ランドスケープデザインコース 松澤 均
ランドスケープの思考を用いた防災・減災対策
地球規模の気象変化により頻発し激甚化する自然災害、我が国では永らくCO2を大量に排出するコンクリートに頼った防災対策が行われてきた。
災害との戦いは日本の建国時から繰り返し続き、先人たちは限られた資材と人力を駆使し洪水と戦ってきた。
コストや利便性を追求した故に忘れ去られた日本古来の治水工法、自然と共に生き災害を受容し洪水を生活の一部と捉えた考え方、洪水で運ばれる肥沃な土壌を良田として活用するなど、「洪水をいなす」考えは非常に高いポテンシャルを秘めている。
土や石などの自然素材を使い災害と共存し生きる考え方は、現在においては遊休農地や荒廃地を再活用し、洪水時にては新たに創られた氾濫域により遊水効果を発揮する。
平時では、創られた水辺にアシ・ヨシ・カバ等の自生を促すことで水質も浄化され、水生植物が育ち水中生物が生まれ、魚類を含めた水生動物に餌や繁殖する場所を提供することとなり、カモなど野鳥が餌を求めて飛来し繁殖するなど豊かな生態系と好ましい水辺の景観を創出する。
自然環境が有する多様な機能が創造されることで、野鳥観察や釣り人、自然に安らぎを求める人々が集う場所と化す、その自然環境を維持しようとする人々の集団が出来上がり、未来につなげるために環境学習を通し啓蒙し次世代に繋ぐ活動も発生する。
有事に防災機能を発揮しても平時に活用されることのない防災施設、使う当てのない遊休農地に土を盛り築堤し水辺を造ることで、かつてそこに存在した自然本来の姿を取り戻す。
今の時代この時代であるからこそ、社会資本整備や土地利用へ一石を投じる術として
また持続可能で魅力ある河川空間を創る術として、日本古来の治水工法を現在に提案してみた。
松澤 均
ランドスケープデザインコース
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