キャラクターデザイン学科

学生紹介

  • LINEで送る

2019年11月8日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズVol.15 奥田菜陽と「Happy Elements授業」について語るの巻 Part1

11111

ゼミ通ヒーローズ Vol.15

 

今回のゼミ通ヒーローズでは、ゲームゼミ2年生(12期生)の奥田菜陽さん(広島県立広島観音高等学校出身)をピックアップ。

絵も描けて企画もできる奥田さんですが、

今回は彼女が受講している「ゲーム制作特殊演習(株式会社Happy Elementsさんとの合同授業)」での

イラスト作成を中心にその表現についてお話を聞こうと思います。

 

22222

 

オープンキャンパスのスタッフとして高校生に学科説明をする奥田菜陽さん。

 

村上

まずは人となりから聞いていこうかな。そもそも、どうしてこの大学に入ろうとしたの?

 

奥田

私、高校の時にずっと「ジョジョの奇妙な冒険」にハマってたんですけど、

荒木先生を尊敬してて、とにかく漫画が描きたかったんです。

受験のときもここのマンガ学科が第一志望でキャラデは第二志望だったんですけど、

二つの学科で合格が出たんですよ。

その時大学から届いた通知には「隣の芝は青く見えるのでしっかり考えましょう」みたいなことが書いてあったんですね。

それを読んで「じゃあ、本当に私はマンガが描きたいのか」って考えた時に、

荒木先生が「漫画は総合芸術だ」っていうことを言ってらっしゃって、

それがすごい憧れだったっていうか、

一つの作品を作るのに全部のことをしなきゃいけないじゃないですか。

で、キャラデはどうかって考えた時に、学べる領域がたくさんあって、

これを組み合わせたら自分がやりたい総合芸術が何か出来るんじゃないかと思って、ここに決めました。

 

村上

キャラデで漫画を描こうとは思わなかったの?

 

奥田

それはですね、1年生のときに「ゲーム制作基礎」をとってたじゃないですか。

あの時に、本当にたまたまだと思うんですけど、村上先生が「ゲームは総合芸術だ」って言ってて、

その作業工程も含めて自分がやりたいことと一致したので。

 

村上

ちなみに、総合芸術じゃなくて、究極の総合芸術ね。

 

奥田

あー、そうでした。そんな風に言ってましたね(笑)

 

村上

情報をインプットするだけじゃなくて、操作することで「人と機械」「人と人」の相互関係が生まれたり

「体験」をデザインできるから究極の総合芸術って言い方をしてる。

イカすだろ(微笑)

 

奥田

はい、そこでズキューンってきました(笑)

 

村上

…にしても、漫画からゲームって、物凄い変化じゃない?

 

奥田

そうですかぁ?

 

村上

総合芸術であれば何でも良かったってこと?

 

奥田

いや、なんか色んなことに触れてみたかったっていうか、

性格的に一本に絞るのが向いてないなって思ったんですよ。

 

村上

貧乏性なのかな。目の前に出されたものは勿体ないから全部喰うみたいな。

 

奥田

そうかも知れないですね。一つのことだけだとどうしても途中で飽きちゃうんですよね。

 

村上

自分も超飽き性だからよく分かるな。常に違うことをやってないと耐えられない。

ゲームの開発をしてた頃も、基本トラブル続きだから飽きない(笑)。

しんどすぎて毎回「今回が最後。これで退職しよう」って思い続けて、

打ち上げの席では「次何作ろっか!?」なんて盛り上がってる。

今思えば完全に中毒だったね。

 

奥田

そう、それです。毎回課題やってても辛いと思うこともあるんですけど、

いつの間にか絵を描いてたり、新しい企画を考えてたり、そんなことばっかりですね。

 

村上

それはどういう思考なの?

 

奥田

ただ描きたいって思って描いてます。頭の方が先に動いてはいるんですけど。

 

村上

「何を描くか」ではなくて、ペンを握ってから「さあ何をしよう」ってこと?

 

奥田

そうです。衝動的に絵を描きたいって思ってから題材を決めますね。

 

村上

自分もそのタイプなんだけど、いざペンタブに向かって「描くぞ」ってなって、

集中して気持ちを高めて、ペンを走らせようとした瞬間にメールとかLINEとか。

結局返信を書いてるうちにどんどんメールが溜まってきて、あわわわわわみたいな。

 

奥田

まさしく去年がそんな感じで、今年もかなりヤバかったんですけど、

去年はゲームだけじゃなくてアニメーションとCGの授業もとってたので、

常に一定のペースで大きな課題が押し寄せてくるっていう。

 

村上

随分ヘビーな授業で固めたね。

 

奥田

そうですね、とれるうちにたくさん取っておこうと思ってましたね。

今年はCGとアニメはとってない分、ビジュアルに特化しようと思っていて、

「デザインソン」とか「動画ソフト演習」「背景美術」とかとってますね。

 

村上

中でも一番ヘビーな授業は?

 

奥田

ヘハインホンれす(笑)

 

村上

かなり言葉を濁してきたね(笑)

 

奥田

別にしんどいっていう意味ではなくて、デザインって正解がないじゃないですか。

絵の場合だったら自分の中で「ここで完成」って区切りがつけられるんですけど、

デザインって、考えれば考えるほど悩んでしまってずーっと修正し続けて終わりが見えてこないので。

あと、単にillustratorに自分が慣れてないだけっていうのもあるんですけど。

私の場合、アウトプットに行くまでに結構時間がかかるんです。

まず頭の中でアイデアを練って、スケッチブックに何枚も案を描いて、

それが納得いくまで形にしないみたいなところがあって、締め切り直前にわーってなるんです。

 

村上

企画をしっかり詰めるのは良いことなんだけどね。

ところで、ゲームゼミに入った理由は?

 

奥田

まあ、ゲームを作りたいっていうのが大きいですね。

総合芸術っていうのはあくまでスタートだったっていうか、

それ以降はあまり意識してはいないんですけど、

自分に何ができるとか、何がやりたいかをちゃんと探したかったっていうか。

 

村上

今年の2月には、まだゼミも決まる前から卒業制作展でのゲームゼミの展示を手伝ったりしてたもんね。

全日程朝から晩までずっと手伝ってくれてたけど、あれはどうして?

 

奥田

友達に誘われたっていうのもあるんですけど、しかも前日の深夜2時に。

 

村上

それで出てくるのがまず凄いよな。

 

奥田

最初は面倒臭いなって思ったんですけど、

設営初日に「カナンの塔」というゲームの展示のお手伝いに行った瞬間に

先輩の作品を見て「すげー!!」ってなって、思い切り頭を殴られたような気になりました。

先生もよく言ってますけど、やっぱり身近な存在の重要性っていうのを思い知って。

それまでは4年生と話す機会がなかったんですよね。

だから初めて会う人でしたけど、

ゲームゼミの先輩でこんな自分の手に負えなさそうな凄いものを作ってて本当にびっくりしました。

 

村上

あの子らは他の後輩からも「レジェンド」って呼ばれてた人たちだからね。

で、また絵の方の話に戻したいんだけど、今年のゲームゼミ2年生のメンバーって、

企画もできるし絵も描ける濃いメンバーが揃ってるよね。

 

奥田

そうですね、確かに濃い面々ですよね。

 

村上

奥田自身も同じく企画もデザインもできるけど、ゼミの中での奥田の立ち位置というか、

この先どうしていきたいっていうビジョンはあるの?

 

奥田

立ち位置についてはずっと悩んでるんですけど、本当に周りのメンバーが凄すぎて、

置いていかれないように精一杯突っ走ってるって感じなんですよ。

でもやっぱり絵が描けるプランナーという立ち位置を目指してますね。

 

村上

さっき奥田が言った「周りのメンバーが凄すぎる」っていうのは、実は他のメンバーも同じことを言っていて。

で、これは今になって思えば申し訳ない話なんだけど、

ゼミの初回授業で「キミらは関西でも高い人気を誇る学科の、その中の人気ゼミに選ばれて入ってきた。

先輩たちの努力によってこのゼミもこんなに大きくなったから、皆もがんばろぉー!」っていって

ハッパをかけたつもりだったんだけど、

それが思いのほか皆に大きなプレッシャーを与えてしまってたみたいで…。

 

奥田

はいはいはい、そうですそうです(笑)確かに初日から怖かったですね、あれ(笑)

 

村上

でも今回はゼミの話がしたいわけではなくて、ゲームにおけるキャラクターデザインという題目で、

今ゲーム会社のHappy Elementsさんとやっている授業「ゲーム制作特殊演習」の中での

イラストレーション制作について触れてみようかなと。

 

奥田

はい、わかりました。

 

村上

これは去年から開講された授業で、

去年はチームを4つ作って、そこでゲームプランニングから企画書を完成させるところまでをやったんだけど、

プランニングの要素が入ると評価基準もバラバラになって判定しにくいということもあって、

今年の授業では各自単独の作業として、決められたゲームプロットをもとにオリジナルのキャラクターをデザインしたり、

コンセプトアートを描いたり、最終的にはそれを設定集として人様に見せられるレベルの冊子を作る、という内容に変えた。

 

奥田

内容としては、前期は先生が考えたゲームの企画書をもとに、

その舞台となる世界観を紹介するためのコンセプトアートやキャラクターデザインをして、

後期になると、それを活かしてUIデザインを含めてゲーム画面を作り込んだり、

設定集を作ったり、でいいんですよね。

 

村上

そうそう。大きく分けると前期はイラスト、後期はグラフィックデザインという流れになるかな。

で、実際に前期受講してみてどうだった?

 

奥田

自分の作品に対してはまだ納得がいってないんです。

受講者全員が選抜されたメンバーというだけあって、先輩方の考え方とか絵のクォリティが桁違いに高くて、

それに触発されて頑張ろう!てなった感はあるんですが、

どれだけやってもプロのレベルっていうのは全然違うんだなって実感しましたね。

 

村上

どの辺にプロとの違いを感じた?

 

奥田

思考のレベルですかね。描きたかったものを描いてしまう癖とか、

テーマにこじつけて何とか自分の描きたいものに近づけていくことが多かったですけど、

Happy Elementsさんの説明を聞いていたら、「この色はこんなイメージを与えるから」とか、

ちょっとした構図とか、それこそこの会社のキャラクターは特に顔が売りになってくるので、

表情をちゃんと見せるための構図作りをしているとか、常に私たちの一歩先を考えてるんだなって感じました。

私たちは「絵を描く」っていうところまでしか考えてなかったんですけど、

絵を描いてそれを売っていくところまでプロの人はちゃんと考えてるんだなって感じました。

私の考えが浅かったなと(笑)

 

村上

2年生の段階でそこに気付けたのは大きいと思うよ。

 

奥田

今年は2回生が多いですね。だいたい半分くらいですかね。どうやって受講者エントリーの審査したんですか?

 

村上

ガイダンスの時に「これは3年生が中心になる授業ですよ」と詠っていながらも、

履修エントリーの際のポートフォリオを全員分並べて審査した時に、圧倒的に2年生の画力が高かった。

Happy Elementsさんの会議室で全員分の画像を表示して、結構時間をかけて一人ひとり審査したよ。

これまでの授業の履修状況とか出席率とか授業態度とか(笑)

ここで選ばれた君はエースってわけで。

 

奥田

おぉー!(笑)

 

村上

この授業の扱いとして、学科の憧れの授業にしたかったんだよね。

だから「聴講したい」って希望も結構聞くんだけど、それも受け付けない。

選ばれた人しか入れませんっていう。

じゃあ、ここから授業の具体的な内容について触れていこうかな。

 

 

 

Part 2に続く

 

  • LINEで送る

2019年11月5日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズvol.14「菊竹茉由と制御について語るの巻」Part2

00

ゼミ通ヒーローズvol.14

菊竹茉由と「制御」について語るの巻 Part2

03

 

村上

なるほど。じゃあ今度はゲームゼミの根本の話をするけど、「ゲーム教育」というものについて掘り下げていこうかな。

 

菊竹

また難しい話を…(笑)

 

村上

ゲームって、世の中的にはあまりよろしくないイメージがあるよね。

 

菊竹

やり過ぎたら怒られるとか。まあ、あまり良いイメージは持たれないですね。

 

村上

子供は、宿題をやれと言ってもやらないけど、ゲームは「するな」というと隠れてでもしようとする。それは一体なぜですか?という問いかけから授業は始まるわけだけど。

先日うちの嫁さんがママ友から「子供がずっと隠れてゲームをやってる」と相談を受けたのね。スマホを隠したりパスワードを変えたりしても、意地でも見つけ出してロックも解除して遊ぼうとする。で、依存症になりそうで怖いと。

 

菊竹

でも、ゲームを隠したところで結局探しに行くだけですよね。全く根本解決になってない。

 

村上

そう。でも、例えばサッカーの練習に夢中になってる少年は依存症とは言われないよね。洗濯は大変だし帰りは遅いし、時には怪我もするし。あとは朝練で疲れ果てて授業中はずっと居眠りしてるし、母親からすると結構大変な状態なはず。でもそれは「ヨシ」で、コンピューターゲームは「ナシ」と言われる。

で、そんな世の中的に「ナシ」と言われてるものを君らは一生懸命研究してるわけだよね。

 

菊竹

でもやっぱり遊びって必要ですよ。単純に言うと、楽しくないと何をするにもモチベーションが上がらないし。

 

村上

うちのゼミでは、人を観察してその人を楽しませるための仕組みを考えるっていう創作工程そのものを「遊び」だと定義してる。平たく言うと、クリエイティブこそが遊びであり遊びこそがクリエイティブ。

 

菊竹

絵を描いてて楽しいのは、頭に思い浮かんだものを形にできるのが嬉しいからなんですよね。

描いたものを見てもらうことも出来るし、設定とかつけて物語にもできるし、描いてるときも描いたあとも楽しい。

 

村上

設定を考えてるときが一番楽しいっていうのは、やっぱりプランナーとデザイナーの両方の資質を持ち合わせてるからこその考え方なんだろうね。

 

菊竹

絵に限らないですけど、ただジャンプしてるだけでも楽しいですよ。

 

村上

マリオのコンセプトはそうだね。

 

菊竹

子供の頃って外を走り回るだけでも楽しかったんですよ。どれだけ速く走れるかとか、走ってるときに風が当たったりとか。単純なのに感じられるものがたくさんあって。

 

村上

自分が動くことによって何かが動くから楽しい?

 

菊竹

それもありますけど、それこそ自分を操作してるみたいな感覚ですかね。

 

村上

広い所を走ってるっていうより、制御するっていう感覚の方が大きいのかもね。特に下り坂を全力で走った時なんて、止まらなくなっていく感じにヒヤっとする部分もあって、これ以上スピード出してコケたら大ケガするかも、とか。

 

菊竹

そういうギリギリ感が楽しいですね。

 

村上

具体的に、子供の頃によくやってた遊びって何?

 

菊竹

水泳ですね。毎週テストがあって、そこで頑張ると水泳帽にワッペンをつけてもらえるんですよ。保育園の時とか、ワッペンだらけの帽子をかぶるのが嬉しくて。

 

村上

なるほど。水泳がうまくなったことと同時に承認欲求を満たされて喜び倍増ってことね。その過程でワッペン追加っていう「成長の可視化」があることでモチベーションが維持できる。こういうことを子供の頃に経験しておくと、実際にゲームをつくるとき「人ってこういうことをすると喜ぶ」というのがよく分かって良いよね。

ちなみに今後はどんなゲームを作ってみたい?

 

菊竹

昔遊んだゲームの「ポケモン」とか「サルゲッチュ」とかも好きだったので、そういう古いゲーム対する尊敬っていうか憧れがあって、そこに自分らしさをプラスしていって、同じ面白さを表現できるようなものがつくれたらいいなって思います。

卒業制作でどんなものを作ろうかなって考えながらノートにネタをまとめてるところです。

 

村上

早いな。もう卒業制作の準備してるの?

 

菊竹

夏の卒制中間合評で先輩方の作品を見て、このクォリティまで仕上げるのは大変そうだなとは思ったんですけど、ああいう場で自分が作ったものをちゃんと発表して、今までで一番良いのがつくれたらいいなって思いましたね。単純になんかワクワクするので、もうやっちゃおうかな、って感じです。ただ今はまだUNITYに慣れてないっていうのもあって、なかなか思い通りに動いてくれないんで、その辺りが難しいですね。

でもやっぱりアクションゲームを作りたいです。

 

村上

アクションゲームが作れたら何でも作れるしね。ターン性じゃなくてリアルタイムで同時多発的に色んな処理が発生して、これを制御しながらバグが出ないようにゲームとして成立させるって、かなり大変なんで。自分は昔RPGかアドベンチャーゲームばかり開発してたから全然気づかなかったけど、フリーになって初めてアクションゲームを開発した時に、想定しなきゃいけない要素が多すぎてとにかく大変だった。そんなときにwiiで「スーパーマリオ・ギャラクシー」が発売されて、

 

菊竹

あれはめちゃくちゃ面白いですよね。

 

村上

そう。面白いんだけど、開発者の立場で見てしまうから「一体どんな天才がこれを作ったんだ」って思って心底打ちのめされたね。あまりにもゲームとしての出来が良すぎて…。

当時のクリエーターにとっては「ゼルダの伝説/時のオカリナ」も仕事の教科書と呼ばれてて、制作現場のスタッフたちと「どうやったらこれを越えられるのか」って真剣に議論したこともあった。

 

菊竹

ゼルダも神ゲーですよね。

 

村上

さっき「制御感」が面白いって話が出てたけど、特にアクションゲームは思い通りに動くから面白いっていうものもあれば、初期の「バイオハザード」みたいに「上を押しても上に行かない」という操作性に慣れるまでに時間がかかってそれが恐怖を演出していて、操作に慣れてきた頃にストーリーに入り込んでいけるようになるっていう構造のものもあるよね。

 

菊竹

それで一つ思い出しました。前にPC用のフリーゲームで遊んでたんですけど、それはプレイヤーがすごく小さくて、少し移動させただけでも自分が思ってるより遠くまで移動しちゃって、すぐに敵に当たって死んじゃうんですよ。この操作に慣れるまでが大変なんですけど、制御できるようになってきてからが急に楽しくなるんです。右を押して急速に右へ移動し始めたときに左を押してブレーキをかけて、思い通りのタイミングと場所で止まってくれたときに嬉しくなるんです。

 

村上

なるほどね。そういう制御感でいくとレースゲームなんかだと分かりやすいね。「マリオカート」は割と直感的な操作で思い通りに動くから楽しいと思うのね。これに対して「グランツーリスモ」はレースゲームではなくてドライブシミュレーターと呼ばれてるように、とにかく実車をモチーフにしてるから挙動がリアルで、それだけに「マリオカート」の感覚で操作をすると一瞬で事故る(笑)

個人的にはセガサターンで発売された「セガラリー」っていうレースゲームが凄く好きなんだけど、あれはドリフトの感覚を楽しむゲームになっていて、車体が滑って制御できなくなるギリギリの感覚がとにかく楽しい。思い通りにいかなさそうなものを動かす喜びってゲームにとって凄く大事なんじゃないかなって思うね。

と、レースゲームの話をしたけど、逆に現実世界ではどう?制御できないことだらけで大変だよね。

 

菊竹

そうですね、現実で大変なのはグループの話し合いとかですかね。一年生の時にグループでアナログゲームを制作したんですけど、なかなかうまく話しがまとまらなくて…。でも最後に「これでいこう!」って決まった時にはすごくスッキリしました。

 

村上

全員が黙り込むような状況よりは全然良いけど、個性の強いメンバーが集まってそれぞれ違う事を言うと、それを制御するのは難しいよね。

 

菊竹

なので、強制じゃなくて誘導する方法を考えました。

まず「これはどう?」ってアイデアを提案するんですけど、たくさんの選択肢になるようなアイデアを先に考えておいて、私が密かに一番推したいアイデアにみんなが食いつくように話を進めていくんです。で、誰かが食いついたら即座に「じゃそれで!」て言ってどんどん決定していきます。もちろん皆の意見は取り入れながらですけどね。

 

村上

自分のアイデアを強要するんじゃなくて、グループメンバー全員がまるで自分が決めたかのように演出をして、実は自分の思い通りのアイデアで固めていくっていう方法ね。

RPGのゲーム展開なんかはそういう構造になってるよね。自分で道を開拓したかのように錯覚させておいて、でも結局は一本道でした、みたいな。「説明」じゃなくてストーリーによる「表現」になってるから一本道であることになかなか気付かずに没入していく。掌で転がすって感じ(笑)

 

菊竹

言い方悪いですけど、でも、そういうことですよね。道筋はともかく最終的に皆が能動的になれることが一番良いので。やっぱり自分が考えた通りに進んでくれたら楽しいなっていうのはありますね。

 

村上

17人もいるゲームゼミの面々をどうやって制御するかっていう問題があるけどね。

良い結果を求めようと思ったら、結局チームワークが全てになってくるんだよね。

 

菊竹

そうですね。

 

村上

過去最多人数のゼミ生を引っ張っていくにあたって、これからはリーダーの菊竹に対して「おいリーダー、何をやってるんだ」ってお説教をすることが多くなってくるから、とにかくメンタルを強く持っていてほしいな。

 

菊竹

メンタルに関しては、昔一回折れてるんで(笑)、もう大丈夫です。

 

村上

折れ癖がつくってことはないよね(笑)

 

菊竹

はい、大丈夫だと思います。

 

村上

ではこれからも頑張って下さいな。ではインタビュー収録ありがとうございました。

 

菊竹

ありがとうございました。

 

 

 

  • LINEで送る

2019年10月30日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズvol.14「菊竹茉由と制御について語るの巻」Part1

00

 

 

ゼミ通ヒーローズ Vol.14

菊竹茉由と「制御」について語るの巻 Part1

 

今回のゼミ通ヒーローズは、村上ゼミ2年生(12期生)のゼミリーダーである

菊竹茉由さん(福岡県立八幡中央高等学校出身)をピックアップします。

01

 

村上

まずは定番の質問なんだけど、なんでうちの大学に来ようと思ったの?

 

菊竹

中学3年生の時、高校入試のために塾に行ってたんですけど、そこに大学一覧が壁に貼ってあって、その中からキャラクターデザイン学科っていうのを見つけて「面白そうだな」って興味を持ったのが始まりでしたね。

高校も美術系に行っていたので、デザインとかそういう進路を目指してて、その気持ちのままストレートにここに来ました。あと、学べる領域として「ゲーム」って書いてあって、他にはCGにも興味があったので、これらも含めて総合的に学びたいなと思って。

 

村上

菊竹は絵も描けるし企画も出来るし、幅広くやれるからこの学科がハマったのかもね。

 

菊竹

確かに最初は絵を描きたくてここに来ました。

でも授業の中で段々企画の方が向いてるんじゃないかと思ってきたんですね。

 

村上

その切っ掛けは?

 

菊竹

一年生の時の「ゲーム制作基礎」の中で、架空のプロットからゲーム画面を作るっていう課題があったじゃないですか。絵を描くだけじゃなくて企画者の視点からも見なきゃいけなくて、この課題を「面白い」って思ったあたりから段々気持ちが変わり始めました。

 

村上

まあ、よくあるパターンだな(笑)。出だしとしては皆キャラクターとか世界観を作りたいって思うんだろうけど、それは後に回して、最初はUIデザインの話しかしないようにしてる。皆綺麗に絵を描き込んでくるけど、あえてそこは一旦無視して、ゲームをプレイする上での操作性とか視認性の話ばかりしてたな。皆「え、そこを評価するんすか?」「キャラクターは見てくれないんですか?」って驚いたと思う。そこで初めてUIデザインがゲーム企画の根幹を支えるものなんだって気付くんだね。で、段々キャラクターを描くよりも仕組みを考える方が面白いって思うようになる。

 

菊竹

そうですね。私も元々はゲームのキャラクターデザイナーを目指してました。

スマホゲームのガチャで出てくるキャラクターの立ち絵がカッコいいとか可愛いとか、そんなことばかり言ってましたね。でも段々自分の描いたキャラが動いてるのを見たいって思い始めました。

 

村上

誰しも最初は絵がうまくなりたいっていう気持ちはあるんだろうけど、ある程度力が身についてきたら今度はその絵を使ってどんな風に遊ばせようかって考えるわけだね。

ちなみに、うちら世代がゲームキャラクターっていうと、マリオとかソニック、パックマンみたいに記号化されたものを想像してしまって、立ち絵っていう意識が全くない。Aボタンを押したときにこんな動きをしたら面白いなとか、そういう発想でしかキャラクターを見てなかったから。

 

菊竹

操作したいというか、もちろんそれも大きいんですけど、それ以上に物語とか世界の中に入りたいって思ってましたね。でも最近はスマホ向けでもゲームシステムが面白いものも出てきてるんで、ゲームそのものも楽しめるようになってきたかなって思います。

 

村上

スマホでもコンシューマ志向のガチなゲームデザインが増えてきたよね。

菊竹が好きなゲームってどんなの?

 

菊竹

ちょっとマニアックかも知れないですけど、ストーリーの中に哲学的な要素があるのが好きなんです。

MOON」とか「MOTHER」とか。もちろんゲームとしても面白いんですけど、ストーリーがすごく良くて。一見可愛いのにどこかゾッとするような要素を含んでるような。

あとは平成中期のゲームが好きですね。ゲームキューブとかPlayStation2とか。当時のCMも好きなんですよね。

もしかしたら単なるノスタルジーなのかも知れないですけど。

 

村上

ちなみに、最初にハマったゲームって何?

 

菊竹

最初にハマったのは、4歳の誕生日に親から買ってもらったポケモンです。

そこからゲームが好きになっていきましたね。毎年誕生日とかクリスマスには必ずゲームを買ってもらってました。

 

村上

ついさっきうちの娘から「テストで100点とったからマリオメーカー2買ってきて」てメールがきてた(笑)

約束は約束だから帰りに買わなきゃ…。

 

菊竹

私も、高校生の時に成績が学年10位以内に入ったらwiiUとスプラトゥーンをセットで買ってあげるって親から言われて、めっちゃ勉強頑張りました。多分「どうせ無理やろ」って思われてたんでしょうね。

 

村上

ご褒美があるから頑張るのか、頑張った結果としてご褒美があるのかでモチベーションは全然違うよね。

たしかに、娘には100点とったらマリオメーカー2を買ってあげるとは言ったけど、実際にとってしまうと、本当に勉強を楽しんでるのかなって心配になってくる。

 

菊竹

でもその頑張る過程で「自分ならできる」って思えるのが嬉しいし、

モチベーションも保ててたんで、それはそれでいいかなって思います。

 

村上

なるほどね。ちなみに菊竹は今ゲームゼミ2年生のリーダーをやってるけど、実際ゲームゼミってどんな感じ?

 

菊竹

アナログゲーム、デジタルゲームだけじゃなくて、遊びの力で社会をいかに面白くするかっていうゲーミフィケーションの研究をやってますね。後期からは脱出ゲーム制作も始まります。ゲームといってもかなり幅は広いと思います。

 

村上

一通りやってみてどうだった?

 

菊竹

昔から作りたかったのはデジタルゲームだったんですけど、実際にアナログゲームの制作もしてみて、どっちも面白いじゃんってなりました。元々アナログゲームについてはあまり興味なかったんですけど、遊びを作る上でそこの考え方は変わりましたね。

デジタルだと自分一人だけで進むとか、対戦だったとしても相手の顔が見えない場合が多いじゃないですか。でもアナログだと人同士が向き合って遊ぶので、相手の表情を読んで戦略を考えるとか、遊びが広がって面白いですよね。

ていうか、そもそも紙が好きなんです(笑)触れるから。

 

村上

紙が好き(笑)そうそう、そういう素朴な動機がすごく大事。

 

菊竹

でも最初のアイデア出しとか、5人のチームで全員意見がバラバラの状態で、それをまとめていくのが大変でした。

でも紙に書いてテストプレイが一瞬でできる点がすごく良かったです。フィードバックも早くて、どんどんアイデアが出てくるので。

 

村上

今、一年生の時の話をしたけど、今現在2年になってからはどう?

 

菊竹

このゼミでは、最初にウォーミングアップで「日本ゲーム大賞」を想定したゲーム企画をやって、

「ゲームジャム」「Japan Expo」向けのゲーム制作、そのあとは京都のホステルに置いてもらうための外国人観光客向けのアナログゲーム制作をやりましたね。

 

村上

Japan Expoについては以前伊藤舞(ゼミ通ヒーローズvol.11)が語ってくれたけど、ざっとおさらいしておこうか。

 

菊竹

Japan Expoでは、フランスに持っていくゲームということで、言葉が通じなくても遊べるゲームとしてメンコのゲームを企画しました。ゴールデンウィークの間に大急ぎでまとめた企画でしたけど、同時進行でゲームジャムの企画も動いてたからゴールデンウィークはまるごとなくなりましたね(笑)

 

村上

ゲームジャムの方は、テーマの発表があったのがゴールデンウィークの半ばで、

連休明けの土日にイベント本番っていう(笑)

 

菊竹

二日でゲームを完成させるのはなかなか難しかったですけど、初めて自分が関わったものがああやって画面の中で動いてるのを見て感動しましたね。「本当に完成しちゃった」って。

アナログゲームは作っていく過程がその場でわかるじゃないですか。でもデジタルゲームの場合はプログラマーさんにデータを渡してから形になるまでに時間がかかるし、それがどんな風に動いたり表示されるかわからないので。

参加者全員仲の良いメンバーだったこともあって、先輩とも打ち解けて、わいわいやれて楽しかったです。

 

村上

そこ大事。先輩の考え方を後輩が受け継ぐっていうのをやりたくて今回ゲームジャムに参加したんだけど、

今度は君らが次に入ってくる後輩のゼミ生に対してゲームゼミの「イズム」を継承していっていただかないとね。

 

菊竹

とにかくチームワークが大事なゼミなので、そこは同年代だけじゃなくて上下のつながりもキッチリ作っていかないとダメだなって思いますね。

 

村上

前期後半にホステルに置くためのアナログゲーム企画を進めたけど、菊竹のチームは全員黙々と作業をしていて、あまりディスカッションをしてる印象がなかったね。ワークフローも明確だったから、なんだか会社みたいだなって思いながら見てたけど。

 

菊竹

もう早い段階で仕様が固まってたんで、あとは時間までに完成させようってなって、ただひたすらデータを作り込んでました。

 

村上

プロジェクトではないけど、ゲームの通常授業の中だと体育館を使って「鬼ごっこ」もやったよね。

 

 

02

↑体育館を使ったゲーム授業の風景。

鬼ごっこの新しいルールを考えてはその場で試し、ゲームがゲームになる瞬間を体感しました。

 

 

菊竹

あの時は暑くて大変でした…。鬼ごっこだけであれだけ種類があって、その場ですぐに考えられて、実行できるって。体だけを使うっていうのがすごくいいなって思いますね。

 

村上

お金もかからないし、デバッグも即座にできるし、結果がすぐ出るし、体を動かすと勝手に場も盛り上がるし。

まあ、盛り上がらない鬼ごっこって見たことないけどね。

 

菊竹

プロジェクトとかデジタルゲームとかアナログゲームとか、あと鬼ごっことか…。ゲームの授業やゼミって、色々あって盛沢山なんですけど、でも「あれもできます、これもできます」だと、限られた時間で全てを学ぼうと思うと時間が足りなくなって、少しずつ触れていくだけになっちゃうのが勿体ないんですよね。

 

村上

かといって、色んな種類のゲームの専門家をたくさん呼んできて、授業数を増やして教室も増やして…てなったところで、どうなんだろう?結局幅を広げて色んな領域をつまみ食いしたけど、最終的な将来の夢を消去法で決めていくことになったりしないだろうかっていう心配はあるね。「鬼ごっこの授業が楽しかった」って言って、だからといって鬼ごっこのプロを目指すためにやったわけじゃないよね、て判断になってしまう。

目先の就職の事を意識するのは大事なんだけど、それ以前にこれらの授業で培ってきたものを社会のどんな側面に活用するかっていう考え方にしてほしいわけ。

 

菊竹

それは全部活用できますよね。直接ゲームとは関係ない、先生との世間話とかでも、活用できそうなネタもたくさんいただけてるし。

一年生のときのゲーム授業で、「感情を動かされたできごとを元にゲームの企画を考える」っていう課題があったじゃないですか。それと同じように、その場その場の思い出を面白い企画に変換する力っていうのもゲーム業界以外でも応用できると思いますね。鬼ごっこの企画を考えたのもじゅうぶん役立つと思いますし。

鬼ごっこの企画を考えてるときに、先生が「実際に体を動かしながら考えたら」って言ってくれたんですよ。話だけだと全然進まなくて皆で「うーん、どうしよう」ってなってたんですけど、動きながら考えたらすぐにアイデアが固まったんで、これ大事だなって思いましたね。

 

村上

鬼ごっこのいいところは、さっき菊竹が言ってたようにすぐに考えてすぐに実行できるっていう点。即時フィードバックがあって、「さあ次!」てなるから、小さい創作のサイクルを一瞬で体感できるし、この小さいサイクルは段々大きくなっていって、大きな学びになる。学びになると自信につながる。これってどんな仕事にでも応用できるよね。鬼ごっこである必要はまったくない。「とりあえずやってみよう」の精神と喜びのサイクルを理解する事こそどんなところでも応用できるよね。

 

 

Part2に続く

 

 

  • LINEで送る

2019年10月23日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズ Vol.13 岩本穂ノ実と「ゲーミフィケーション」について語るの巻 Part 2

11111111111 

 

 

村上

長い長い前置きを経てようやくここから本題ね。学内の問題をゲーミフィケーションで解決しましょうってやつ。

「ゲーム制作応用」の授業の中でゲーミフィケーションを学んでいて、学内の問題解決とか、つまらない授業を面白くする方法を学生が考えて、実験・検証をして、実際に役立ててみようという課題ね。

 

岩本

私たちのチームは、出席カードのフォーマットを大幅に変えて、出席カードを使ってレイドバトルをしてみようっていう企画をやりました。

出席カードをぱっと見て、単純に書く気が起きないんです。なんというか、書かされてるような義務感を強く抱いてしまって。

 

村上

書く主旨としては、本来であればその授業の振り返りであったり次の授業に向けての質問があれば書くというものだったんだけどね。

 

岩本

枠の中に罫線しか書かれてなくて、しかもそこそこ量が多いんですよ。これを全部書いて埋めようと思ったら、書くことが決まっていても5分以上かかりますね。あとは実習系の授業のときなんて何も書くことがないので無理矢理言葉を絞り出すのが結構大変で。

 

村上

でも、例えば実習であれば「今日はこういう作業をしたけどここで失敗した。つまりここに問題があったということなので来週はこうやって対処したい」とか、書きようはあるはず。そんなことが書かれていると「あ、この人はちゃんと学んでるな」て評価できるわけ。

 

岩本

でも義務感が強すぎることと、課題の成果物の方が点数が高く見られるだろうと考えると、どうしても出席カードの存在は気持ち的にも後回しになってしまいますよね。

 

村上

確かにね。ではそれが大前提としてあって、それをどう解決しようとした?

 

岩本

まずは各項目を明確に分けて書きやすくしました。「はっけん」と「はてな」ですね。

その授業の中で自分が気付いたことと、それによって生じた疑問とか、先生に対する質問などですね。これを大きく二つの欄にまとめました。あとは所属の欄を消しましたね。キャラクタ―デザイン学科なのは分かり切ってるので、数秒とはいえわざわざその文字を書く時間が無駄だと思って。

あとは、ゲーム関係の人はドットのフォントが好きそうなのでドットにしました。見ただけでゲームであることが分かるようにしたかったんですね。やっぱりドラクエのインターフェースがゲーム画面として印象的だったので、それをイメージしました。

 

 

 

22222222222

ゲーム領域の授業のみで実験的に使用している出席カードのフォーマット

 

 

岩本

で、見た目はそんな感じなんですけど、そこにレイドバトルの仕組みを入れてます。

レイドバトルっていうのは、みんなで協力して一人の敵を倒す仕組みのことなんですけど、この出席カードの場合であれば敵は先生となって、一行書くごとに10ポイントのダメージを与える形になります。10行あるので、全部埋めれば100ポイントのダメージを先生に与えることができますよ、という意味です。授業ごとに目標となるダメージ値が決まってて、受講生全体のポイント数がその数値を越えていればその週は学生の勝ちで、越えなければ先生の勝ちとなります。例えば「ゲーム制作基礎」では先生のHP3000という設定なので、受講生全員で合計300行以上を書けば学生の勝ちということです。

 

村上

ちなみに今は「はっけん」と「はてな」は5:5の割り合いになってるけど、授業も後半になってくると「はっけん」の比率が多くなってきて「はてな」が減ってくるんじゃないかな。もしかしたら6:4の割り合いでも成立するような気もする。

 

岩本

うーん、そうですねぇ…。

 

村上

でも、「はてな」といっても質問とは限らなくて、自己完結したり自問自答するような内容も含まれると思うので、そう考えると今のボリューム感でもいいのかな。

 

岩本

ただ「はてな」も無理やり捻り出す必要もないので、先生の言う通り6:4でも良いのかなと思いますね。

 

村上

普段授業では1年生には「はてな」を多く作ることが重要だって言ってる。疑問がなくなったらクリエーターとしてはダメなので、無理やり捻り出すよりも自然に「はてな」が生まれてきて然るべきかなとも思うわけ。

ちなみに1年生の授業だと、23回目くらいまでは割とシリアスな質問が多いね。授業の内容に関わる質問とか、技術的な質問とか。これに対して一度「ネットで調べれば済むようなことは自分で調べて下さい」と言ったんだけど、そしたら次の週からは「先生の好きなラーメン屋さんはどこですか」「好きなポケモンは何ですか」と来るわけよ。確かにネットで調べても出てこない(笑)

 

岩本

なるほど、構ってちゃんシステムになるわけですね。

 

村上

多分フィードバックがあるという喜びがモチベーションになって、何でもいいから質問を投げてきてる印象。そんな中でこの新しい出席カードを導入したことで変化があったね。

 

岩本

そうですね。一年生の出席カードを一通り読ませていただいて、まあ構ってちゃんの質問もあるにはあるんですけど、明らかに授業の本質に迫るガチの質問が増えましたね。

 

村上

そういう意味では、この実験はとても良かったと思う。

 

岩本

質問の量もかなり増えましたね。先生が毎週書いてくる「ゼミ通(学生の質問に対するフィードバックシートのこと)」だって、それまでは12ページだったのが、この仕組みを導入した次の週から45ページになってきましたよね。先生大変だなぁって思いましたけど(笑)やっぱり「書きたい」っていう意思が生まれてきたのかなと思います。

 

 

 44444444444 33333333333

 

授業ごとに毎週配布している「ゼミ通」。出席カードに書かれた様々な質問に対する解答を記述。

当初は12ページだったものが、岩本方式の出席カードを取り入れた次の週から45ページに増えた。

 

 

村上

ゲーミフィケーションって、本音と建前が混在していて、運営側が誘導したいことと、ユーザーが突き動かされるポイントが違ってたりするんだよね。今回の企画でいうと、運営側としては「授業の参加意識を高めてほしい」で、学生は「レイドバトルを楽しみながらフィードバックをいただきたい」。なんだけど、レイドバトルとかフィードバックとか言いながらその結果として授業にしっかりのめり込んでる証拠なので、両者WinWin

 

岩本

何か書こうと思ったらちゃんと授業を聞いてないとダメですしね。

 

村上

座学と合評の日は物凄く質問が多くて実習の日は少ないんだけど、これは授業の特性上仕方ないかな。

今って先生のHP3000と決めて、毎週毎週倒せるかどうかのフィードバックがあるよね。「ゲーム制作基礎」は受講者数が45名で、全員が全行書いたら4500ポイント。その中でも半分しか書かない人もいるだろうから3000ポイントくらいの設定にしとこうか、てなったよね。三週に一回倒せるくらいがモチベーション維持にはちょうどいいという仮説をもとにバランスを調整して、毎回毎回「今週は倒せたかな?」っていう楽しみを作ろうとしてるよね。

 

岩本

そこは概ね狙い通りのバランスが実現したと思います。

 

村上

そこでちょっと思ったんだけど、例えば15回分の授業全体を通して、45000ポイントと設定しておいて、毎週少しずつ削っていって最終授業日に先生を倒せていたかどうかのジャッジを確認するというのもまた面白いんじゃいないかな。でもその場合は「数値」じゃなくて「ゲージ」にしないといけないだろうね。体力が削られていく様子が可視化されてると没入感も高まるだろうし。

 

岩本

ただその場合、途中で結果が分かるというか、もし序盤のポイント数が少なかったら、ある段階でもう全員が全行埋めたところで絶対に勝てないって分かっちゃうんですよね。そうなるとモチベーションが維持できないかと。

 

村上

ゼミ通ヒーローズのインタビュー記事を収録してるつもりが段々我々だけでガチのやりとりになってきたな(笑)

 

岩本

そういう風に夢中になれるのって大事ですよね。

 

村上

まあとにかく、これはゲーミフィケーションとしてとてもよく出来た企画だと思うよ。

 

岩本

え、そうですか?じゃあ成績上がるかな。やったぁ。

 

村上

そうやって目先の数字で一喜一憂する癖は直した方がいいな。

 

岩本

むー(苦笑)

でも、問題を発見するプロセスを理解できるようになったという意味ではこの授業を履修して良かったなって思います。

 

村上

アクティブラーニングって、「問題解決力」っていうよね。でも個人的には解決する力の前に「問題発見力」の方が大切なんじゃないかって思うわけ。周りを見渡して観察して、疑問や不満に思うことがあればその本質を見極めて解決策を考える。そういう力の方が大事なんじゃないかなって思うね。そこを面白いと思ってくれてるならこの授業はやって良かったよ。

というわけで、かなり長くなってしまいましたが、これからも頑張って面白いことを考えていきましょう。

 

岩本

ありがとうございました。

 

  • LINEで送る

2019年10月20日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズVol.13 岩本穂ノ実と「ゲーミフィケーション」について語るの巻 Part 1

11111111111  

 

今回のゼミ通ヒーローズは、村上ゼミ2年生の岩本穂ノ実さん(大阪市立工芸高等学校出身)をピックアップします。

 

 

村上

ゲームの領域を希望したのはどうして?

 

岩本

高校の卒業制作でゲームを作ったんですけど、その反応が良かったので。あと、門瀬先輩(門瀬菫/ゲームゼミ4年生)が「私は毎週企画を考えて村上先生に見てもらったよ」て言ってたので、じゃあ私も見てもらおうかなって思って。

 

村上

岩本は毎週ゲームの企画を考えて簡易の企画書を持ってきたもんね。なんか凄く熱心な学生が入って来たな、っていう印象だった。どれも遊びのコンセプトをしっかり言語化した企画案になってたし。コンセプトをまとめるのはプロも苦労するんだけど、逆に言うとそこさえ固まってしまえばあとは装飾の問題だけなんでね。そんな一番大事なところを週に一回考えて持ってくる姿勢が素晴らしい。

 

岩本

前期一杯は週に一本企画を考えてましたけど、でも後期に入ると二週間に一本くらいのペースになってましたね。

 

村上

それでも二週間に一本は凄いな。ネタは何本くらい溜まった?

 

岩本

ネタ自体はたくさんありましたね。でも去年の台風のときに全部消えました(笑)

 

村上

あの被害の大きかった台風21号ね。

 

岩本

私の部屋は三階なんですけど、向かいの家の一階にある物置が飛んできて私の部屋を直撃して、机の上に置いてあった全ての企画書が雨風と共に全部消滅しました(笑)

そこから、企画書は手書きじゃなくてデジタルデータで保存しなきゃって思いましたね。

 

村上

三階に直撃って凄いな。

 

22222222222

村上 つまり、こう…で、

 

 

3333333333

村上 こう…てこと?

 

岩本

はい、そうです。今となってはもう、これですらネタですけどね(笑)

 

村上

…壮絶やな。でも思考のプロセスはもう理解できただろうし、題材が変わろうと何だろうとナンボでも企画を立てられるようになったよね。

 

岩本

はい、できますね。

 

村上

最初の一年で経験値も溜まって企画レベルも上がって、結果的には良かったね。消滅した当時はかなり荒れてたけど…。

 

岩本

そりゃ、なんでやねーん!てなりますよ。物置は空を飛ぶものじゃないですもん。

 

村上

いっそのこと、これをネタにして風を使ったギミックとか考えられないかな。例えばコントローラを握って、LRのスティックを回転させてつむじ風を起こして、LRボタンで強度を調整したり。

 

岩本

風を起こすでもいいし、風を利用して主人公を動かすって形でもいけそうですね。

 

村上

キャラクターやストーリーよりも、岩本の場合そういうインターフェースの面白さだけで勝負するような企画を考えるのが得意だもんね。昔からそういうゲームが好きなの?

 

岩本

いや、別に…。私はそんなにゲームが好きじゃないんで(笑)

特にこれが好きっていうのはなくて、自分の作ったものに対して何かしら反応がくるのが楽しいから作ってるって感じですね。

 

村上

表現したいものは特にないってこと?

 

岩本

特にないです。その場その場で作りたい内容も変わるので。

 

村上

共通のテーマみたいなものはあるの?

 

岩本

共通のテーマは、大体私の不満からきてます。今回授業で考えた出席カードのゲーミフィケーション企画も、普段授業で使ってる出席カードが糞つまらないので、それを変えたくて考えたものだし。

 

村上

…ゼミ生は担当教員に似るっていうけども、「糞つまらない」とか。入学当時は素直ないい子だったのに、そんなところ似てしまって…。

 

岩本

そうです。先生のせいですよ。

 

村上

じゃあ、何か不満を抱えたときに、そこからどうするの?企画の方法として。

 

岩本

不満をLINEにメモしてるんですよ。一回書き出すことによって、自分が何に対してどう怒ってるのか、というのをより客観視できるんですね。で、それを解決するためにゲームの形にしたり。

 

村上

ゲームシステムに落とし込む前段階のプロセスはどんな感じ?

 

岩本

以前書いた企画で、カップルが二人で並んで座って、お互いに近づきたくなるゲームの企画があったじゃないですか。あれは私が電車に乗ってるときに、目の前でカップルがイチャついてて腹が立ったんですね。で、別れさせたかったんです(笑)

 

村上

な、なるほど(笑)で?

4444444444444

 

岩本

ゲームをクリアできなかった時に、二人の間でモヤモヤするというか、ちょっとしこりが残るようなゲームを作りたいなって思って。あの時は日本ゲーム大賞のお題にもなってた「☆」をテーマに企画を考えてみたんです。

「織姫と彦星」をモチーフにして、邪魔な星をスワイプで弾いたり、飛んでくるハートを弾いて隣に座ってる人のスマホの画面に飛ばすんですよ。送ったハートの数によってエンディングが変わるっていう内容でした。でも結果的にカップルを仲良くさせるゲームになっちゃいました。

 

村上

新人さんがゲームの企画書を作る時って大抵キャラクターやストーリーありきの企画を考えるんだけど、岩本の場合はこういう感じでコンセプトありきで考えることに慣れてるよね。

 

岩本

そうですね。キャラクターから入るってことはこれまでなかったですね。ゲームはやっぱりルールと仕組みの面白さが大事だと思ってるんで。今回の企画でも、最初は織姫と彦星って設定にしたら何かがうまくいかなかったんですよ。それよりも、吊り橋効果というか、二人で協力することで絆が深まるような「体験をデザイン」してみようって思ったんですね。

 

村上

なるほどね。そんなコテコテのゲームデザインを学んで、そして今は授業でそれを別の方向に活かしてみようとしてるけども、ここから本題の方に移ろうかな。今回はゲーミフィケーションね。

 

岩本

世の中の問題点に着目して、ゲームの仕組みを利用して解決しようってやつですね。人に命令とか強制をするんじゃなくて、自分から動きたくなるように仕向けるっていうか。

 

村上

その通り。で、ゲーミフィケーションという言葉は授業を受けるまでに聞いたことはあった?

 

岩本

いや、初めて聞いた言葉だったんですけど、授業で聞いた時は最初「ゲー」ってついてるからゲームに関係する何かなのかなと思いました。

 

村上

「ゲーミフィケーション」は「ゲーム化する」の意味ね。2008年以降海外で浸透してきた考え方なんだけど、実は日本ではまだあまり認知されていない。デザインと名の付く仕事をしてる人が感覚的に理解してるくらいかな。

とはいえゲーミフィケーションなんて言葉を使わなくても、単純なところでいうと「ポイントカード」なんかが分かりやすいけど、既に生活の中に浸透してるといえば浸透してる。

 

岩本

男子トイレのハエのやつとかは有名ですよね。よく考えられてると思います。

 

村上

小便器の内側にハエの絵柄が焼き込まれてて、ついそこを目指して用を足したくなる。すると尿が飛び散らなくなるのでトイレが清潔になるっていうゲーミフィケーションね。

そんな基礎知識を得た上で、今回の課題としては「学内の問題を、ゲーミフィケーションを使って解決してみよう」って課題を出した。で、実際に企画に入る前に、「つまらない授業を面白くする方法とは」という話も出たね。

 

岩本

フィードバックのない授業はつまらない、とか。

 

村上

ゲームの7要素を当てはめて考えた時に、そのどれにも該当しない授業はつまらないから学生が寝ちゃう。やっぱりその中でもフィードバックって一番大きい要素かな。

 

ゲームの7要素

1:即時フィードバック

2:達成可能な目標設定

3:称賛演出

4:成長の可視化

5:自己表現

6:自己統制感の演出

7:PDCAサイクルの体得

 

岩本

そうですね。教員が一方的に説明するだけの授業は聞きたいと思わないですよね。それならわざわざ出席しなくたって、YouTubeでええやんってなりますし。あとはレジュメに書いてる内容を話すだけだったらそのレジュメを配布してくれればそれでいいし。

 

村上

パワポを使えば使うほど聞き手の心が離れていくって学生から聞いて、自分の授業内容を見直したことがあった。

 

岩本

それ、本当に人に見せるつもりで作ったパワポなの?て思う時ありますよね。文字がギッシリ詰まってたりして。学生たちは授業を聞かずに必死でスクリーンの写メ撮ってますよ。パワポに限らず、文字がいっぱい出てきた時点でやる気はそがれますよね。

 

村上

ゲームの授業でも、特に1年の序盤はパワポを使った座学が多かったけど、やっぱりキツかった?

 

岩本

はい、寝てました。ごめんなさーい(笑)

 

村上

ほほう。

 

岩本

部屋が暗いから寝てても気付かれないし、別にいいかなって思って。頬杖ついて、反対の手でペンを持って寝てると、暗がりで見たとき一生懸命授業を聞いてるように見えるんですよね(笑)

 

村上

なるほど、そうきたか。じゃあインタビューの主旨を変更して、「寝ないための授業デザイン」という内容で議論しようぜ。

 

岩本

最初の頃って、結構学生に語り掛けてくれてたり、その回答を膨らませて議論をさせてくれたり、そんなフィードバックがたくさんあったじゃないですか。その参加意識が授業の面白さだと思うんですけど、授業が進むとだんだん情報量が多くなってきて、話が一方的になっていくっていう(笑)内容的には仕方がないとは思うんですけどね…。

 

村上

要はプレゼンテーションがスピーチになってしまってるってことかな。ただ、この授業を立ち上げたのが8年前で、その頃は学生をいじりながらじっくりと進めてたんだけどね。受講生も10人くらいしかいなかった時代だから座談会感覚で授業ができていたんだけど。

 

岩本

人数が増えたら一人ひとりと話すことができなくなりますよね。

 

村上

ゲーム概論を語るときの情報量も年々増えていくんだよね。ゲームの世界って、世の中の動きに合わせて凄まじい速度で開拓されていくし、インターフェースに応じてゲームが進化してるので。しかも立ち上げ時からの8年分の蓄積だけでも物凄い量だから、年を追うごとにいつの間にか授業時間が圧迫して説明だけで終わる感じになってきてるんだね。かといって古い情報を切り捨てるわけにもいかなくて、端折りながらも説明していかなきゃいけないわけで。

 

岩本

それ、言い訳ですよね(笑)。

 

村上

いや…そうなんだけど…。何か解決する方法があればとは思うんだけどね。

 

岩本

結局学生に寝られたら意味ないんですけどね(笑)

 

村上

今日は随分辛口でくるな(笑)。だんだん悲しくなってきたけどもう少しだけ頑張るよ。

 

岩本

いやいや、私がゲームゼミに入ったのは村上先生がいたからなんですよ。

 

村上

散々ボロカスに言ったくせに(笑)

 

岩本

だって毎回企画書を持っていったらちゃんと読んでフィードバックくれるし。

 

村上

ゲーム業界にいたからフィードバックをちゃんとするのは慣れてるというか、それがあって当たり前の世界だったんでね。

 

Part2に続く

1 2 3 4 5 6 9

コース・分野を選択してください

BLOG

過去の記事

トップページへ戻る

COPYRIGHT © Kyoto University of the Arts

閉じる

ABOUT

京都芸術大学は、今アジアで最もエネルギーを持って動き続ける大学であるという自負があります。
通学部13学科23コース、通信教育部4学科14コース、大学院、認可保育園こども芸術大学。
世界に類を見ない3歳から93歳までが学ぶこの大学は、それぞれが溢れる才能を抱えた“プロダクション”のようなものです。

各“プロダクション”では日々何が起こっているのか。授業や取組みの様子、学生たちの作品集や人物紹介。
とどまることなく動き続ける京都芸術大学の“プロダクション”の数々。
そこに充満するエネルギーを日々このサイトで感じてください。