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花子の純心

世阿弥作 ~謡曲 「班女」より~

書画コース 小笠原 弓子

六尺サイズ 画仙紙

謡曲 班女は、遊女花子と東下りの男、吉田少将との恋を描いたものである。扇を取り交わし再会を誓い合ったが、吉田少将は一向に戻ってこない。扇をよすがとして男を待ち続ける花子を、人は中国の故事(皇帝に寵愛を受けていたが、その後捨てられた班倢伃)に例え、班女というあだ名をつけて呼ぶようになった。ちなみに班倢伃は、夏が過ぎると秋には捨てられてしまう扇をわが身に例えた詩を作ったとされている。

画題は、少しも変わらぬ心で男を待ち続ける花子が、男からの扇をそっと懐から取り出して、明るい月を眺めているところを描いた。右端の「月を隠して~」の言葉は曲中の花子の詞より抜粋したものである。花子の持つ扇に描かれている「月」は愛しい男そのものであるので、常は扇を閉じて胸に仕舞っている、ということであろう。この花子を包んでいるのが男の方が持つ扇であるとして、形を扇面とした。
終盤に下鴨神社で再会することになるので、その直前の一場面を描いた。

小笠原 弓子

書画コース

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