キャラクターデザイン学科

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2020年12月18日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズ Vol 25  真田秋華と「芸大ラビリンスについて語る」の巻 Part2

 

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「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについて

  ピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

ゼミ通ヒーローズ Vol 25

真田秋華と「芸大ラビリンスについて語る」の巻 Part2

 

 

今回のゼミ通ヒーローズは、ゲームゼミ十二期生で現3年生の真田秋華さんと、

学内散策ゲーム「瓜生が如く~芸大ラビリンス~」について語っていきます。

 

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テストプレイに使用する謎解き用のキャンパスマップ。

 

村上 

今回は「大学案内」という、本来はアドミッションオフィスの業務内容だったわけだけど、

義務感だったり業務として行なうべきものを遊びとして形を変えて再現するゲーミフィケーションにしてしまう点が

本学らしい取り組みといえるよね。

消極的な人を能動的に変える仕組み作りというか、アクティブラーニングのノウハウがこういう形で活かせたのは良かったよね。

 

真田 

多分、こういうことをするよと言われたら、地図だけ渡して、スタンプラリーにするのが精一杯かなと思います。

でもわざわざ手間をかけてゲームの形にして、作り手も挑戦する側も楽しめる形にできるというか、

この柔軟性は日頃の授業の成果なのかなと思いますね。

 

村上 

普通はこんな面倒臭いことしないよ(笑)

 

真田 

最初はスタンプラリーとしての企画を依頼されたんですよね。

 

村上 

そう。でもスタンプラリーを拒んでこういうゲームの形にしたのは、スタンプラリーの場合だと「スタンプを押さなければいけない」という義務が発生するから。それは単なる「作業」になるし面白くないでしょ。

スタンプを押すことが楽しいんじゃなくて、ご褒美が目当てで全てをコンプリートするだけだから、果たしてこれはゲームと呼べるのか、と疑問を感じたわけ。

で、どうせなら遊んだり達成感が感じられたり、あわよくば大人の事情として「あの大学面白いことやってるよ」ってSNSで拡散してもらえるようなものを作りたかった。

 

真田 

なるほど。

 

村上 

企画当初はスタンプラリーの要素も含まれてたんだけど、それはスタンプそのものに謎解きのギミックが仕込まれてて、ある程度スタンプが揃った段階でその絵の並びをクライマックスの謎解きの伏線にできないかと思って入れてたんだけど、

ちょっと複雑になり過ぎたのと、あとはスタンプ台の管理が大変になるとか、諸々の理由でボツになった。

 

真田 

盗難の問題とかインクの補充の管理とか、色々言ってましたね。

 

村上 

面白い仕掛けだったんだけどなぁ。

 

真田 

最新のバージョンだと、私たち作り手の立場からすると難易度が低くて物足りないと感じるんですけど、

初見の人からしたらあれがちょうどいい難易度なので、結果的にはこれで良かったのかも知れないですね。

 

村上 

特にデジタルゲームを作ってる学生たちによくあることなんだけど、作り込むほどどんどん難しくなっていく。

「これくらいはクリアできるだろう」っていう先入観が強くなってきて、作り手自身が楽しめるレベルのものを作る傾向がある。これをやってしまうとプレイヤーは入口から躓いてしまうから、ゲームクリエーターには客観性がすごく求められるよね。

 

真田 

中学生でもわりとスラスラと進んでたので、もうちょっと難しくても良かったのかな、とも思ったんですけど、

〇〇の問題ではチームごとに躓いてるポイントがバラバラで、スタートは一緒だったのに途中からバラけていくのが面白いっていうか、その難易度の幅が表現できたのは良かったと思います。

 

村上 

完全にゲーム進行がストップするくらい躓くわけじゃなくて、少しの間皆で意見を出し合って考えれば答えが閃くような内容にしてるから、ほどよいストレスなのかも。もしこれがお金を払って遊ぶガチの脱出ゲームだったら、もっともっと難しくして緊張感を演出しないと商品にはならないよね。

でも今回はゲームの形をとりながらも結局は「キャンパス見学ツアー」という名目だから、難しくしすぎるとストレスでしかないし、そこのさじ加減を見極めるのは大変だったね。

 

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中学生のみなさん。

 

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ゲームに挑戦してくれた中学生。

 

真田 

最初は謎の数が結構多くて、単に問題集を解かされてるみたいになってたので、一番の目的である散策感が全くなかったんですよね。

 

村上 

自分は子供の頃から結構な地形マニアなので特にそう思うんだけど。

 

真田 

なんすかそれ?(笑)

 

村上 

入り組んだ地形とか高低差のある地形を見ると、そこに地殻変動の片鱗というか過去の地球のスペクタクルを感じで勝手にワクワクする性格なの。

昔は一日中地図を眺めて色んなストーリーを妄想してた。で、うちの大学の地形って、奥行きだけじゃなくて上下にも入り組んでて、まさにダンジョンという見た目だから歩き回ってるだけでワクワクするでしょ。歩かされてるって感じではなく冒険感が出て面白いと思う。しんどいけど。

 

真田 

私がこの大学に持ってる最初の印象は「階段ながー」…ですね。入学式の時点でビビりました(笑)

 

村上 

まあ確かに。まずはそこだろうね。

興心館の構造なんて未だによく分かってなくて、行くたびに「お!こんなところにも通路があるぞ!」とか「ここに繋がってるのか!」なんて言っててすごく楽しい。

 

真田 

あのあたりの構造は複雑すぎて全く分からないですね…。

 

村上 

さて今後の構想としては、今回作ったものが初級編だとして、中級編で90分コースを作って、

上級編は本学の在学生が頭捻ってギリギリ解けるくらいの難易度のものを作ってみたい、なんて話もあるよね。

実際に作れるかどうかは別として。

 

真田 

上級編はやってみたいですね。

 

村上 

在学生が、普段見慣れた場所に対して視点を変えて謎解きをして、更に新しい価値を発見するって面白いと思うんだよね。「ウチの大学すごいぞ!」って。

ま、それはまたいずれということで、今回の芸大ラビリンスについては、実際の運用が始まったらもう一度宣伝も兼ねて記事をアップしようかな。

まずは最初のバージョンが無事にできて(まだ納品できてないけど)、本当にお疲れ様でした。

 

真田 

はい、ありがとうございました。

 

 

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2020年12月17日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズ Vol 25  真田秋華と「芸大ラビリンスについて語る」の巻 Part1

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「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、

担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

 

今回のゼミ通ヒーローズは、ゲームゼミ十二期生で現3年生の真田秋華さんと、学内散策ゲーム「瓜生が如く~芸大ラビリンス~」について語っていきます。

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ゲームゼミ3年生の真田秋華さん。

 

村上 

今回は学内散策ゲームを制作したけど、まずは制作チームの代表として自己紹介と企画の概要を説明していこうか。

 

真田 

はい、キャラクターデザイン学科ゲームゼミの真田秋華です。

学内散策ゲーム『瓜生が如く~芸大ラビリンス~」のプランナー兼チームリーダーとして、連絡役とか資料のまとめをやってました。

この企画は、本学のアドミッションオフィス(入試や学生募集の担当部署)からの依頼によるプロジェクトで、

その依頼内容というのが、中学生や高校生の学内見学をゲーム的な展開で楽しくできないか、というものでした。

年々見学を希望する生徒さんが増えてきている中で、どうせならもっと楽しく、

能動的に見学できるような仕組みが作れないかと考えて、脱出ゲームのような謎解きを楽しみながら学内を散策するものになります。

 

村上 

まあ、こんな冗談みたいなことを本気でやるところがこの大学らしいよね。

ちなみにタイトルの『瓜生が如く~芸大ラビリンス~』は、今回のメインターゲットでもある中学生には響くのかな。

某社のゲームのパロディを恐る恐るつけてみたけど。

 

真田 

先日中学生が20名くらい来られて、その時にテストプレイをしていただいたんですけど、

皆理解したみたいでタイトルを見てニヤニヤしてましたよ。スベらなくて良かったです(笑)

 

村上 

それは良かった。では今回はそのメイキングを追って紹介していこうかな。

 

真田 

最初に企画が動き出したのが去年の12月くらいからでしたかね。

 

村上 

当初は4月頭からの運用を目指して企画を進めてたんだけど、コロナの影響で先延ばしになって今に至ると。

 

真田 

もう一年くらい経つんですね。最初はアドミッションオフィスの木原さんからの依頼内容を聞きながら大まかなゲームの方向性を考えていきました。

まず大学のどこを案内したいのかとか、中学生だったらどこを見たいかを考えて、その誘導経路に沿う形で謎解きの内容を固めていきましたね。

ちょうど仕上げ作業のタイミングでコロナの自粛生活が始まって学内の立ち入りが禁止になったので、

実際に会って打ち合わせをしたりロケハンをすることもできず、あと学校のコピー機も使えないから、

深夜に8回くらいコンビニに走って資料をコピーしてシミューションして…を繰り返してました。

企画自体はスムーズだったんですけど、体力的にはかなり大変でしたね。

で、中身の話としてはネタバレになるので多くは語れないんですけど、移動経路として、例えば〇〇とか〇〇とか、あとは〇〇とか。

ただ全部を回ると相当な時間がかかるので、ほどよい距離感でありつつ、大学の魅力が伝わる場所を絞り込んで詰めました。

 

村上 

同時に、中学生や高校生の集中力の持続時間を考えて、授業時間に合わせて大体5060分くらいでクリアできるようなボリュームにしようという話も出てたね。

巷の有名脱出ゲームでも60分だとキリがいいし緊張感の持続もちょうどいいから。

一度皆で回ってみたら、謎解きも何もせずただ歩いて回るだけで一時間近くかかって、それで場所の指定をー

 

真田 

それ以上言うとネタバレが(笑)

 

村上 

おっと(笑)内容に触れないように内容を紹介するって難しいな。

 

真田 

チームメンバーは、当時のゲームゼミ2年生の5人がメインで動いていて、全体のストーリー展開を先生含め全員で考えて、

それぞれの場所に分けて謎解きのギミックを考えてもらいました。で、最後の場所の…あ。

 

村上 

それ以上言ったらダメ。むー…何も話せない(笑)

いずれにしても、みんな2年生のときに脱出ゲームを制作してたから、企画自体はわりと早く決まったよね。

 

真田 

脱出ゲームだと、限られた時間と空間の中で管理できるから、作り手が状況をコントロールしやすいんですけど、

今回は時間制限もなく自由に動きながら遊んでもらうタイプのゲームになってるので、それが逆に難しかったですね。

 

村上 

どこが難しかった?

 

真田 

レベルデザインですね。これくらいヒントを出せばじゅうぶん分かるだろうと思ってかなり簡単な設定にしたつもりだったんですけど、

実際にテストをしてみると全然先に進んでもらえなかったりとか。

 

村上 

最初のテストプレイはキャラクターデザイン学科の教職員2人と、アドミッションオフィスの新人職員4人。

で、テストプレイの結果としては、学内のことをよく分かっているキャラクターデザイン学科の2人が55分でクリア。

アドミッションの新人職員は70分かかってた。ということは、学内のことを全く知らない中学生であれば90分以上はかかるんじゃないかと。

ここから大幅な見直しが入ったよね。ちなみに、さっき言った「簡単な設定」というのは、何を基準にそう考えた?

 

真田 

場所にもよると思うんですけど、パっとみて直感的に答えが分かるものですかね。

 

村上 

そこがゲーム作りでは重要なんだけど、問題を作る本人にとっての「簡単」と、初見のプレイヤーにとっての「簡単」はかなり差があるからね。

 

真田 

確かに、特に〇〇の謎解きは少し迷うかも知れませんね。

 

村上 

謎解きの難しさ以前に、大学自体が初めてだから、そもそもその名称が何を指しているのかが分からないという問題があるよね。

 

真田 

謎解きを考えるのとはまた違うハードルがあるので難しかったですね。そこを見極めながらギミックを詰めるのに大半の時間を使った気がします。

 

村上 

一度、京都芸術大学付属高校の生徒3人にもテストプレイをお願いしたことがあって、その時は60分くらいでクリアしてた。

ただ、大学内の施設や地形をなんとなく把握してるもんだから、かなり深読みをしてえらい山奥まで入って行ったりしてたね。

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テストプレイに挑戦してくれた京都芸術大学付属高校の生徒さんと、導入の解説をするアドミッションオフィスの上田さん。

 

真田 

でもそこは設問の難易度というよりは設問の文言の問題だったので、誘導の仕方を変えただけで解決できました。

中学生20名でテストプレイしたときは、仲間同士でワイワイガヤガヤ相談しもって、楽しみながら道に迷ってた感じでした。

でもさすがに〇〇への行き方は分からなかったみたいで結構苦労してました。

 

村上 

作り手としては、スムーズに楽しんでもらいたい気持ちと、迷う過程で本学の色んな魅力を発見してもらいたい気持ちが混在してたから、

そう考えると最後のテストプレイでは両方が満たせて良かったと思う。

 

真田 

中学生の場合は授業の一環として担任の先生が引率してたので、あまり道を外したらダメという気持ちがどこかにあったみたいですね。

本当は〇〇と〇〇に凄く興味を示してたので、もしこれが授業ではなくて個人で来てたらフラフラと寄り道を楽しんでもらえてたんじゃないかと思います。

 

村上 

中学校の先生の反応が凄く気になるんだけど、どんな感じだった?

 

真田 

最初はただ生徒の後ろをついて歩いてるだけだったんですけど、最後の問題は先生が先に解いちゃったみたいで、

それでテンションが上がってヒントを出したりしながら生徒たちを煽ってましたね。

 

村上 

お、それは理想的な展開だ。

 

Part2に続く

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2020年5月28日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズVol.23 鈴木うららと「Happy Elements合同授業について語る」の巻

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ゼミ通ヒーローズ Vol.23
鈴木うららと「Happy Elements合同授業について語る」の巻

 

今回のゼミ通ヒーローズは、ゲームゼミ12期生の鈴木うららさんをピックアップ。
今年設立10周年を迎える京都のゲーム開発会社Happy Elementsさんとの合同授業「ゲーム制作特殊演習」での課題内容を振り返り、キャラクター制作の話を掘り下げていきます。

 

 

村上 鈴木は絵も描けてゲーム企画もできるハイブリッドキャラだよね。この学年のゲームゼミの学生はみんなそんな感じか。

 

鈴木 私、重度のコミ障だったんですけど、グループディスカッションとかプレゼンをこなしていくうちに段々企画も出来るようになってきましたね。

 

村上 絵を描き始めたのはいつ頃から?

 

鈴木 物心つく前には既に描いてたみたいです。『おえかきせんせい』っていう玩具で四六時中絵を描いていました。

 

村上 あの砂鉄で絵を描く昔ながらの定番玩具ね。プラレールとこれは避けては通れない(笑)。これで遊んでた時は、絵を描ける喜びよりも、バーをスライドさせると絵が消えるのが不思議で、その仕組みに感動してた。まだ砂鉄を知らない歳だったから。

で、鈴木が絵を描くのが好きだと自覚した時っていつ頃だった?

 

鈴木 一人で黙って絵を描き続けてたので、家で問題も起こさないし良い子だと思われてたんですよね。絵を描くと周りの人が褒めてくれるんですよ。それが嬉しくてたくさん描いてただけですね。数をこなせば絵も上達してまた褒められるんです。それでもっと絵が好きになっていきました。

 

村上 なるほど、では今回はそんな「絵」にまつわる話ということで、ゲーム開発会社のHappy Elementsさんとの合同授業「ゲーム制作特殊演習」の課題について聞いていこうかな。

 

鈴木 はい。今回の課題としては、先生から提示されたゲームの企画書をもとに、前期でコンセプトアートとキャラクターデザインをして、後期にUIデザインと画面設計、最終的にそれらをまとめて設定資料集を作る、ということをしてました。

 

 

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鈴木さんの課題作品。

 

村上 その課題の評価ポイントをどこに置くかでHappy Elementsさんのアートディレクターと結構議論をしたんだけど、一つの考え方としては、企業が求める王道路線であるという点。これはクォリティの話ではなく絵のタッチの方向性の話ね。二つ目の考え方として、大学生のうちにしか描けない独自の表現を追求してもらった方が良いのではないか、という点。それでいうと鈴木の絵は後者に該当する。画力の良し悪しではなくて、自分にしか描けない線をしっかり持ってるっていう点で。

 

鈴木 まあ、よく言われます。

 

村上 学生の特性にもよるし卒業後の希望進路にもよるんだけど、鈴木はとことん個性を伸ばしていった方が良いんじゃないかな。独自の線を持ってるのは強みになるし。でもプロになるとどんな仕事を受注するか分からないから、所謂流行というか業務的というか王道路線のタッチも描けるようになっておかないといけないよね。

 

鈴木 そう、両方描けるようになりたいんですよね。最強じゃないですか(笑)。なので今練習中です。

 

村上 どんな練習してるの?

 

鈴木 私の絵って基本的にデフォルメが強めなので、もっと写実的というかリアル頭身でも描けるように訓練したり、色んな商品との絵柄合わせをしたり。

 

村上 Happy Elementsさんでもそうなんだけど、『あんさんぶるスターズ!(以下あんスタ)』『メルクストーリア(以下メルスト)』『ラストピリオド(以下ラスピリ)』を例にすると分かりやすいかな。その中でも『あんスタ』は、まるで一人のイラストレーターが全部を描いたかのように完全に絵のタッチを統一しなきゃいけなくて、僅かなブレも絶対に許されないんだよね。商品として考えたらそれは当たり前なんだけど。

 

鈴木 『あんスタ』は、本当に驚きましたね。こんなに完璧に絵柄を一致させる仕事なんて自分にできるかなって。
私は初めてハマったのが『メルスト』なんですよ。ゲームとしてシステムが面白いし、もちろんストーリーや世界観も魅力的なんですけど、それ以上に絵には作家それぞれの個性が生かされてるじゃないですか。なのに絵柄にブレがない。これを見たときに「ゲームの世界で絵を描くのっていいな」って思ったんです。

 

村上 今回はそんな鈴木の大好きな『メルスト』のアートディレクターさんから直接絵の指導をしてもらったね。

 

鈴木 私、感動して大泣きしました(笑)。大ファンだったので。それは授業だから言わないつもりだったんですけど、でも最後の授業の日にご挨拶させていただいて、感極まっちゃって…。もう本当に好きなんですよ。5年間想い続けて。

 

村上 そんな大ファンの人から色々作品の講評をしていただいたわけだけど、どの辺を指摘された?

 

鈴木 まずですね、今回のこの企画には、タカシ君という名前の主人公キャラクターがいるんですけど、彼は小野篁の子孫で、妖怪を探して倒す力を持っているんです。夜な夜な妖怪退治をしてるんですけど、昼間は誰もが近寄り難い陰キャでして。
ヒロインはコマチという名前で、小野小町の子孫です。彼女はタカシ君のことが大好きでストーカーをしてるんですけど、タカシ君のサポート役として妖怪退治の手助けをするっていう展開になります。
コマチについてはもう完全に私の好きな女の子の設定を詰め込み過ぎてもうめちゃくちゃなんですけど(笑)。

 

村上 まあ鈴木に限らず、女の子キャラを描く時はなぜか皆暴走するから困ってるんだけどな…(苦笑)。鈴木の場合、線画が強くて、ゲームキャラクターというよりは漫画寄りなのかな。Happy Elementsさんと採点する時も、「これ、漫画だよね」って話になって、かなり評価が分かれた。

 

鈴木 あ、そうなんですね…。

 

村上 この絵を最初に見たときに、自分が子供の頃に一番影響を受けた漫画家で藤子不二雄とか鳥山明を思い出したんだよね。最低限の線で全て表現するあの画力。ああいうのが凄く好きだったんだけど、鈴木の絵を見たときに共通するものがあるなと思った。
昔サンデーで連載してた『YAIBA』の雰囲気にも似てるなと。あの『名探偵コナン』の青山剛昌が昔連載してた漫画なんだけど。線のタッチとかデフォルメの具合とか。しかもキャラクターを真っ黒に塗り潰してもちゃんとシルエットが際立ってるように工夫してるとかね。キャラ立たせる点では物凄くよく描けてると思う。

 

鈴木 ありがとうございます。私が影響を受けた、というかよく真似をして描いてたのは、小さい頃に見た『ケロロ軍曹』の吉崎観音さんと『ポケットモンスター』の真斗さんですね。すごく好きだったんですよ。

 

村上 なるほど。ルーツを聞いて納得した(笑)。でも自分のタッチを見つけて、その独自路線を貫いてるよね。

 

鈴木 趣味で描く分には、そこは変えようとは思わないですね。自分の絵が大好きなんで(笑)。あ、もちろん、まだまだだとは思ってますけど、でも、やっぱり好きなんですよね。

 

村上 好きっていうのは凄く大事なことだけどね。義務感で描かされてるのとはモチベーションが全く違うし。

 

鈴木 いつも自分の絵を見て「わ!かわいい!!」って言いながら描いてます。

 

村上 動きがあって、重心バランスもしっかりしていて、配色バランスも良いし、絵で惹きつけるだけの力はあると思う。アナログっぽい不安定さがたまらないね。

 

鈴木 それ、褒めてます?

 

村上 もちろん。こういう皺の表現みたいなこの潔いザクっとした描き方とか、線の略し方、Gペンで描いたような線の強弱の付け方とか。相当描き込んでないとこんな省略はできないよね。リアルを理解してるからこそ簡略化できてるんだと思う。

 

鈴木 塗りについては、グラデーションを入れたくらいで、あとは目立つ所だけ部分的に影を加えたりとか、それくらいの事しかやってないですよ。影だけロックかけてその中をグラデーションにして色変更っていう、物凄く速く終わる方法でやりました。制作時間としては6時間くらいですかね。

 

 

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鈴木さんの作成したキャラクター紹介シート。

 

村上 出すところは出して引っ込めるところは引っ込めるデフォルメの基本がしっかりできてるから、短時間でやったように見えない。
キャラクターの絵はどういうプロセスで描いてる?

 

鈴木 単にタカシのデザインを私好みにしたんですよ。前髪が長めで、髪を括ってて、ちょっと顔がオラついてるみたいな。

 

村上 リアルには興味ないの?

 

鈴木 リアルには全然興味ないです(笑)。あとは、立ち方を考えるのが好きで、昼のタカシだったら、ちょっと猫背でダラッとしてて、肩も下がってるとか。陰キャがよくやるみたいに、手持ち無沙汰になって髪の毛をクルクル回すような仕草をさせたりとか。で、人の目が見られないから明後日の方向向いてるみたいな。

 

村上 …そういう人が好きなの…?

 

鈴木 はい(笑)。で、夜は、誰も見てないし自分の好きなことが出来るから堂々としていて、竹刀の構えもビシッとなってて、羽織も風を受けて少し広がることで力強さを出したり。特に足を描くのが好で、皺とか描き出したら楽しくて止まらなくなっちゃって(笑)。

 

村上 性別としては、男キャラの方が描きやすい?

 

鈴木 モノによります。でも、私の絵は男女の差があまりないので、変わらないですかね。。本当はちゃんと意識して差別化しなきゃいけないんですけど…。

 

村上 で、講評会の時の話に戻そうか。

 

鈴木 なんか、色使いのことを褒められましたね。

 

村上 キャラが立つキャッチーな色を使うのが得意だもんね。

 

鈴木 あ、色しか褒められてないかも(笑)。プロットを読んだ時に和風の世界観を意識しなきゃいけないと思ったんですけど、あまり表現できてないですね。

 

村上 設定は現代劇だからね。で、京都が舞台だからといって無理矢理なんでもかんでも和風にすればいいってもんでもないし。講評の時に他の学生が指摘されてたけど、和柄のモチーフと和のフォントがぶつかりあって画面がうるさくなったりとか、その部分の個性が強すぎてキャラクターが埋もれてるパターンが結構あったね。和と聞くとどうしても和柄をどこかに入れたくなってしまうんだろうけど。

 

鈴木 それやりすぎると色が暗くなるじゃないですか。落ち着いたトーンというか。私はそういうのが苦手なので、和柄はかなり抑えて組み込んでます。

 

村上 企業との合同授業という点について聞いていきたいんだけど、まずは一年終わってどうだった?

 

鈴木 やー、早かったですね。初回の授業の時に、Happy Elementsさんの社内での絵を描くプロセスを教えてもらえて、それが嬉しかったですね。『メルスト』のコンセプトアートがあったじゃないですか。世界観の作り方とか考え方とか、それをどう見せればどう伝わるのかとか、そういうことを実際に描いた本人から教えていただけて凄く価値がありました。あとは、さっきも言いましたけど、担当者が私が昔からファンだった人なので、嬉し過ぎて色々直接質問もさせていただけて、しかも授業が終わった後に長いこと立ち話で拘束しちゃって、なんというか、もう、本当に、すんませんっていう。

 

村上 プロならこうやって考えて描くんだよ、て話を聞かせてもらったけど、レクチャーの中で印象的だったことは?

 

鈴木 質疑応答でも結構話題に挙がってましたけど、どうしても学生のうちって好きなものばかりを描いてしまう傾向があって、「あなたが好きなものではなくて、皆が好きなものを描けるようにならなきゃいけないよ」って言われて。皆が好きなものって、女の子キャラなら、黒髪ロングのストレートっていうのが男性人気のキャラとして一定数ファンがいるらしくて、そういうターゲットをちゃんと考えて、幅広いファンがいる要素と、眼鏡がどうしようもなく好きとか、髪の長い男が好きとか、そんなコアな部分も意識しながらキャラクターを設計していくといいよってアドバイスをいただきました。

 

村上 当たり前だけど、趣味で描くわけじゃないからね。仕事ってのは。
それでいくと、鈴木の絵は上手なんだけど、良くも悪くも独自性が強すぎるんだよな。

 

鈴木 そうなんですよ。どうにかしなきゃって、分かってるんですよ(笑)。

 

村上 学生のうちは全然構わないよ。自分の世界を広げていって、どんどん独自の手法を開拓していってくれればね。この絵でキャラクターを自由自在に操作出来たら楽しいだろうなって思うし。そんな個性を伸ばす絵を描くこととは別に、プロとして働くことを考えると、クライアントのオーダーを100%全うする技術も習得しなきゃいけないよね。

 

鈴木 そういう訓練も最近始めました。絵柄合わせとか。

 

村上 ちなみに、鈴木が絵を描く時のモチベーションって何?

 

鈴木 まずは、自分の絵柄が好きってことですね。でも課題で描かなきゃいけないような義務感で描くときは、怒りのパワーに置き換えて描いてます。

 

村上 は?

 

鈴木 この期間でこれだけの絵を描いて下さい、て課題が提示されるじゃないですか。でもそれってめちゃくちゃ大変じゃないですか。そういうとき「あー、大変だー」じゃなくて、この制限の中で自分の納得するものが描けたらめっちゃ凄いじゃんってなるわけですよ。じゃあやってやるよ!って。今回のこの課題でも最終課題の時はかなり時間がなかったので、時間と戦う感じで制作してましたね。

 

村上 今回の冬休みは短かった上に課題が多くて、更には脱出ゲームの制作も同時進行だったから特に大変だったね。

 

鈴木 更に締め切り直前に成人式で帰省したり。なーんか忙しかったですね。

 

村上 でも、このインタビューも長いことやってるけど、「自分の絵が好き」っていう言葉は初めて出てきたな。もちろんみんな絵を描くのは好きなんだけど、やっぱり「必要だから」「コンセプトに合わせた」という理由が多くて、なんか業務的というか。逆に「自分の絵が好き」って言えるのは最高のモチベーションだと思う。ちなみにどういう所が好きなの?

 

鈴木 え?かわいいじゃないですか(笑)。

 

村上 素直か。

 

鈴木 色も好きだし、腕とか足とか、描いた後に見て「お、分かってるじゃん!」って自画自賛します。

 

村上 自画自賛ってものすごい大事。自分もよくバカみたいに毎日「俺天才」って言ってたし。

 

鈴木 私も同じです。自分にそう言い聞かせてるっていうか、暗示ですね。

 

村上 自己肯定感が低い人が多いってよく言われるけど、もしかしたら鈴木の場合はそんなネガティブの裏返しなのかもね。

 

鈴木 絵以外は物凄いネガティブですよ(笑)。

 

村上 普段ネガティブな分、絵にその反動が来てるのかな。天才って言いながら絵を描いてたら、そりゃ当然うまくなるよ。

 

 

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ゲームゼミのウォーミングアップ課題となるペラいちの企画書。

 

鈴木 特にこれがお気に入りなんですよ。ゲーム制作特殊演習とはまた違うんですけど、ゲームゼミの最初の課題で、日本ゲーム大賞を想定した企画案です。これめっちゃかわいくないですか?

 

村上 うん。

 

鈴木 …なんかこれ、バカのインタビューみたいになってません?

 

村上 そんなことないよ。懐かしいなと思って。うちはイラストレーターも最初は全員ゲーム企画の基礎を仕込んでいくから、これは我ながら良いトレーニング課題になるなと自画自賛してた(笑)。それと、ゲーム研究をする上で自画自賛のメカニズムについて追及できたら面白いなと思って。

 

鈴木 あー、なるほど。私は、人を褒めたときに謙遜されるのがちょっと苦手です。調子に乗ればいいのにって思っちゃうんですよ。「絵うまいね」って言ったら「でしょー!」とか「私もそう思う!」て言ってほしいんですよね。その方が楽しいじゃないですか。

 

村上 君は入学当時から比べたら随分成長したなぁ。

 

鈴木 入学当時はそもそも人と話せなかったですからね(笑)。

 

村上 グループワークが多かったのもあるし、とにかく合評が多い学科だから、いつの間にか経験値が自信に変わっていったんだろうね。言霊っていうけど、自分で「天才」って言ってると暗示で本当に強くなれるからね。
ということで、今後も自画自賛を忘れず前向きに頑張っていって下さい。

 

鈴木 ありがとうございました。

 

 

Happy Elements公式サイト
https://www.happyelements.co.jp/

 

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2020年4月8日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズvol.22 辻村奈菜子と「医療とメディアアートの連携について語るの巻」

 

 

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辻村奈菜子と「医療とメディアアートの連携に ついて語るの巻」

 

 

 

 

無題 (1)

脱出ゲーム制作中の辻村奈菜子さん(左)。

 

村上

定番の質問からなんだけど、まずはつじ子(辻村)がこの道を志した理由から聞かせてくれるかな。

 

辻村

最初は英語系の大学に入ろうと思ってたんですよ。英語が得意やったし、英語しゃべれたらカッコいいし、とか思って。でもやっぱ急に芸大に行きたいかも知れへんってなって、入試の一か月前くらいに突然路線変更したんですよ。
美術の先生が「辻村は美大に行った方がいい」と言ってくださって。で、行こうかな、でした。オープンキャンパスに行ってみたら全体的に楽しそうで、やっぱりキャラクターを描きたかったのでキャラデに決めました。

 

村上

芸大で何をしようと思ってた?まだゲームの道を究めようとか、そんなことは考えてなかったよね。

 

辻村

最初は単に絵を描くのが楽しいなー、くらいで。将来の目標も何も見えてなかったです。今も絵は描いてるんですけど、ゲームプランナーになりたいのかデザイナーになりたいのか、それも決めきれずにフラフラしてます。

 

村上

つじ子は一年生の頃から発想力が高くて、かなりぶっ飛んだアイデアを出す場面が多かったから、そこが印象的だった。授業中につじ子が発言すると「きっと何か面白いことを言うに違いない」って周りも注目するような場面が多かったよね。もしかしたら自分が考えてるつじ子像と周りのイメージとのギャップもあるのかも知れないけど。

 

辻村

元々絵を描くだけじゃなくて、なんか作るのが好きなんですよ。ゲームの領域やったら、絵を描くだけじゃなくて、プログラミングをするかも知れへんし、工作するかも知れへん。そんな感じでなんか幅広く色々出来そうかなって思って。

 

村上

そんなつじ子は、今回ゲームゼミと大阪市立大学医学部との共同研究でゲームを企画するプロジェクトを行なって、2月半ばには発表会もあったので、その時の話を聞いていこうかなと。
で、その前にまずはプロジェクトの概略のおさらいから。これはメディアアートと医療の連携として進めていた研究プロジェクト。通常業務や研修会等で医療従事者同士がもっと円滑なコミュニケーションをとることによって医療事故を無くすための実験をしてみようという話。それには説明をするんじゃなくて、メディアアート、所謂アニメーションやイラスト、漫画やゲームを使って、人の動きを変容させるための研究ができないか、という企画内容だったね。

 

 

 

無題2 (1)

大阪市立大学医学部付属病院の研修室にて、カードゲーム「老害集会」のプレゼンをする辻村さん。

 

辻村

そうですね。で、今回は医療関係者同士のコミュニケーション、というか研修の場で職種や立場に関係なく色々意見が言いやすいようにするためのコミュニケーションゲームを作ることにしました。
そこで自分らが作ったゲームが「老害集会」で、自分たちが老害であることを再認識するゲームです。内容としてはほぼカルタです。読み札に描かれたイラストの老害になり切って読んで、そのセリフや演技に該当する絵札を奪い合う遊びになります。

 

村上

ではゲームの内容と併せて、制作プロセスについて話していこうか。

 

辻村

企画会議で行き詰ってる時に、チームの人と雑談みたいな感じで「グループワークが苦手な人って多いよな」って話になって、その時に会話がうまくいかない例を出しながら話してたら先生も色んな例を出してくれたんですよ。
昔、開発現場でディスカッションがうまくできないチームがあって、その理由が「自分の意見が正しいはずだから他人の意見は聞きたくない」っていう人がいたとかで、それ聞いて「そんなやつおるんすか!?それめっちゃ老害やないですか!」って。

 

村上

それって老害だよね。から、じゃあそもそも老害って一体何なの?て突っ込んだあたりからディスカッションが深まっていったよね。

 

辻村

最初は単純に「あなたはどんな老害かな?老害チェッカー!!」みたいなノリで話してたんですよね。でも老害かどうかをチェックするだけで終わってしまって、ゲームにもなってないし面白くもなんともないし。
そこで、見方を変えれば誰もが老害だよね、って話になって。自分が老害であることを認めさせるゲームって面白くない?って話になったんです。

 

村上

ここでいう「老害」は、老人のことを指すわけではないよね?

 

辻村

そうですね。例を挙げて話すうちに「それって若者にもおるよね」ってなったんですね。小学6年生の時にポケモンの新作が発表されて、その時自分で詳しく確認もしてないのに「新しいシステムとかいらんし!自分の世代のポケモンが一番良かったし!いらんいらん!」と感じてたことを思い出したんです。結局はどのポケモンも大好きになるんですけど、自分で見ようともせずに最初から否定するのって、めっちゃ老害やんな、ってなったんです。

 

村上

老害の定義って何?

 

辻村

人に迷惑をかけてることに気付かず、自分の考えが正しいと感じること、ですかね。要は自己中心的なやつってことですけど。

 

村上

マウントをとりたがるとか、反発したくなるとか、昔は良かったとか。こういう人種をひっくるめて老害だと。

 

 

 

無題3 (1)

テストプレイで使用した「老害集会」の試作品。

 

辻村

そういうことです。カードには色んな老害のパターンのイラストが描かれてるんですよ。「全部おまえのせい人間」「俺、老害ちゃうし人間」「クレーム人間」「マウント人間」とか。

 

村上

マウント人間って?

 

辻村

「あなたには分からないでしょうけど」って、相手のマウントを取りたがるタイプの人間です。

 

村上

なるほど。あと、これは分かりやすいね。「価値観押し付け人間」。

 

辻村

他にも「他人の意見否定人間」とか。「アドバイス人間」とか。

 

村上

え!?アドバイスもダメなの?

 

辻村

それ自体は別に良いんですけど、要は言い方ですかね。相手が嫌がってるのに気付かずに過剰なアドバイスをしてくる人ですね。

 

村上

ちなみに、自分は小岩先生(音楽プロデュースの教授)と帰る方向が同じだから、よく車で送っていくのね。で、毎回同じ所で「次、左ですよ」って言ってくるわけ。毎日通るから当然道知ってるんだけどね。だから、「左」って言われるであろう場所の30メートル前からウィンカーを出すようにしていて、そしたら次の日は40メートルくらい前に「はい次左ですよ」って言ってきて。

 

辻村

それわざとじゃないですか?(笑)

 

村上

そうなのかなぁ。でも何となく先に言われるのがシャクだから、次の日は50メートル前にウィンカーを出す。

 

辻村

ウィンカー出すの早すぎて周りの車が混乱しますよ。

 

村上

もちろん親切で言ってくれてるのは分かってるんだよ。ただ繰り返し言われるとね、なんというか、ほんの少し鬱陶しい(笑)。

 

辻村

それ単に先生が意地になってるだけやないですか。私から見たらどっちも老害ですよ(笑)。
じゃ例えば、好きでやってるのに「えぇ~?こっちの服の方が似合うのにぃぃ~!」みたいなことを毎回言ってくるとか。

 

村上

言ってる方はどんな気持ちなんだろう?

 

辻村

善意ですよ。「お前のため」っていう。

 

村上

感謝を強要するニュアンス?もしかしたら老害って全部そうなんじゃない?

 

辻村

もちろん全員それが自分にとって最良の事やと思ってやってると思うんですけどね。

 

村上

悪意を持ってる人はいないか。

 

辻村

そうですね、いないと思います。その人にとっては正義なので。

 

村上

「クレーム人間」は?

 

辻村

これは、客が店員側を悪やと思ってるパターンですね。成敗してやるぞ、っていう。

 

村上

それって、相手に対して良かれと思って「今お説教してあげたらこの店員の将来が安泰」とかそういう意図ではないと思うんだよね。自分が傷つけられてムカついてるから発散したいだけ。

 

辻村

そうやと思いますわぁ~。

 

村上

要は「よくもやりやがったな」っていう感情。だけどそれを良かれと思ってやってる。

 

辻村

人によっては、そんな店員によってこれ以上被害者を出させるわけにはいかぬ。だからここで私が食い止めないと!っていう気持ちもあるかと思います。

 

村上

いずれにしても自分にとっての正義を振りかざす人のことやね。

 

辻村

そうやと思いますわぁ~。

 

村上

で、それは全部に当てはまりそうだね。じゃ次の「今どきの若者は人間」は、嫌みを言ってくるお爺ちゃんのことかな?

 

辻村

今の日本はダメやから、ちょっとでも自分の知恵や経験によって国を良く出来れば、っていうことですね。

 

村上

自分はあんなに苦労したのに、こいつらラクしやがって、ていう妬みの感情なのかな。

 

辻村

それもあると思うんですけど、根本はそうであっても、最初に出る言葉はめっちゃ「国のために」とか「お前たちのために」とか。

 

村上

グローバルを装ったローカル?

 

辻村

よくわかりませんですね(笑)。

 

村上

つまり世のため人のためと言いながら、結局は自分のことしか考えてないやないかい、っていう。でも、誰しも年齢を重ねるとそうなると思うんだよね。時代はどんどん変わっていくわけだし、その変化ってなかなか受け入れられないと思う。

 

辻村

そうやと思いますわぁ~。

 

村上

我々世代も、自分が子供だった頃には大人たちから散々高度経済成長期の話を聞かされて、「そんなこと言われてもなぁ」と思いつつ、でもいざ自分が大人になって君ら学生の世代を見ると「なんでこいつらLINEでしか会話しないんだ。少しは本を読め」ってなる。多分「読書をしなさい」とアドバイスした瞬間に老害ってことになる。

 

辻村

私も大人になったら、子供らに向かって「なんでお前らゲームしてないん?」って文句言うかもしれないですよね。

 

村上

そうだね。ゲームが浸透してる世代だからこそ、「ゲームばっかりしやがって」じゃなくて、自分たちと同じようにゲームしろよ、ってなるわけだ。ま、いずれにしても老害の定義としてはそんな感じであると。

そしてこれを実際にカルタとして形にして、病院で試遊したけど、反応はどうだった?

 

辻村

なんか意外と楽しんでもらえましたね。自分的には単純すぎたかなと思ったんですけど、ただでさえ医療業務で大変な中、複雑なルールを覚えさせるのは厳しかろうということで、あえて単純にしてました。

 

村上

5秒くらいで覚えられるルールじゃないと厳しいという話もしてたしね。

 

辻村

テストプレイの時は、遊んでて物足りないというか、何か奥が深くなるようにと色々な要素を足したくなっちゃって。でもその欲を押さえて良かったなと。

 

村上

「カルタ」っていう響き自体が、まずは中高年的には馴染みやすいよね。子供の頃に誰もが少なくとも一度は経験してるだろうということで、イメージがつきやすかったのかも知れない。更に『老害集会』なんていう、色んな意味でキャッチーなタイトルがついてるから興味をそそられる。しかもマニュアルも町内会の回覧板みたいなダサいデザインを意図的に作ってて…。

 

 

 

無題4

『老害集会』の取扱説明書。

 

辻村

「みんなでかるたを楽しみましょう!♫」って縦に伸びた虹色のフォント使って描いてるんですよ(笑)。

 

村上

超ダセえ(笑)!

 

辻村

初めてwordを触ってみました的なダサさを意図的に表現しました。

 

村上

これはかなり勇気のいる仕事だね。芸術大学でこのデザインにするかっていう…。

 

辻村

でも私、普段からああいうことしてるんで(笑)。

 

村上

デザインはともかく、このくらい単純な仕組みだから導入で成功したという印象はあったね。
あるアナログゲーム専門店の店員さんが、仕事の合間に色んな所に出向いてゲームのワークショップを開いてるんだけど、ある時老人ホームでゲーム大会を開いたことがあったらしくて、その時感じたのが、老人に受け入れられる難易度としてはトランプの「ババ抜き」が限界だと。

 

辻村

ええー!で、その状態で何か新しいゲームを考案しなきゃいけなかったんですか?

 

村上

そう(笑)。

 

辻村

やっば(笑)!そんなん無理じゃないですか。

 

村上

だから直感的に手を振るだけで楽しいとか、リズムに合わせて体を動かしたりとか、古典的なメンコやしりとり、ビー玉やお手玉、そういったものを使って単純に遊べるものをベースにアレンジしていくみたい。

 

辻村

それはそれで楽しそうですね。

 

村上

今の学生たちだったら、もう物心ついた頃からポケモンとかスマホの複雑なRPGで普通に遊んでるよね。

 

辻村

はい。でも最近のゲームはチュートリアルがめっちゃしんどいですね。

 

村上

確かに。このあいだ学生や副手の間で流行ってるスマホの某RPGをやってみたんだけど、1時間くらいチュートリアルが続いて、延々説明を聞かされて、そこで挫けた。一度に覚えることが多すぎて何を言われてるのかさっぱり分からなくて…。
…って、なんか話だか、主旨が変わって来たな。

 

辻村

「チュートリアル長いんじゃ人間」っていう老害ですね(笑)。

 

村上

で、そうそう。話を戻そう。今回の『老害集会』の企画の着地点って何だった?

 

辻村

んふわぁ~

 

村上

あくびすな。インタビュー中やぞ。

 

辻村

ゲームで遊ぶことによって、終わった後とかに、「お前それ老害ちゃうんんん~?」とか「なんとか人間ちゃうんんん~!」とかを冗談で言い合える環境づくりを目指しました。目上の人を相手になかなか言い出しにくいこともあると思うんですけど、当事者としても「あ、これもしかしたら**人間と呼ばれてしまうのでは!?」と思って余計なことを言わなくなったり。そういうのがあるとお互いが言動を慎むというか、客観的に物事を捉えられやすくなるんじゃないかなって思うんですよ。今の発言はこの人にとって老害扱いではないのか、みたいな。

 

村上

なるほどね。そもそも今回のプロジェクトについて、「医療なのにゲーム」ていう点はどう感じた?

 

辻村

医療のゲームを作るわけではないと分かっていても、それでも最初は単純に難しそうだなって感じました。

 

村上

でも、コミュニケーションを円滑にするための遊びという考え方は、医療現場に限らずどの領域でも応用できる普遍性はあるよね。

 

辻村

ですなぁ~。最初に話してた「老害チェッカー」があるじゃないですか。あれはゲームじゃなくて占いみたいにただ結果を知らせるだけなんですよね。「あなたはCタイプの老害でした。へぇ~そうなんや~、完」とか、友達同士で「あんた何タイプやったん?えー、あんま当てはまってないなぁ~、あれ、ここ当てはまってるやぁあ~ん、完!」みたいな感じで。でも、これをゲームの形にしてみんなで遊んだら、老害自体が冗談の幅になって、本来ネガティブだったものをポジティブなエンタメにできるかなと。遊びの要素が入ることで、情報が一方通行になるんじゃなくて、体験が得られるから、そこがゲームという形の大きなポイントなのかなって思いましたね。

 

村上

つまりコミュニケーションツールってことだね?

 

辻村

んふぅ~

 

村上

あれ、違った?

 

辻村

よく分かんないっす。

 

村上

プロジェクトとは関係ないけど、つじ子は今後どうしていきたいの?

 

辻村

将来のことはいつも雰囲気だけで考えて、実際にやってみてから「やっぱここで良かった~」って考えるタイプなんですよね。ゲームゼミに入ろうって思ったのも、最初はよく分かってなくて、単にコツコツとゲームを作るだけのゼミなのかと思ったら、めっちゃグループワークばっかりで、しんどいけどこれがまた楽しい。

 

村上

ゲームやる人って、一般的な印象ってどうなんだろう。デブで眼鏡で早口で、ハンバーガーくわえながら「死ね死ね」とか叫んで敵キャラ殺してるみたいな。

 

辻村

うちそんなんちゃいますよ(笑)。めっちゃ偏見じゃないですか。

 

村上

「ゲームやる人間なんてどうせこんな奴らばっかりやろう人間」(笑)。

 

辻村

でも、ゲームゼミについてそういう印象を持ってたのは入学前の頃の話ですよ。グラフィックとかプロデュースとか、ずらっとゼミの名前を並べられて、そこにゲームゼミが混じってたら、ちょっと陰キャというか、何というか、ちょっとキモめの人がいそうかなって。

 

村上

キモめ…

 

辻村

でもゲームの授業を受けてみて、グループディスカッションが多くて、自分含めて根本はみんなインのキャラなんでしょうけど、インなりにコミュニケーションがしっかりとれてるというか、対話からどんどん構想が広がっていく感じが楽しいなと思って。そこからゲームに対する印象が少しずつ変わっていきましたね。

 

村上

ゲームゼミっていう呼び方も変えたいところだけどね。遊びを学ぶ上での一つの表現手段がゲームというだけなので。

 

辻村

じゃぁどうしますか?村上パラダイスゼミとかでいいんじゃないですかね。楽しそうですよ。

 

村上

アホやと思われるわ。

 

辻村

人体実験ばっかりやらされてるからモルモットゼミの方がしっくりきますね(笑)。

 

村上

まあそれは…否定しない…(苦笑)。さて、例の如く最後はグダグダで何を話してるか分からなくなってきたので、今回はこの辺で。どうもありがとうございました。

 

辻村

ありがとうございました。

 

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2020年3月19日  学生紹介

王吟賀と「ゲームのストーリーについて語るの巻」 Part2

0001

ゼミ通ヒーローズ Vol.21

 

Part1はこちら

 

村上 今回の制作期間は?

 

 ずっとシナリオだけを書いていたわけではなくて、

少し書き進めたらイメージ画を描いて…これを交互にやって全体像を明確にしていきましたね。

だから実際にシナリオを全部書き終わらせたのは後期の中盤なんですよ。

前期はシナリオを中心に、卒業制作の中間合評に間に合うようにキャラクターの立ち絵とキービジュアルを仕上げました。

 

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卒業制作作品『桃夭』のキービジュアル。

 

村上 合評の時に提示したキービジュアルはかなりインパクトがあったね。

作品のテーマを的確に表現していて、構図も色彩も素晴らしく美しい。

 

 なんか、細かい絵を細かく描くのが好きなんですよ。

今回のゲーム用としては、表情差分も含めてヒロインの服装が3パターンあったんですけど、

宮廷の服だけで表情を70個くらい描きまして、他は…もう覚えてません…。

男性キャラクターは150枚くらい描いたと思います。

 

村上 実際に中国でのロケハンもあって、膨大なシナリオと膨大な絵のデータの作成をして、

そこからゲームの世界観を伝えるための展示の設計や準備にも時間をかけて作り込んで…。

本当に大変な作業だったね。

 

 好きなことなので楽しかったですよ。

 

村上 確かに、制作中は本当に楽しそうに書いてたもんね。

ずっとセリフを呟きながらニヤニヤ笑ってたところが印象的だった。

今度はこれをゲームの媒体に落とし込んだ時に、読み物ではなくてゲームストーリーとして、

つまり遊ぶものとして工夫したポイントはある?

 

 やはりゲームである以上、インタラクティブな遊びとしてのストーリーを見せなければいけないので、

物語を分岐させることと、その中のパラメーターとして、「好感度」と「運命度」というものを組み込みました。

好感度は既存商品などによくあるパラメータで、攻略キャラクターとの愛情を示すものです。

運命度は、これが高ければ、好感度を問わずに直接「史実エンド」に向かうというものです。

要するに歴史に沿った形の展開ですね。史実エンドへの選択肢は普通は政治絡みの内容と関わってます。

運命度は恋愛感情以外のものに心を揺さぶられるということなんです。

例えば、蕭寧さんの第四章で「逃げる子供の後を追うかどうか」という選択肢がありまして、

もし子供を追うと、ここで初めて未央が平民の感情に触れることができて、

苦しんでるのは自分だけじゃないと気付くんです。

それによって、以前だと知ろうとはしなかったことを知ろうとしたり、行動が変わってきます。

そういった行動によって運命が変わっていくという展開になっています。

 

村上 そもそも悲しい歴史の話だし、史実エンドだからといってそれがグッドエンドというわけではないよね。

何がプレイヤーにとって良いエンディングなのかはあまりハッキリさせてないところが面白い。

ちなみに、物語の中に選択肢を組み込むポイントは何か法則があるの?

 

 物語は序章と本編の四章で構成されていまして、一章ごとに選択肢を2つずつ組み込んでいます。

ストーリーを読み進めていく上で78分に一回分岐が訪れるくらいのテンポ感になるので、

モチベーションの維持にはちょうど良い設計になってるかなと思いますね。

 

村上 演出的に工夫したところはある?

 

 やはり恋愛ものとして定番の見せ場ですね(笑)。

 

村上 定番の見せ場ね、ドキドキするよね(笑)。

全体を通してストーリー展開も文章もちゃんとしてるので、盛り上がるポイントが心得られてるなと思った。

 

 ありがとうございます。

 

村上 作業としては、二週間で一章完成するくらいのペースで書いてたかな。

内容自体は全く問題なくて、たまに誤字の指摘をするくらいで。

まるで連載小説作家の編集者になった気分で、毎回新作を楽しみにしながら待ってる感じだった。

ちなみに、普段はどんなゲームで遊ぶの?

 

 大学に入るまでは乙女ゲームしかやったことがなかったんですけど、

この大学でゲームを学び始めてからは経営シミュレーションゲームを少しやりました。

アクションゲームだと『トゥームレイダー』ですね。

アクションゲームでもストーリーがしっかり作り込まれているものは好きですね。

乙女ゲームの中でも、スケジュールを埋めるだけでイベントをこなしていくような

作業的なタイプのものはあまり好きじゃないんです。

好感度を上げ下げするような事件がたまに起こるだけとか。

特にスマホ用の乙女ゲームは普通は凄く短いんです。

展開の面白さというよりは、そこに登場するキャラクターとのやりとりによる

パラメータの変動が面白いってことですよね。

でもやはり読み物として成立するくらい作り込まれたストーリーが好きです。

私はオトメイトさんの作品が好きで、

一番最初にやったのが『薄桜鬼』という日本の新選組の話なんですけど、

最近だと『ニル・アドミラリの天秤』ですね。これは大正時代の話です。

 

村上 やっぱり時代物が好きなんだ。

個人的に乙女ゲームは避けてきたので実はよく分かってないんだけど…。

 

 乙女ゲームは、コーエーテクモさんから発売された『アンジェリーク』が発祥で、

これがヒットした後、ストーリーの中にパラメータを組み込んで、

読み物というよりゲームとして面白くする方向で『ときめきメモリアル』が出たと思います。

年々新しいシステムを搭載して進化しつつあるんですけど、

今回私が作ったものはキャラクター選択系のゲームで、これは既に市販されているタイプのオーソドックスなシステムです。

その他は、一本のストーリーの中に複数のキャラクターが登場して、

その中で誰との好感度を上げていくかというタイプのものになります。

そこには共通ルートというものがあって、その中の好感度によってキャラクターごとのルートに分岐していきます。

 

村上 君はストーリーの設定や展開に対して拘りがあるけど、ではストーリーを作る上で大事なこととは?

 

 まずはちゃんと感情移入できる物語であることですね。

ゲームの感情移入って二種類あると思ってるんですけど、まず一つ目はヒロインへの代入です。

つまりヒロインになり切って物語を体験するというものです。二つ目は傍観者としてヒロインを見守る形です。

 

村上 その時の感情移入の違いって何?

 

 自分の娘を見てる感じなんでしょうか。成長を見届けるというか。

 

村上 アクションゲームでいうと、完全にプレイヤー=主人公になるよね。

マリオとピーチ姫の関係性を外から傍観するって事はないし、この二人の将来がどうなろうと知ったこっちゃない。

ピーチ姫は監禁されてる身でありながら手紙を送ってきたりするから、

案外快適に暮らしてるやんけ、て余計なことを考えてしまう。

それよりも、自分がマリオになって飛んだり跳ねたりする方がゲームとしては面白いわけで。

で、今回作った『桃夭』はヒロインになりきって展開するんだね。読んだ感覚は男女で違うのかな。

 

 そうですね。違うと思います。

 

村上 女子は完全になり切れるんだと思うけど、

今回シナリオのチェックをしていてもどうしても男子目線で見てしまうから、

なり切るということはできなかったな。

選択肢がきたらその時ヒロイン目線で考えるという感じかな。

その場の状況そのものを楽しむ感じで読んでた。

 

 今回は二つのストーリーに分けていて、各ルートの中で二人の攻略キャラクターが出会うことはありません。

でもお互いの言葉の中では少しだけ触れる場面があります。

一つのルートで遊ぶと必然的にもう一つのルートでも遊びたくなるように

好奇心を掻き立てるようなシナリオ構成にしています。

 

村上 読む順番はどっちが先でも良いのね?

 

 はい、そこは自由です。

あと、今回詩をたくさん入れたんですけど、唐の時代は誰でも詩を作る時代だったので、

これは欠かせないと思って入れました。私自身も詩がとても好きですし。

できれば日本の人にもこの詩の美しさを伝えたいと思っています。

 

村上 詩の翻訳は苦労してたよね。中国語を直訳しても美しさのニュアンスがうまく伝わらないって。

多分そこは中国人にしか分からない微妙な空気感もあると思うんだけど、

どう訳せばその空気が伝わるかはだいぶ試行錯誤したね。

 

 日本には和歌があるので、古文っぽく訳したりしましたね。

私が自分で作った詩も一つ入れてあります。ストーリーの中では主人公が作った詩という設定なので、

ここはどうしても先人のものを使いたくなくて。

それは簫寧さんの第三章の上元節で詠んだ詩なんですけど、

「正月中旬紅蓮夜、火樹銀花万灯明。」「千門鉄鎖争相開、笙歌舞袖動帝京。」というものですね。

あと、笑い話をする掛け合いがあって、そこにはちゃんとした答えはあるんですけど、

主人公の未央はとても真面目な人なので、この笑い話を真面目に受け取り過ぎて普通に返してしまったんですよ。

その時の対句もヒロインのキャラクター性が出るように、ちゃんと言葉が対照的になるように意識して書きました。

対句とはそういうものなので。

 

村上 最近だと日常生活でも「表現」というより

「説明」ばかりになっていて言葉のやり取りに情緒が失われてきてるから、

こういう詩を読み解く面白さとか、何かを感じ取る面白さをプレイヤーに味わってもらえると良いね。

 

 そうなると嬉しいです。

 

村上 さて、君はこの春に学部を卒業した後は大学院で

更に深くゲームとストーリーの関係性を掘り下げていく形になるけども、もうシナリオの構想はあるの?

 

 はい。また同じように時代設定から突き詰めていっています。

初唐と盛唐については史書に残されてるものがたくさんあるし、中唐は今回書いたので、それ以外でと考えていて。

私が二番目に好きな時代が民国なので、この時代を書こうかなと。

近代史は中国人にとって屈辱と抗いの激動の時代で、とても魅力があります。

 

村上 その動乱の世の中で揺れ動く乙女心を描きたいと。

 

 そういうことです。舞台は19201930年代の上海です。具体的な年はまだ決めていません。

でも中国共産党は1921年で成立しましたので、その後の第一次国共合作と、

合作が破裂した後の10年内戦期に関わる内容になります。

今回は攻略キャラクターが3人登場します。

 

村上 だいぶ雰囲気変わるね。ていうかまた物語のボリュームが凄いことになっていそうで期待してます。

ということで、また引き続き頑張ってやっていきましょう。

 

 はい、ありがとうございました。

 

※王さんの作品『桃夭』はこちらURLから実際にプレイしていただけます。

 

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