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空と私の心と

イラストレーションコース 堀辺彩菜

この作品は、「幼いころ、空を見て自由に想像したあの純粋さを、もう一度思い出してほしい」という想いをコンセプトに制作したデジタルイラスト作品です。
子どもの頃、空を見上げて雲の形に意味を見出したり、そこに生き物や物語を想像したりした経験は、多くの人に共通する記憶ではないでしょうか。空は特別な場所へ行かなくても、誰もが平等に見上げることのできる存在であり、その時の気分や心の状態によって、まったく違う印象を与えてくれます。本作品では、そうした空の持つ普遍性と想像の余地に着目し、成長とともに薄れてしまった感覚を呼び起こすことを目的としています。
テーマには「空」「時間」「感情」を据え、朝・昼・夕・夜という一日の移ろいを軸に、全24点の作品として構成しました。空は時間帯や天候、光の加減によって色や表情を変え、その変化は人の感情の移り変わりと重なる部分が多いと感じています。そこで本制作では、空の色彩や雲の形、光の表現を通して、その瞬間に感じた心の状態を視覚的に表現することを試みました。
作品全体は、大きく三つの段階に分けて構成しています。一つ目は、日常の中で実際に目にすることのありそうな、現実的な空です。何気なく見上げた空に、その日の気分や感情が静かに映り込む瞬間を描いています。二つ目は、雲を別のものに見立てたり、空に物語を重ねたりした、誰もが一度は想像したことのある空です。幼いころの遊び心や自由な発想を、現実と地続きの風景として表現することで、過去の記憶と現在をつなげています。三つ目は、実際には見たことがないものの、見てみたいと感じる空です。想像力の先に広がる少し不思議でやさしい世界を描くことで、鑑賞者自身の願いや憧れを重ねられる余白を意識しました。
また、本作品では時間の区切りを均等にせず、印象に残った瞬間や感情が強く動いた時間帯を重点的に描いています。これにより、客観的な時間の流れではなく、主観的な「心の時間」を表現する構成としました。
本作品のターゲットは、小さな子どもから社会に疲れた大人、そして過去を懐かしむ高齢の方まで、すべての世代です。鑑賞者が空を通して自身の記憶や感情を重ね、自由に想像を広げることで、少し立ち止まり、心を休めるきっかけとなることを目指しています。

堀辺彩菜

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