歴史遺産コース 竹本 俊夫
作者不明、伝来も未詳の《輪舞図屏風(大和文華館蔵)》(以下、本図)を知る人は少ないだろう。
にもかかわらず本図は橋本治氏の『ひらがな日本美術史』に登場する。
橋本氏は本図について
「一目瞭然の奇ッ怪さである。
要は、道の真ん中で、人間達が手をつないで輪になって踊っているところを描いた金屏風である。
(中略)いたって日常的な光景である。
だがしかし、それをこんな風に描く人間はまずいなかろうというのである。」
と紹介し、「どうしてこんなにへんなのに〝普通〟なのか」と問い、
本図の「あまりにも当然な顔をした〝異常さ〟」に、「画面を破綻させない」という信条を守り、
「尋常じゃない構図」に挑む画家を生んだ安土桃山から
江戸初期の日本人のセンスの良さを述懐する。
一方、「一体、この画家はなにを考えていたんだろうか」の問いには、
「彼が〝へんなこと〟を考えていたことだけは間違いがない」と述べるだけ。
「輪になる造形は輪舞だろうか?」が論点となる本稿は、
奇しくも橋本氏が問う「画家が考えた〝へんなこと〟」を、
本図に関わる先行研究や文献を手掛かりに、
自分では予想もしなかった新しい視点に導かれ解釈する筆者なりの「読み解き」となった。
《輪舞図屏風( 大和文華館蔵)》の構造を読み解く
大阪府
竹本 俊夫
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