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空間演出デザインコース 岡崎 るつ記

山口県下関市豊北町 築100年超の我が家の長屋(納屋)


空き家予備軍の挑戦と提案 
−空き家予備軍の空間を整え、新たな利活用について考える−



昨年5月、生まれ育った山口県下関市にUターンした。そこで目の当たりにしたのが、地域の「空き家問題」だった。特に父の出身地であり我が家がある豊北町(旧豊浦郡豊北町)では、隣近所に空き家が何軒もある状況は珍しくない。事実、全国的に空き家率が上昇するなか、山口県の空き家率は全国8位で中国地方ではトップ、さらに、下関市は県の空き家率を上回るという。空き家問題は待ったなしの現実の問題だ。

さて、空き家問題について知っていくなかで、「空き家予備軍」というキーワードに出合うことになる。このままいくといずれ空き家になるであろう家のことだ。このキーワードに出合ったことで、我が家も空き家予備軍といえるのではないかという気づきに至った。施設に入所していて今年101歳になる祖母が99歳まで住んだ家を、現在は両親が管理している。その両親も高齢だ。私自身も、再び地元を離れる可能性がないとは言い切れない。代々この地域にあり、守られてきた家が空き家になる可能性を思った時、決して小さくはない衝撃を受けた。我が家について、将来的にどうするのだろうということを考えてはいたけれど、「いつか」と先延ばしにしてはいけないのかもしれない。

空き家になってしまうその時をただ待つのではなく、今できることをして我が家を活かす道を探ることはできないだろうか。そして、それを地域の人たちとも共有しながら地域の空き家問題への応答のひとつとすることはできないだろうか。卒業制作で取り組むのは、限定的な空間のリノベーションという小さな一歩だけれど、我が家とこの地域に待っているであろう将来のシナリオを書き換えていく歩みを始めていけたらと思う。

長屋(納屋)は、我が家で最も古い建物だ。だれかが立ち寄った際、長屋の前で立ち話をしたりして行くことも少なくない。我が家の玄関口ともいえるこの空間を、リノベーションの第一歩として取り上げることにした。

卒業制作でのとりくみは、我が家を活かす道を探る最初の一歩に過ぎない。これから何年もかけて、あるいは我が家があるかぎり、このテーマを追究していくことになる。また、引き続き自分ごととして、地域の空き家問題に向き合う姿勢を持ち続けていきたい。

岡崎 るつ記

空間演出デザインコース

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