↑見世物小屋を制作している吉田さん(左)

 

 

村上

恐怖と笑いは紙一重っていうよね。確かに感情が動く構造はよく似てる。こう来るぞ、と思ってるときに予想と違うものが来たら少しドキっとするとか不快な気持ちになって、それが笑いになるのか恐怖になるのかどっちか。

「死霊のはらわた」が公開された時に、これをホラーではなくコメディ映画として紹介してる記事を読んだことがある。怖すぎて笑っちゃうとか、「そんなバカな」っていう突っ込みどころが満載なので、笑いと感覚が同じという解釈らしい。

 

吉田

なるほど、そういう意味では同じかも知れないですね。

 

村上

見てはいけないものを見たような感覚とか、背徳感がたまらないって感覚もあるね。

自分はホラー系だと特にゾンビものにどっぷりとハマったんだけど、吉田はどう?

 

吉田

私はほとんど触れてこなかったですね。「バイオハザード1」とか、韓国映画の「新感染」、あと最近だと邦画の「アイアムアヒーロー」くらいですかね。あの頭のヘコんで走ってくるゾンビ出てくるじゃないですか。あいつが怖くて…。

 

村上

え?怖かった?そこは笑う所じゃないの?

 

吉田

笑わないですよ!凄く怖くてヤだなーって思いましたもん。

 

村上

生きてるときは美しかったものが、朽ち果てていくさまが美しいというか。生きながらにして食われるとか、絶対こんな死に方はしたくないっていうシチュエーションにも萌えるよね。

 

吉田

萌えますかね…。ていうか、ゾンビって、何かゾンビになる理由とか設定ってあるんですか?

 

村上

タイトルによって色々あるよ。例えば超新星爆発が起こって、その光を浴びた者がゾンビになったっていう設定もあれば、この世で人が死にすぎて、地獄の釜が死者で溢れて地獄にすら行けなかった人が地上に溢れてきたっていう設定もあるけど、明確な理由は一切語られないね。最近のゾンビ映画は鳥インフルエンザの進化版で、病気の一種として人が人を噛んで感染するようなものがリアリティがあって流行ってるね。

冒頭でテレビ局内がパニックに陥っていて、キャスターもどう報道していいか分からなくて困惑してるところから始まったり。「ゾンビが出ました。皆さん気をつけましょう」なんてわざとらしいセリフはなくて、政府も対応方法が分からないから世界がどんどん不安になっていく様子を自然に描いたりとか。かと思えばヤンキーたちがゾンビ狩りをしたり写真を撮って楽しんでたり。実際にこんな事態が起きたら世界はどうなるかっていう社会の縮図としてリアルを追求した点がゾンビ映画の魅力だと思う。

 

吉田

「アイアムアヒーロー」でも、ゾンビがいるから銃を撃たなきゃいけないのにいちいち確認しなきゃいけないっていうまどこっろしい所が日本人っぽくてリアルで良いなって思いました。アメリカ人が見たらイライラするんでしょうけどね。「早く撃てよ」って。

 

村上

「シン・ゴジラ」でも、自衛隊がミサイルを一発発射するのに物凄い手順を踏む描写がリアルで好きだったんだけど、外国人にはウケなかったみたいね。「会議のシーンばかりでつまんない」って(笑)。

 

吉田

でも「シン・ゴジラ」で、街が壊される騒ぎが起きた次の日にはみんな何事もなかったかのように普通に出勤してたりして、怪獣もテレビの向こう側の出来事っていう風に感じるところも日本人っぽい無関心さがすごくリアルに描写されてましたよね。

 

村上

そういう日常がリアルに描かれると物語としての説得力がものすごく高まるよね。

 

吉田

私はゲームの「サイレン」が好きなんですけど、そこに登場する「屍人(しびと)」はゾンビに近い存在なんじゃないですかね。

悪い事をしたことが切っ掛けで一年に一度「異界入り」っていうのが村で起きるんですよ。海が真っ赤になるくらいの赤い雨が降り注いで、それを吸ったり飲んだりすると、どんどん屍人になっていくんですけど、屍人になっても生前自分がやってたことを繰り返してるんです。ご飯を食べてたりテレビを見てたり。それを繰り返してるけど何かがおかしいみたいな。段々海の生物みたいに藤壺がいっぱいついてきたりして変化していくのが凄く怖いんです。ビジュアルの怖さもあるんですけど、身近な人が段々変わっていくっていう様子が怖いんですね。

 

村上

ホラーって、「何が起きたか」は実はどうでもよくて、そんな理不尽なことが起きたときに人間はどうするのかっていう濃密なドラマを描くのが面白い。

ゾンビは分かりやすいよね。死人が動き出す理由なんか語られないし究明もされない。でも人たちは生き残るために様々なドラマを展開していくわけで。

そんな状況設定でいうと、スティーブン・キングの原作なんかが特に分かりやすい。最近映画化されたものだと「IT」とか。「ペットセメタリ―」「ミスト」「ミザリー」、極めつけは「シャイニング」とか。

「ミスト」なんて、設定だけ見たら「異次元の扉が開いて、霧と一緒にヤツらがやってきた」みたいなチープなものなんだけど。

 

吉田

でも、あのラストすごくないですか?もう「えーっ!!!!」って驚いちゃって、すっかりトラウマですよ。あんな最悪なラストは他に見たことないですもん。

 

村上

霧の中から何かがやってくるっていう設定は確かに怖いんだけど、でもあの映画ではそれはオマケでしかないんだよね。「扉を開けたら死ぬよ」っていう仕掛けに過ぎない。霧に閉ざされたスーパーマーケットの中に身をひそめる人たちの、まさに社会の縮図のような最悪な出来事がどんどん展開されていって、で、最後はあんなことになっちゃって(笑)。ネタバレになるから語らないけど。スティーブン・キングの原作はああいうのが多いね。やっぱり一番怖いのは人間だよねっていう。

 

吉田

確かにそうですね。

 

村上

で、話をゲームに戻そう。今は設定とかストーリーとか、ゲーム部分ではないところでの恐怖について話をしてたけど、やっぱりゲームの場合はコントローラーを握っている以上「鑑賞」ではなく「体験」という形で恐怖を感じさせてほしい。

 

吉田

Flashの脱出系ゲームとか。恐怖というよりはビックリ系ですけど。

 

村上

ビックリも一つの体験だね。で、映画だったらスクリーンを見てるわけだよね。そこに映し出されてる人と人の関係性を外から見て怖いと感じるメディア。でもゲームって自分が主人公となって物語の中に入るわけだから、自分自身が何かをされるっていう感覚がないとホラーにならない。

そこで思ったんだけど、「スーパーマリオ」って、カメが襲ってきて、触れられたら死んだり、キノコのお化けが迫ってきたり。異形のものが自分に迫ってきて殺しにかかってくる。

 

吉田

異形のもの(笑)

 

村上

でもこれってホラーじゃないのかな。て考えるとゲームでのホラーの定義って曖昧だよね。血が出たらホラーなんですか?っていう疑問もわいてくる。

 

吉田

それにホラーじゃなくても血は出ますもんね。

そういえば「ダックシーズン」っていうPC用のホラーゲームがあるんです。目の前にテレビが置いてあって、そのテレビの中で「ダックシーズン」っていうゲームをプレイしてるんです。ダックを撃っていって、途中で犬が出てきて応援してくれる、みたいな。

 

村上

ん?…それ、ホラーなのか?(笑)

 

吉田

で、それをずーっと繰り返していると、現実に戻ってきたときに部屋に異変が起きてるんです。

 

村上

え?なにそれ?(笑)

 

吉田

ゲーム画面の中のゲーム画面ではダックハントの様子が映し出されてるんですけど、それ自体は全く怖くないんです。たまに現実に戻るとお母さんが死んでたり、ゲーム中に登場する犬が写真の中に映り込んでたりとか、そういうことがどんどん起きていって、現実世界が侵食されていくんです。

 

村上

えぇー………こわー………。

 

吉田

一見ホラーゲームとは分からないんです。全く怖い雰囲気ないし。

 

村上

ホラーってもうアイデアが出尽くしたというか、どんなシチュエーションにしたら怖いと感じるかっていう大喜利みたいなもので、「ここでコレが出たら驚くよね」っていうアイデアって枯渇してきてると思うんだけど、あとはもういかに枠を越えるか、だね。「ダックシーズン」でいうと、モニターの外で何かが起こるとか。

試みとして面白いなと思ったもので、小島秀夫監督が作った「P.T」っていうゲームがあるんだけど。

 

吉田

あー、やりました!あれ凄く怖いですよね。私は脱出できなかったですけど(笑)

 

村上

結果的にあれは「プレイアブル・ティザー」、つまり遊ぶことのできる予告編っていう意味で、エンディングに行くとそれが明らかにされるんだけど、そもそも始める時は「P.T」という言葉が何を意味するのかも分からないし、誰が作ったゲームなのかも分からない。ストーリー設定はあるんだろうけど、そこで起きている状況も全部意味不明で…でもなんか謎のゲームでとてつもなく恐ろしいものが無料でダウンロードできると聞いてどんどんネットで拡散していったんだよね。存在自体が謎だらけでワケが分からないし。

 

吉田

プレイヤーによって展開も変わるし、攻略法も人によって違うし、全てが正体不明だから不気味でゲームの存在そのものがなんか怖いんですよね。

洗面所にいる謎の赤ちゃんがとにかく怖かったです。

 

村上

赤ちゃんよりも、洗面台周辺で動き回ってるゴキブリが物凄くリアルで、そっちに注目しちゃった。

 

吉田

でも、あのゲームは生きてるものが少なすぎて、ゴキブリにすら愛着がわくんですよね。他のものが全部怖すぎて。だって自分以外で生きてるものってゴキブリだけじゃないですか。

あれはぜひ製品化してほしかったんですけど、もう出ないんですよね…。大人の事情で…。

 

村上

吉田自身は今後どんなゲームを作りたい?

 

吉田

やっぱり卒業制作あたりでキャラデ初のホラーゲームを作ってみたいですね。

 

村上

見世物小屋で培った技術や知識をそのまま生かせると思うよ。

ではこれからも面白いゲームが作れるように頑張っていって下さい。

 

吉田

はい、ありがとうございました。

 

 

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2019年12月27日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズvol.17「吉田未来と恐怖演出について語るの巻」part1

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ゼミ通ヒーローズ Vol.17

 吉田未来と「恐怖演出」について語るの巻 Part1

 

今回のゼミ通ヒーローズは、村上ゼミ2年生の吉田未来さん(兵庫県立西脇高等学校出身)をピックアップします。

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村上

ではまず定番の質問から。吉田はどうしてこの大学に入ったの?

 

吉田

元々は東京の美大と京都造形で迷ってたんです。なぜか自分の中では最初からこの二択に絞られてて、両方のオープンキャンパスに行ったんですけど、京都造形大の方が色んなことが学べて視野が広がりそうだったから。

実際に京都造形大のオープンキャンパスに行ってみたらもう心を奪われてしまいました(笑)最初はホラーゲームのコンセプトアートを描く人になりたくて。

その絵に興味を持った切っ掛けっていうのが、ホラーゲームの設定資料集だったんですよ。

 

村上

何のゲーム?

 

吉田

PlayStation4の「サイコブレイク」です。

この設定資料集を見た瞬間にスイッチが入ったというか。ゲームそのものよりも設定資料に惹かれました。

 

村上

「サイコブレイク」だったら割と過激なスプラッター描写とかゴア表現が盛り込まれてるけど、そういうのが好き?

 

吉田

はい。クリーチャーの気持ち悪さというか、肉感の表現とかがすごく好きで。

 

村上

クリーチャーが好きなんだ。血飛沫描写よりは異形のものに魅力を感じてるのかな。

 

吉田

そうですね。

 

村上

異形のものっていうことはファンタジー系RPGにわんさか登場するけど、そういうのは違う?

 

吉田

もっと禍々しいというか…、今日持ってきてるんですけど、サイコブレイクの設定集。

 

村上

(設定集を見ながら)うーわ。これは…画像をアップできないのが残念だけど、うーわ、このグロテスクな肉感とか、このぷにぷにした感じとか、うーわ。著作権以前に、グロテスクすぎてここに写真が載せられない…。

思春期にこういうのを見てて、親御さん心配しなかった?

 

吉田

これ、親に買ってもらいました(笑)

 

村上

親っ!(笑)

 

吉田

誕生日プレゼントに(笑)

 

村上

親っ!!(笑)

 

吉田

親が元々こういうのが好きだったんですよ。特に母親がホラーに寛容な人だったので。

妖怪とか好きで、小さいころからホラー系の番組をよく一緒に観てました。

 

村上

じゃ、あれかな。自分もホラーものは大好物なんだけど、思春期が海外のスプラッターブームのど真ん中だったんだよね。80年代の頭から半ばまで、ゾンビ映画が大ヒットした時代でもあるし、

他には「13日の金曜日」のジェイソンだったり「エルム街の悪夢」のフレディ、「ハロウィン」のブギーマンといった

ホラー映画のキャラクターが大人気で、血飛沫の描写や人体損壊みたいなゴア表現が流行ってた。

 

吉田

うちの親もそのくらいの世代だと思います。

ちなみにこれ、「サイコブレイク2」になるとすごく絵が綺麗になってるんです。なんか、死体を美しく芸術品として扱うサイコパスなキャラクターが出てくるんですけど、それがいまいち好きじゃなくて…。

 

村上

1作目の頃のB級感の方が良かったっていうこと?安っぽさが逆に怖く感じるとか。

 

吉田

そうなんですよ。なんでこうなってるのかっていう理由も分からなくて気持ち悪いっていう感じが良かったのに、

変に理由付けをされると理解が出来て、理解できなかったのが怖さだったのに妙な納得感があって冷めてしまった感じがします。

 

村上

最初にやったホラーゲームって何?

 

吉田

Wiiの「呪怨」でしたね。ビックリ系の仕掛けが多くて何度も驚かされました。

 

村上

さっき言った80年代のスプラッターものだとジャンプスケアっていって所謂音で驚かせるビックリ系の演出手法が多かったんだけど、「呪怨」って音で驚かすよりも不安感を煽って精神的にジワジワと追い詰めていくタイプじゃない?

何かが襲ってくる以前にその佇まいや緊張感そのものが恐ろしい。

 

吉田

ゲームの方は、そういうジャパニーズホラー的な怖さではなくて、ビックリさせる感じのものがメインでしたね。

 

村上

ホラーゲームの走りとしてファミコンで「スウィートホーム」っていうゲームがあったんだけど、知ってる?

 

吉田

知らないです、初めて聞きました。

 

村上

伊丹十三が制作した80年代終盤の映画をモチーフにしたものなんだけど、これがファミコンゲームとして登場して、当時はホラーゲームとしてかなりレベルが高くて、チープなドット絵の画面でありながらとにかく怖いってことで当時は有名になった。

最近のものでいうと、さっき話していた「サイコブレイク」を自分もやってみたんだけど、あれ気持ち悪くならなかった?ゴア表現とかそういう話じゃなくて。

 

吉田

カメラワークですよね。

 

村上

そう、初めてゲームで遊んでカメラ酔いを体験した。「バイオハザード」だと、初期の頃は固定カメラで、それも防犯カメラの映像みたいな三人称視点だったから状況が分かりやすくて良かったんだけど、「サイコブレイク」はシネマスコープの画角になってて、1:2.25の横長の画面比率で、画面の中央には主人公キャラクターの背中がドーンと大きく表示されるので背景の視認性が悪い。視認性が悪いから周囲を見渡そうとカメラをグルグル回してるうちにカメラ酔いして気持ちが悪くなってくる。気分が悪くなることを想定してこの構図にしたならなかなかの演出力だなとは思うけど…。

 

吉田

でも酔っちゃうからゲームに集中できない…。

 

村上

ゲームじゃなくて、ホラー映画だったらどう?印象に残ってる作品はある?

 

吉田

映画だったら「残穢」が怖かったです。今一人暮らししてるからっていうのもあるんですけど、なんかこう、明確な何かは分からないけど、でも絶対に逃れられない何かがそこにあるっていうのが怖いなと思って。

 

村上

Jホラー特有の怖さだね。

 

吉田

私、事故物件とか好きでよく調べるんですよ。

 

村上

は?…何やってんの(笑)

 

吉田

なんか、好きなんですよね。まず自分が安全地帯にいるかどうかを確認したくて。

と同時に興味本位で「あの家であんなことがあったんだ」って調べるんですけど、なんかロフトがある家ってヤバいんですよね。**を*****だから。

 

村上

な、なるほど。文字起こししにくいけど、まぁいいか…。

 

吉田

内見した時に、過去に**があった家を見させていただいて、

凄く綺麗で分からなかったんですけど、その隣の家でも**があったみたいで。

 

村上

この辺で?

 

吉田

そうです。やっぱりそこだけ家賃も安いんですよね。

 

村上

段々何の話だか分からなくなってきた。映画の話だったね。海外の作品はどう?

 

吉田

最近だと「MAMA」が怖かったですね。

 

村上

あれは良く出来てたね。あの監督さんの最新作はスティーブン・キング原作の「IT」。

かなりホラーを心得ていらっしゃる感じの人。

 

吉田

え、そうだったんですか!?「IT」は、絵の中から出てくる人が怖かったですね。

 

村上

モディリアーニの絵ね。確かにあの絵は怖く感じる。「IT」自体、ここ最近のホラー映画の中ではかなり頑張ってた方だと思うね。原作の人気が高いから観る前はかなり警戒してたんだけど「MAMA」の監督だと聞いて「よく分かっていらっしゃるな」と納得。

ただ「MAMA」に限らずホラー物って全体的にそうなんだけど、序盤は状況が理解できない恐怖があって、終盤になるに連れてバックボーンが見えてきて、理解ができた瞬間に急に面白くなくなる。

 

吉田

「なーんだ、そんなことだったのか」ってなって冷めますよね。やっぱり「分からないから怖い」んですよね。

 

村上

個人的には「死霊のはらわた」っていう、若干21歳の監督が作った超B級映画が好きだったんだけど、知ってる?

 

吉田

知ってます。

 

村上

その監督は後に「スパイダーマン」を制作したサム・ライミっていう人なんだけど。

 

吉田

えっ!知らなかった!

 

村上

B級映画は予算がないから有名な俳優が使えない。つまり有名人がいないから次に誰が死ぬか分からない。

トム・クルーズが出て来たら「絶対この人は死なない」って分かっちゃうよね。その予想のつかない感じとか得体の知れないところがホラー映画の面白いところなんだと思うね。

「死霊のはらわた」も意味不明な状況の怖さとか先の読めない展開が面白くて我々世代ではかなりヒットしてた。

「サイコブレイク」も序盤20分くらいが怖かった。何が起きてるのか全く分からなくて。

 

吉田

あれは怖いですよね。チェーンソー持ったサディストに見つからないようにこっそり進むところが。

絶対勝てない相手っていうのが怖いですよね。逃げるしかないっていう。

 

村上

あの絶望感ね。映画だったら「ターミネーター」とか「ノーカントリー」とか。

絶対に倒すことが出来ない相手が、やっつけてもやっつけても立ち上がってどこまでも追いかけてくる。

「クロックタワー」のシザーマンもそうだしね。殺せないから障害物を配置して進行を遅らせる事しかできない。

 

吉田

相手が何者かよく分からないけど、とにかくヤバそうだから逃げるしかないっていう状況作りがうまいですよね。

 

村上

「バイオハザード」を初めてやったときは、そのヤバさに加えて、あの少ないポリゴン数と低い解像度で

画面が汚くて、あのぎこちないモーションでゆっくり迫ってくるゾンビが逆にリアルに感じて怖かった。

 

吉田

少ないポリゴンとか粗いドット絵みたいに情報が欠落してるから、脳で情報を補完するので余計に恐怖のイメージが膨らむんですよね。

 

 

Part2に続く

 

 

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2019年12月10日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズVol.16「北園胡々里とアナログゲームについて語るの巻」 Part2

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村上

で、今年は学生作品展でも張り切ってアナログゲームを二つも作ったわけだけど、

ここからはそのゲーム作品の話を聞いていこうかな。

 

北園

今回は「TOTTEN」と「魔女のお茶会」という二つのゲームを作ったんですけど、

TOTTEN」の方は、正直悔しいんですよ。やりたいことが出来なかったんで。

どうしてもプレイ時間が想定よりも長くなってしまって、

そこの調整がうまくいかなかったっていうのと、

見た目のクォリティもそうだし、

とにかく自分の理想の形には程遠くてとにかく悔しいんです。

 

村上

なるほど、ルールを紹介してくれる?

 

北園

うーん、ちょっと説明が長くなるんですよね。

 

村上

ルールの説明を短くまとめられないってことは、そこにシステムの欠陥があるんだよ。

 

北園

はい、仰る通りです(笑)。

まずこれは、ジャンケンの要素と人狼の要素を合わせて新しい面白さを追求してみたかった、

ていうところから企画が始まったんです。

ジャンケンゲームで「1対複数人」っていう要素に面白さを見出せないかと思って。

最初のジャンケンバトルの時に複数人側の人たちはチームとして戦うわけですけど、

次のバトルでは敵同士になってしまうので、

一度手の内を見せ合った状況でどんな駆け引きを展開するのかっていう点が見どころでした。

でもそこに力を入れすぎて周りが見えなかったっていう、

私の詰めの甘さが出てしまいました…。

 

村上

狙いは良かったんだけどなぁ。

この企画に対してこちらからGOサインを出したのは、

ルールの面白さというよりも、テストプレイをしてるときのゼミ生たちの盛り上がり方が凄かったから。

ここまで感情を揺さぶる仕組みなら面白いだろうと判断したんだけど、やっぱり難しかったね…。

じゃあ、もう一つのゲーム「魔女のお茶会」の方を聞かせてくれる?

 

北園

「魔女のお茶会」は、まず、★が1から5まで書かれたカードがあって、

それぞれに毒々しい魔女のスイーツのイラストが描かれています。

この★は毒の危険度を指すんです。

このカードを相手に受け渡して、最終的に★が一番少なかった人の勝ちという単純なルールです。

 

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学科展に出品していたアナログゲーム「魔女のお茶会」

 

北園

まず相手にカードを伏せた状態で一枚差し出して、

「これは危険度が3です。いりますか?」というように聞いて、相手は「いる」か「いらない」を返答するんです。

このとき提示された数字が本当かどうかは相手には分かりません。

★が5の危険なカードを受け取ってほしいから「1です」と嘘を言って受け取らせるでもいいですし、

信頼させるために中途半端に「3です」と言って迷わせるのもアリです。

「いる」を選んだらそれは相手のカードになるんですけど、

まだ伏せたまま相手の所にストックされます。

なので★がいくつのカードを受け取ったのかは分からないままなんです。

「いらない」を選んだら、こっそりカードを見ることができます。

そしてそのカードをまた別の人に★の数と一緒に提示します。

…ということを繰り返していって、最終的に一番★の数が少ない人が勝ち、多い人の負け、

というルールになっています。

で、もし全員が「いらない」と言った場合は、そのカードは自分の所に戻ってきます。

言葉だけで説明すると難しく聞こえるんですけど、

実際に一周遊んでみると簡単なルールだって分かってもらえるので普通に遊んでもらえます。

 

村上

ルールはシンプルでいいね。

これを初めての人に一言で説明するとしたら何て言う?

 

北園

「少ない情報でいかに人を騙すか」を楽しむゲームですね。

 

村上

なるほど。これって、例えば今自分の手元に★が12のカードしかない場合、

これを誰かに受け渡すと★の数の大きいカードが自分の所に回ってくる可能性があるから、

何もせずにパスしたいんだけど、パスはできないのね。

 

北園

パスはできません。なので、★1のカードを相手に渡して、

全員が拒否してまた自分の所に戻ってくるように、いかに騙すかが重要になってくるんです。

 

村上

たらい回しにされることを想定してゲームを進めると。

でも「1です」と言ったら相手は当然欲しがるよね。

 

北園

いや、嘘かも知れないのでそうとも限りません。

「これは1です」って言われたら、大抵は5なんじゃないかと疑うはずなんです。

 

村上

確かに。悪いカードを相手に渡すゲームだしね。

 

北園

そうなんです。なので、相手の表情とか、

相手が今までに提示してきた数から推理していくんです。

 

村上

これを初めてプレイさせてもらったときに、ゲームの仕組みは単純で面白いと感じたんだけど、

同時に勘の要素が強すぎるのかなって思ったのね。

「こいつ1って言ってるけど、本当は23のどちらかに違いない」っていう絞り込みがある程度できて、

その想定範囲内でのランダム要素という形にとどめられるとゲームとしての駆け引きが熱くなると思う。

ところが1から5の中のランダムなので、振り幅が大きすぎるんじゃないかと感じた。

 

北園

それもあったので、カードの背面に色をつけて奇数と偶数で分けるとか、

ある程度絞り込めないかと工夫したこともありましたね。

 

村上

そうだね。何かもう一つビジュアル面も含めての工夫があればもっと面白くなったかな。

でもこのゲームで気になったのは本当のその部分だけで、基本的にはすごく良くできてると思う。

 

北園

あ、でもですね、ゲームバランスの面については

何度かイラストゼミのAさんとSさんを巻き込んでテストプレイをしたんですけど、

Sさんが★5しか取らないっていう現象が起きまして。

ていうのもSさんは純粋すぎて、「これ1だよ」って言ったら全部真に受けて取っちゃうんですよ。

で、回数を重ねるとその人の性格が分かってきて、遊び方が見えてくるんですね。

逆に言うと、回数を重ねないと成立しないゲームになってるっていう(笑)

 

村上

俺は一回しか遊ばなかったから「ランダム要素が強すぎる」って言ったけど、それじゃ分からなかったわけか。

 

北園

そうなんです。10戦中9戦はSさんの負けだったので(笑)、

単にランダムなのではなくて性格や戦術が反映されるゲームになってるってことなんです。

一度Sさんの後ろに立ってテストプレイの様子を見てたことがあるんですよ。

そしたら、Sさんの持ってる1は全部他の人に取られていって、Sさんのところに45だけがどんどん溜まっていくんです。

Aさんは物凄くうまいんですよ。あいつポーカーフェイスが得意で「人狼」もうまいんで。

 

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村上

このゲーム、対戦相手の表情だけで状況の判断はできる?

 

北園

意外とできましたね。

 

村上

あ、そうか。

1と言われて「いらない」って言った後でそれが本当に1だった時とか、あからさまに表情に出るもんね。

「いるって言っときゃ良かったー!!」って。

じゃあ「5ですよ」って言って渡される場合はどうなる?

 

北園

そのときは本当に5の場合が多いですね。「5です」と宣言したときは5とか4とか結構上の数字なんですよ。

もしくは意表を突いて1ですね。3とか2という言い方をするプレイヤーはほとんどいなかったです。

 

村上

5とか4と言われると、当然それを受け取るのは嫌だし、逆に1ですと言われると「こいつ嘘ついてるな」ってなる。

となると、「いらない」と言った方が得だと。で、最終的にたらい回しにされて良いカードが自分の所に返ってくる。

 

北園

そうです。繰り返し遊ぶと徐々にそのパターンになっていきます。

あと「いらない」って言い続けると情報が収集できるんですよ。

カードが自分のところを素通りしていくんで。その繰り返しで勝率も上がっていきます。

その他には、カードを手渡すときに二度見する人がいるんですけど、

二度見というのは確認行為なので大抵嘘ですね、とか。

 

村上

と考えると、全て北園の狙い通りのゲームデザインになってたってことになるね。

 

北園

ですよ。全て狙い通り(笑)。

 

村上

このゲームはどこから企画を始めた?

 

北園

私いつもトランプを持ち歩いてるんですよ。トランプって大体何にでも活用できるんで。

で、トランプって1から13まであるじゃないですか。

これが制限されたらどうなるんだろうって思って、そこから考え始めたんですよ。

「数少ない情報から何かを読み取る遊び」というコンセプトを立てて、

まずカードを並べて眺めながら「15だけ並べて何か出来ないかな」って思ったのが切っ掛けでしたね。

 

村上

最もプリミティブな遊びの発想から始まって、仕組みが固まったら徐々に味付けをしていくっていうことね。

 

北園

最初は一人で考えるから余計にそう思うんですけど、制限を大きくしすぎるとつまらないんですよね。

でも一人でカードをめくってるうちに段々楽しくなってくるんです。

2!」とか言ってカードをめくって「なんだ5か」とか独り言を言いながら。

そのランダムの振り幅が大きいとただの運ゲーになるし、小さいとつまらない。

どの段階が面白いかを理解するまで独り言を言いながらひたすらカードめくりをしてましたね。

 

村上

相手がいないから読み合いも何もないね。

 

北園

単なるギャンブルですよね。いや、ギャンブルにすらなってないですね(笑)。

でもゲームの形になりかけてきてからは、

まだ設定も何もないまま絵も一切描かずにトランプだけを使ってAさんたちとテストプレイをしてました。

遊びの面白さだけを追求したかったんで余計な情報を一切入れたくなかったんです。

 

村上

慣れない人がゲームを作ろうとすると、どうしても最初はストーリーを作るところから入るよね。

でも北園はトランプだけを使ってゲームデザインを組み立てていったから、

そこで生じるたらい回しとかの体験がデザインできて、

そこから徐々に「もらって嬉しくないもの」という設定が転じて「魔女のスイーツ」の絵に繋がっていったんだね。

遊びが確定してからいつの間にかストーリーがまとまっていったっていう、企画の流れとしてはとても理想的。

 

北園

一時期「ゴキブリポーカー」にハマってたんで、ぶっちゃけ影響されてます(笑)

 

村上

「ゴキブリポーカー」のファンはうちの学生でも多いね。

で、学科展に出展したときのお客様の反応はどうだった?

 

北園

かなり幅広い年齢層の人に遊んでいただいたんですけど、

全員5を受け取らせたときのしてやったりな表情とか、

逆に受け取った時の絶望的な表情を見るのが楽しかったですね(笑)

 

村上

感情の振り幅が大きいゲームだったね。

読み合いっていうキーワードも出て来てたけど、北園にとって読み合いの面白さって何だと思う?

 

北園

「嘘をどれだけ隠せるか」って感じですかね。

話せば話すほどボロが出るんですけど、上手い人は綺麗に隠し通せるんです。

 

村上

俺「ワードウルフ」で一度も勝てた事ないんだけど。

 

北園

先生「人狼」でも勝てた事ないじゃないですか。

 

村上

そう、ああいうの苦手なんだわ。

 

北園

私はそういう系統のゲームが凄く得意だったので、やっぱり作るゲームにも影響しちゃうんですね。

 

村上

なるほどね。ところで「魔女のお茶会」は思考する類のゲームとはまた違うのかな。

 

北園

違います。思考ではないですね。「観て、得る」が基本です。

私はあんまり考えて遊んでほしくないって思ってるんです。

観ることで得た情報をもとにいかに想像を膨らませて遊ぶかが重要だと思ってるので。

 

村上

なるほど。しっかり観て、情報を取得して、そこから情報を加工するというのは、

学習する上での当たり前の行為だよね。

特にクリエイティブの領域だと、観察を通して情報の編集をしてテーマを掘り下げて、そして作品を作っていく。

そういうクリエイティブとかアクティブラーニングの基本形がこのゲームの中に濃縮されてるような気がする。

知育玩具としてすごく有用なゲームになるんじゃないかな。

思考だけだと段々パターン化されてきてゲームの面白さにつながらないんじゃないかと思うけど、

このゲームは対戦相手が変わることで戦略も変わってくるので。

 

北園

だからだと思うんですけど、テストプレイしてるときに、Sさんが連敗してたのに、最後の一回だけ勝ったんですよ。

学んだのかどうか分からないんですけど、綺麗に12だけを揃えて勝利してたんです。

 

村上

偶然なのか、学んだのか…!?

 

北園

何回も遊んでるうちに、Sさんが周囲を見始めたんですよ。それまでは自分の手元のカードだけを見てました。

 

村上

つまり全体を観察する人が勝てる?

 

北園

はい。私とAさんは、常にそこにいる全員の表情と、

その人たちのカードと、自分の手元のカードを見比べながら全体を見渡す癖がありました。

 

村上

自分のことだけを見てる人はロクでもない結果を生むけど、

一歩引いて全体を客観視できてる人は幸せになれるっていう、

人生の縮図みたいなゲームともいえるね。

 

北園

壮大な話ですけど、でも確かにそうかも知れないですね。

あとテストプレイの時にもう一人別の学生もいたんですけど、その子は「場を見る」という癖がありました。

遊ぶ人によって視点が違うっていう点に気付いて、これを含めて面白いと思いました。

観察すると情報がたくさん入ってくるので、

制作を通して視点が変わったことで私自身がたくさん学ばせてもらいましたね。

 

村上

視野のコントロールって教育上すごく重要だったりするけど、

そのトレーニング用の教材としても活用できそうだね。

なんか今回のインタビューではゲーム性とアクティブラーニングの共通点を見つける上での重要なキーワードが出てきたね。

ここは今後ももう少し掘り下げて研究を進めていこうと思います。

では今回はありがとうございました。

 

北園

はい、ありがとうございました。

 

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2019年11月27日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズvol.16「北園胡々里とアナログゲームについて語るの巻」part1

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ゼミ通ヒーローズ Vol.16

「北園胡々里とアナログゲームについて語るの巻」 Part1

 

今回のゼミ通ヒーローズは、村上ゼミ3年生の北園胡々里さん(大阪府立芥川高等学校出身)をピックアップします。

 

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学科展にて自身のゲームの実演紹介を行う北園胡々里さん。

 

村上

まずは定番の質問からなんだけど、なんでこの大学に来たの?

 

北園

最初は芸術系の大学は考えてなくて、普通の大学に行こうと思ってたんですよ。

でも先輩からここが良いって聞いて。

ここは先生が全員現役のプロのクリエーターとして技術にも特化してるっていうのが凄くて、

オープンキャンパスで色々話を聞かせていただいて、先生との距離も近くて衝撃を受けたんですよ。

 

村上

なるほどね。いきなり芸術系に鞍替えっていうのもなかなか勇気のある決断だな…。

 

北園

AO入試で合格したんですけど、あの日一時間遅刻したんですよね。

絶対落ちるって思いながら慌てて大学に電話して「すみません、バスに乗る方向間違えました」って(笑)

 

村上

遅刻したのに合格したとは。じゃ発想かプレゼンが高く評価されたんだね。

 

北園

私、絵はうまくないんですよ。

 

村上

うん、わかってるよ(笑)

 

北園

ただ趣味で描いてた程度で。なので発想力が評価されたのかなって思ってます。

 

村上

実際に入学してみてどうだった?

 

北園

なんか、違ってました(笑)。もちろん技術とか基礎的なことも教えてくれるんですけど、

私がゲームの授業を中心に履修してたから余計にそう思うのか、発想力強化に凄く力を入れてるなって思いました。

古いものよりも新しいものを学んでる感じがしました。

 

村上

うちは横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」の理念を崇拝してるから、

「あそび」を作る上での普遍的な話ばかりをしていて、新しい事は何ひとつ教えてないんだけどな。

技術的な話なら各自ネットで調べて勝手にやって下さいってスタンスなんで。

 

北園

でもなんか新しく感じたんですよ。

 

村上

それは単純に未知の領域だからそう感じただけなんじゃないかな。

 

北園

なるほど、それはそうかも知れないですね。

その考え方が浸透したからか、一年生のとき作ったアナログゲームが切っ掛けでどっぷりとゲーム制作にのめりこみました。ゲームを作るのって面白いって。

 

村上

ちなみに、あの授業の中でアナログゲームの作り方って実は一切教えてないんだよね。

ただゲームの7要素の話とか、ジョーカーの要素の話を軽くしただけで、あとは発想力を鍛えるためにひたすら学生を質問攻めにするというやり方と、グループワークのときのチームビルディングの方法を教えただけ。あとは放置(笑)。

 

北園

3年生になって、「あれ?そういえば私、先生から何も教わってない」って思いました。

 

村上

そう、教えた覚えはない。

 

北園

こうしたら面白くなるっていうマニュアルがあるわけじゃないし、テストプレイを重ねて面白さを自分たちで見つけていくしかないっていう積み重ねがのめりこんだ理由なんだと思いますね。

 

村上

これ、アクティブラーニングの基本なんだけど、教え込むっていうのが嫌いなんだよね。君らは生徒じゃなくて学生なので、そこを尊重したいわけ。教え込まれる立場ではなくて研究者っていう意味でね。だから「どうしたい?」って聞くばっかり。そりゃ余りにも効率が悪いとかクォリティが上がらないとかシステムが破綻してるというような場合は助言をするけど、基本は学生が何をしたいのかを引き出して、ゴールへ導く方法だけを示す。

 

北園

確かにそんな感じでしたね。でも先生に途中経過を見せるたびに「これで良いと思う?」って聞かれるのはわりと恐怖でしたよ。単なる質問なのか、悪い点を間接的に指摘されてるのか、その意図が分からなくて、意図を聞くのも怖くて必死で改善案を考えました。

 

村上

で、考えたでしょ?だからそれでOK

 

北園

はい、ものすごく考えて、仕様を詰め込みすぎる傾向もありましたね。

 

村上

最初はそうなりがちだわな。初めてゲームを作る時って客観性を失うから色々詰め込みすぎて複雑になっていく。そして面白いかどうかの前に、「遊び方が分からない」っていう最悪の結果を生む事になる。

でも恐怖を与えてしまってたのはマズいな(笑)。根がゲーム野郎なんで意地悪な部分はあると思うけど。ちょっと追い詰めてみて、泣きそうになってるところを見て楽しんだり。

 

北園

基本、ゲームを考える人って性格悪いですからね。

 

村上

それは否定しない(笑)。履修登録前のガイダンスでも言ったよね。この進路は性格の悪い人が向いてますって。

ゲームゼミの受講条件は「人を一度有頂天にさせてから叩き落とすのが好きな人」。真面目に不真面目を追及するとか。

…あんまりここで変な事を言うと受講希望者が減るからやめとこう…。

 

北園

だから来ました(笑)。私も落とし穴を掘ってニヤニヤするタイプなので。

 

村上

今や北園はアナログゲーム担当みたいな立ち位置だよね。

 

北園

そうですね。すっかりそんなキャラですね。

 

村上

それに感化されてか、今年の学科展ではアナログゲーム作品が全部で4つも。去年は1つだったけど。

 

北園

元々デジタルゲームで遊ぶばかりであまりアナログゲームには触れてこなかったんですけど、数名揃わないとできないっていう制約がネックでなかなか遊べなかったんですね。

それでも授業で「ナンジャモンジャ」とか「モンスターメーカー」、

友達とは「コヨーテ」「キャット&チョコレート」「人狼」をやってどんどんハマっていきました。

 

村上

ルールの面白さというよりも、人とのコミュニケーションが面白いよね。

 

北園

正解のないゲームなので、自分の発想力で勝負するしかなくて、アイデアを話していかに相手を納得させるかっていうルールが面白いです。で、実際にやってみて、人の反応を見るのがものすごく楽しかったんです。

 

村上

先日も一年生のゲーム基礎の授業でアナログゲームの実演をしてみた。普段みんなスマホのゲームでしか遊ばなくて、コンシューマゲームすらも離れつつあるから、逆にアナログゲームをやらせたら異様な盛り上がりでみんなドハマりしちゃって。

「ナンジャモンジャ」にはじまり、飛騨名物となった「箱入り娘の大家族」とか。やっぱり発想というか、使い古されたネタに対してジョーカーの要素を加えたり視点を変えることで面白さを探していくっていうのが素晴らしいね。

 

北園

「箱入り娘の大家族」はいいですよねー。ただの古めかしいパズルゲームなのに、遊んでいくと勝手にストーリーが出来上がっていくっていう。

 

村上

じゃあ北園は学科展用の作品は最初からアナログゲームを作ろうと考えてた?

 

北園

いや。最初はデジタルゲームで考えてましたよ。でも一年の時のゲーム制作でのめり込んで以来、気が付いたらアナログゲームの資料を集めたり調べたりして、アナログの研究ばかりやってました。四条界隈にアナログゲームのお店があるんですけど、新作が出てないかと思って覗くのが日課になってますね。

 

村上

アナログゲ―ムの魅力って?

 

北園

デジタルだと画面しか見ないじゃないですか。アナログゲームはテーブルもだし人もだし、色んなものを見なきゃいけないですよね。「人狼」みたいに、人の表情を読み解いて戦略を考えるようなゲームだと、とにかく人を見るのが楽しいですよね。

 

村上

大人数だと、誰かの戦略に合わせて次の人がまた流動的に戦略を変えて、というような一筋縄ではいかない部分が面白いね。

 

北園

流れを断ち切られた時のヤバさが楽しいですね。「計画が変わった!どうしよう!」ってパニックになってボロを出してしまったりとか。

 

村上

で、今年は学生作品展でも張り切ってアナログゲームを二つも作ったわけだけど、ここからはそのゲーム作品の話を聞いていこうかな。

 

 

Part2に続く

 

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2019年11月13日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズVol.15 奥田菜陽と「Happy Elements授業」について語るの巻 Part2

 

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ゼミ通ヒーローズ Vol.15

 

 

村上

では、ゲーム制作特殊演習での奥田の作品を見ながら話をしていこうか。

 

奥田

はい、お願いします。

 

村上

まず、授業の課題内容はこんな感じね。

 

<課題内容>

概要:

昼はダメ男、夜は二枚目の主人公タカシが、クラスメイトのコマチとともに現代の京都を舞台に妖怪退治をする。

地獄の入口と呼ばれた六道珍皇寺の井戸が何者かによって開放され、封印されていた妖怪が街に溢れ出した。これらを見つけ、妖怪を封印するたびに妖怪の持つ能力を引き出し自分のものとして吸収していく。(能力に応じて見つけられる妖怪の種類が増えたり移動可能な場所が拡張されていく)

成果物:

このゲームのコンセプトアート1枚と、ゲームに登場するキャラクターの中から任意のものを2体選んで立ち絵を作成。

制作のポイント:

モチーフとなるキャラクターや妖怪、世界観についてのリサーチ及びロケハンを行ない、地域文化・歴史に対する考察を行なってキャラクターをデザインしていく。フィールドワークによる調査過程も成績に反映させる。

 

村上

これは、授業の前半で制作したコンセプトアートだね。

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奥田

これはですね、今まさに敵と戦わんとする主人公タカシと、そこで指示役として登場するヒロインのコマチがいたので、二人が力を合わせている場面を描きました。

スマホゲームのコンセプトアートなので、パッと見たときに分かる色っていうか、まあ、結局私が得意な色を使っちゃったんですけど。キャラクターの顔とエフェクトに視線が行くように頑張って描いたつもりです。

 

村上

ビビットな色を使ってるところがスマホゲームを意識したっていうこと?

 

奥田

そうですね。やっぱりスマホの液晶画面ってハッキリした明度差がイメージとしてあったので、明るい所は明るく、暗い所は暗く描きました。

 

村上

なるほど。今度はキャラクターデザインだけど、だいぶ改良したよね。

 

奥田

そうですね。最初のバージョンからかなり変わりましたね。

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キャラクターのラフスケッチ

 

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ヒロインの最終イメージ。

 

 

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奥田

これでHappy Elementsさんに見ていただいた時に、コマチが全体的に強すぎると指摘されました。ヒロインなのでもう少し守ってあげたくなるような女の子らしさとか出した方がいいと。

 

村上

昼バージョンのカタシ、キャラ立ってないな…。最初こんなんだったっけか。これじゃ完全に立場逆だもんね。

 

奥田

サポート役なのにコマチ一人だけでも戦えそうって言われて。でも何度か修正を加えて、最終的には随分大人しくなりました。

 

村上

ゲームの主旨には合ってるわな。キャラクターを作る時はどういうところに気を付けてる?

 

奥田

ポーズですね。あと個人的なこだわりは髪型なんですけど。

ポーズはめちゃくちゃ描き直して、先生にも何回か修正を言われて、ずっと「女の子らしさって何だ!」ってすごい考えました。家に帰ってから鏡の前で悪戦苦闘して(笑)

 

村上

実際に自分が演じてみて、そこから描いてるのね。

 

奥田

そうですね。最初の絵は足に結構動きがあったっていうか、足腰が強すぎて。

 

村上

足腰に力が入るとアクションゲームのヒロインみたいになってしまうよね。

 

奥田

そうですよね。

 

村上

じゃあ、主人公のタカシは?

 

奥田

近寄りがたい雰囲気を出したくて。

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村上

いるいる、こんなやつ。これは近寄りがたい(笑)

 

奥田

設定で一応「昼はあまりパッとしない男」てことになっていて、そんな彼を好きなコマチはちょっと変、みたいな。

 

村上

そのギャップを演出したくてわざわざこうしたのね。コマチ自体はモテそうなのに、そんな子が惚れた相手がこれかよ(笑)!を狙ったと。

 

奥田

そうですそうです。めっちゃ友達から気持ち悪いって言われます。こいつが妖怪じゃんって(笑)それでも、よくよく見たら髪がサラサラだったりとか、顔立ちはまぁまぁ良いよね、と言われるようには気を付けました。

 

村上

目のキャッチライトが目立ってないから死人っぽく見えるな。それは意図的な演出?

 

奥田

意図的ですね。ハイライトはいつもより小さめに入れるようにしています。順光というよりはどこかの照り返し程度の光に押さえてます。コマチは赤系統のハイライトを入れて強そうに見せてます。

 

村上

強いヒロインが好き?

 

奥田

好きですね。私のヒロイン作りのルーツが「るろうに剣心」なんですけど、なんかナヨっとした男の主人公が、ヒロインにケツしばかれながら「さっさと働きなさいよ」とか言われてるのが好きなんです。

 

村上

ゲームにおいてキャラクターデザインがもたらす効果ってどんなものが考えられる?

キャラクターがいなきゃいけない理由というか。

 

奥田

入りやすさですかね。自分を照らし合わせる部分っていうのが、ゲーム単体とか遊びだけだったら感じられないですけど、でもキャラクターは鏡の役割もあって明確に自分をここに合わせて良いんだ、ここに立っていて良いんだっていう立ち位置みたいなものを感じることができます。

 

村上

「ここに立っていて良い」というのは、共感性のことを指してるのか、文字通りその空間に立ってるということなのか、どうなの?

 

奥田

どちらかというと心理的な意味合いですね。プレイヤー自身を反映するための目印っていうのかな。先生もよく「ゲームキャラクターは記号だ」って仰ってますけど。

 

村上

なるほどね。これ、結構ショックを受ける学生が多いみたいね。可愛いとかカッコいいキャラクターを描きにこの大学に入って来たのに、いきなり初回の授業で「記号」って言われて。

じゃあ、ビジュアルで惹かれたゲームって何かある?

 

奥田

めっちゃ最近ですけど「ペルソナ5」ですね。UIも凄いんですけど、とにかくキャラクターが好きで。

 

村上

なるほど、確かにあれは自分もシステム云々の前にキャラクターとストーリーの魅力に惹かれてエンディングまでいったな。

 

奥田

子供の頃は、私はたまに周りの流行から外れてて、昔からあるゲームで遊んだりすることもありました。

 

村上

それは親の影響で?

 

奥田

いや、なんとなく自然に。家に誰も使わないPlayStation2がずっと置いてあったので、中古でゲームを買っては遊んでましたね。

 

村上

自分はファミコン以前のカセットテープの時代からゲームで遊んでたんで、デフォルメされたキャラクターどころか記号をキャラクターと見立てて想像だけで遊ぶようなものをやってたんで、今風のシリアスなキャラなんて想像できなくて、「こんなキャラを動かしてゲームとして成立するのかな」って疑問に思ったくらい。ましてや3DCGに変わったときも、これどうやって動かすんだろうって思って。

でも今の学生って、スタートがそこからだから、逆に二頭身キャラクターとか気持ち悪いとは思わない?

 

奥田

いや、どうなんでしょうね。私は「かまいたちの夜」みたいなキャラクターやビジュアルに凝ってないゲームばかりやってきたので。

 

村上

凝ってないって言うな(苦笑)キャラクターがシルエットで表示されてるだけね。

 

奥田

あとは「絶体絶命都市」とか、キャラクターに入り込むよりも状況そのものを楽しむようなものが好きですね。

 

村上

Happy Elementsさんのゲームでプレイしたものは何?

 

奥田

「メルクストーリア」と「あんさんぶるスターズ!」ですね。

 

村上

なるほど、それぞれのタイトルの魅力を感じるポイントは?

 

奥田

やっぱり絵作りが良いですよね。キャラクターの内面や設定はとりあえず分からなくても、パッと呑み込まれるっていうか、見た瞬間にビビッとくる色とビジュアルが良いなって思ってます。すぐダウンロードしてみようかなってなるぐらい初見で殴られる絵作りだと思います。もちろん世界観とかシステムも良いんですけど、入口が入りやすいって感じがしますね。

 

村上

自分はコテコテのコンシューマ畑の出身なので最初はその魅力が分からなかったんだけど、実際にプレイしてみたらやっぱりビジュアルで引き込まれていつの間にかハマってしまった。

 

奥田

たしかに。いや凄いですね本当に。特に「あんスタ」の色はめちゃくちゃ良いなって思います。こんながっつり紫とか使ってるゲームなかなか見かけないんじゃないかな?と思ったり。

 

村上

で、まさにそれらのゲームを開発してるアートディレクターさんに直接授業を受けてるわけだけど、既存のイラスト系授業との大きな違いは何かある?

 

奥田

自分は去年イラスト制作の基礎、今年は応用を取っているのですが、流れ的には指示書のようなものがあって、それに沿ったイラストを描いて提出、合評という形なのですが、やっぱりいかに指示書に添えたか、あとイラストとしての出来、デッサンの狂いなどを見られる気がします。

Happy Elementsさんの授業は、絵のクオリティは当たり前として、じゃあそれが実際課金やダウンロードに繋がるのか?とか、こういったモチーフや色からどういう印象をプレイヤーに与えるのかまで、自分が絵を描いて人様に見ていただくまでの流れを強く意識するというのが大きな違いではないでしょうか?

この授業を受けて、実際見る人やプレイする人に届いたところに関する意識を強く持つようになりました。

 

村上

今回のHappy Elementsさんとの合同授業で得たものって何?

 

奥田

まず、授業を受けて良かったと思うのは、絵に対する姿勢はかなり変わりましたね。やっぱり趣味で描く絵とプロとして描く絵は別じゃないといけなくて。さっきも話しましたけど、プロはもっと先のことを考えてやってるから、今のレベルで立ち止まってちゃいけないなって思いました。プロとして描く絵は思考のプロセスから絵の作り方からちゃんと状況に合わせて考えなきゃいけないというのを学びましたね。

 

村上

そもそもアウトプットがあるかどうかなんだよね。趣味で描くと「絵」で終わるけど、ゲームなのであればゲームとして動作したときにどう見えるのかを考えなきゃいけない。

 

奥田

そこはちゃんと切り分けないといけないなって思ってて、今年はアウトプットの練習ってわけじゃないですけど、自分の絵を実際に物にしたり形にしたいと思ってます。本とかキャラクターグッズとかにしてみて、「映え」を意識したモノづくりをしていくつもりです。

 

村上

プランナー志望っていうのもあるし、そこも含めてのビジュアル作りをしていくということね。

というわけで、そろそろ時間なのでこの辺で。

ありがとうございました。

 

奥田

ありがとうございました。

 

 

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