- 2026年5月9日
- イベント
あそびラボ、始動!
キャラデの村上です。新年度が始まり、各授業も慌ただしくなってきましたね。
今年からキャラクターデザイン学科では、これまでのゼミに代わって「ラボ」という名称で学びの内容を心機一転させることとなりました。
これまで村上ゼミ(通称ゲームゼミ)と呼ばれていた授業は「あそびラボ」となり、遊びそのものやゲーム、玩具、ゲーミフィケーション、シリアスゲームを用いて、各自の研究内容を深めていくことになります。
相変わらず「ゲームの作り方」を教えることはなく、これまで通り遊びの研究を中心として、「その遊びを実現するために最適な表現媒体は何か」を自ら導き出してもらうスタイルです。つまり名称が変わっただけで本質は何も変わりません。
で、前期のお題は「宇宙」!
なんでキャラクターデザイン学科なのに宇宙のことを話すのかって?
今の日本のコンテンツ産業の問題点として、「日本人だけにウケるもの」や「今売れるもの」を優先して作る傾向があります。しかしそれだけじゃいかんのですよ。そういうコンテンツは5年後には忘れ去られます。
既存のコンテンツを参考に新しいコンテンツを作るんじゃなくて、身の回りの普遍的なものをじっくり観察して、そこから生まれる疑問や謎をテーマとして深めて、それを別の創造世界へと変換するプロセスが大切なんです。
だから、今流行ってるものではなくミッキーマウスやマリオみたいな長く愛されるものをちゃんと作りましょうよ。ということで今の地球をしっかり見据えた上で、宇宙開拓や火星移住などのモチーフに置き換えて未来の遊びをデザインしていくのです。
宇宙で遊ぶゲームってどんなのだろう?
無重力空間で遊べるアナログゲームとは?
ISS(国際宇宙ステーション)での生活を豊かにするためのゲーミフィケーションって?
火星に移住した場合、そこではどんなスポーツが生まれるんだろう?
宇宙教育を考えるシリアスゲームってどんなの?
そんなことを考えて、視点を宇宙に移した時にどんなことが考えられるのか。
そして、宇宙から改めて地球を俯瞰したとき、自分たちの今の姿ってどんな風に映るんだろう。僕らは今どんな世界に住んでるんだろう?
あそびラボの第一弾企画は、そういうロマン満載でいい感じのテーマにしてみました。
前置きが長くなった…!
今回の授業は二部構成。前半と後半に分けて宇宙の有識者に登壇いただき、まずは宇宙を理解するところからスタート!
前半の授業は、JAXA宇宙科学研究所の副所長であり「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャーである津田雄一さんにご登壇いただきました。
エンジニアとしての知見をベースに宇宙の基礎知識をふんだんに交えながら、ミッション遂行の流れをとてもスリリングに解説していただきました。
はやぶさ2が目指す小惑星に「リュウグウ」と命名した途端に、無機的だった宇宙プロジェクトに物語性が生まれ、はやぶさ2は徐々に命を宿した生命体として独立していきました。JAXAの科学者たちの手で宇宙に導かれたはやぶさ2が正確に一つ一つのミッションをこなしていくその様子は、大勢の大人たちが子供の「はじめてのおつかい」を全力でサポートしているようでした。そこには日本的アニミズムが息づいているようにも見えます。
管制室から送った指令がはやぶさ2に届くのにかかる時間は片道20分。常に20分のタイムラグを計算して行動する必要があるわけですが、このときの津田さんの「光の遅さを感じる」という言葉がとても印象的でした。現場の最前線にいるからこそ出てくる言葉であり、地球だけを見ていたら絶対に出てこない言葉ですよね。
はやぶさ1のエピソードは映画にもなりましたが、「彼」が最後に残した写真の話を改めて聞き、その感動の展開に涙ぐむ学生もいました。(知らない人は映画を観て泣いてみよう)
そんな冒険物語と並行して、宇宙だからこそ起こり得る様々な事象についても触れていただき、学生たちにとっても新鮮な驚きが得られました。
そして授業の後半では、元JAXAの宇宙教育センター長で現在オーストラリアで宇宙教育を行うケイト・キタガワさんに登壇していただきました。
宇宙医療、宇宙法、地球防衛など様々な観点から宇宙科学についてお話をいただき、目から鱗の情報満載でした。
また、ここでDUAL USEという概念を学びました。これは、軍事用と民間用の両方での活用という意味でもあるんですが、転じて、地球のことだけ、宇宙のことだけを個別に考えるのではなく、両方の視点でものごとを見据え、どちらでも活用できるものの考え方ともいえます。普段何気なく使っている日用品も、宇宙空間だとどんな使い方になるのか、というように、常識を変えて見直すこともものづくりのうえで大事なことになるんですね。
国境を越えたプロジェクトを遂行するためには、世界をもっとよく知る必要があり、そして世界共通でできる普遍的なものが求められています。
宇宙だからといって未知のものを想像するのではなく、「地球を良くするために宇宙を知るのだ」というケイトさんの言葉が刺さりました。
地球にいて目の前だけを見ていては主観でしかものを見ることができなくなってしまいます。一度視点を宇宙へ飛ばし、そこから自分たちが住む世界を俯瞰してみる。そしてどんな世界でどんな生き方をして、これから未来をどう作るのかを考えてみよう、というのが授業の主旨となっています。
最先端技術の現場で大勢の科学者を束ねるケイトさんの力強い言葉に憧れ、「ケイトさん、カッコいい…!」と声を漏らす学生もいました。
今回は視点を変えて自分たちのことを見つめなおす時間となりました。この考え方を活かして、これまでにない全く新しい作品が生まれたらいいなぁ。



