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ペットとの共生 防災と日常利用を両立させた河川空間計画

ランドスケープデザインコース 西口 芳里

計画対象:約14,000㎡(武庫川左岸高水敷)/石張・石積ベンチ、ウッドデッキ、防災パーゴラ等
日常は憩いの場、非常時は人とペットが共に避難できる河川空間を提案。

本作品は、「ペットとの共生―防災と日常利用を両立させた河川空間計画」をテーマとする卒業制作です 。

計画地は兵庫県尼崎市、阪神武庫川駅の武庫川左岸高水敷です。日常的に犬の散歩や地域住民の憩いの場として利用されている一方で、園路や休憩施設が十分に整備されておらず、「使えるけれど使いこなされていない」空間となっていました。また、周辺には指定避難場所が少なく、災害時にペットと共に避難できる環境も十分とはいえません。

本計画は、こうした日常の風景と災害への不安の双方から着想しています。私自身が阪神・淡路大震災を経験し、現在は愛犬と暮らしているという個人的背景から、「日常の延長線上にある防災」のあり方を問い直しました。

提案の核は、「ノーリードエリア」と「ペット同伴型指定避難施設」を組み合わせた河川空間の再編です。平常時には、緩やかなカーブを描く動線や視線が交差しにくいファニチャー、植栽と一体化したベンチにより、人と犬が安心して過ごせる憩いの場を創出します。木陰のウッドデッキや石張のベンチは、河川景観に溶け込みながら居場所を生み出します。

一方、災害時には空間を転用し、ノーリードエリアをテントサイトとして活用。新設するペット同伴型指定避難施設と連携し、人とペットを受け入れる拠点へと切り替わります。かまどベンチや防災パーゴラを備え、支援物資の配布や炊き出しにも対応可能です。また、サブスクリプション制度を導入し、平時から備蓄や防災教育を行うことで、持続可能な運営体制を構築します。

本作品は、河川空間を「日常の憩い」と「非常時の安心」を両立する場として再定義する試みです。人とペットが共に生きるこれからの都市において、身近な風景の中に防災を織り込む新たな公共空間の可能性を提案しています。

西口 芳里

ランドスケープデザインコース

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