本文へ移動

空間演出デザインコース 八木 裕子

花祭  ―伝統の神事芸能を応援―

地縁血縁もない一人の来訪者として、6つの地区の方々へのヒヤリングから始めました。第1に人手不足、第2に資金不足が共通の悩みで、祭りの準備期間や開催時間の短縮化・簡素化とや、祭りを担う対象者の間口を広げる形で何とか遣り繰りをしているとのことでした。

花祭りが行われている北設楽郡の14地区は、東栄町10地区、豊根村3地区、設楽町1地区で3つの自治体に分散しており、“花祭り部”という若者がつながる地区を越えた活動が始まってはいるものの、正式に全地区が協力し合う体制にはありません。花祭りは地区ごとで完結して行うものであり、各地区が独自の様式に誇りを持って行っているので、干渉することを慎むのが儀礼のようです。

この卒制をきっかけに現地の観光協会の仕事をお手伝いしていますが、移住者は求めてはいるものの、何にでも商取引がある都会のような価値観ではないので観光客の誘致にはそれほど意欲的ではありません。花祭りのシンボルである鬼を、町のシンボルとする提案をさせていただきましたが、その案は受け入れられませんでした。祭りは神聖なものだから商業利用はもとより、町の活性化の手段とすることに対する抵抗感を持つ人もいるからでしょう。観光協会で町の魅力は何か。何をどうアピールして行くかについて、これから時間をかけて話し合いを深めて行く必要があると思っています。花祭りがどれだけ唯一無二な貴重な存在でどれだけ魅力的なものなのか、なぜ遺して行かなければならないのか、地区や個々人によって温度差がある中、もっと学んで良い方向性を模索して提案して行けたらと思っています。

こうして祭りを穢さず地域の人々の心を尊重する花祭りを伝える策として、HANAMATSURIというブランドを企画しました。HANAMATSURIは花祭りをテーマに、地元の木材など自然素材を使用したプロダクトを制作します。現在コロナ禍においての感染予防、また高ストレス社会において心身を整えるために精油をはじめとした森林資源の利用が活発です。樹木は土地の記憶そのものでもありますので、伝統と地元の樹木を掛け合わせて利用することは意義深いことだと思います。

伝統は元々は伝燈という字を使ったそうです。伝統は灯火が消えないように、自分で油を足しながら消えないように守っていくものであるもの。灯火に油を足す一人であり続けたいと、この卒業制作をスタートとしました。


はじめに

花祭りの現状

ブランド“花祭”を提案

プロダクトのラインナップ

プロダクトの4つのカテゴリー

土地の精油を、切り草や花祭りカラーで楽しむ

花祭りの主役は鬼です

まさかりミラーやスカーフは縁起物です

独特な花祭りや北設楽の清浄なムードを形に

ビューティーツーリズムの町、東栄町産の素材を使用したコスメです

八木 裕子

空間演出デザインコース

このコースのその他作品