連作「海賊」
海のハコニワ
イラストレーションコース 林七海
本作はキャラクターデザインとコンセプトアートを軸に構成された連作です。
AIの飛躍的な発展によってAIがイラストを生成するようになり、またAIが生成するイラストは日々進化し、以前よりも人が描いたものかAIが生成したものか判別がつきにくくなっているように思います。このような現状に危機感を覚え、AIが提供できないものを発信したいという思いから、「AIとの差別化・デフォルメによる独自の世界観の表現」をテーマに制作を開始しました。AIイラストはその技術や量産性において大きな発展を見せる一方で、人間が持ちうる記憶の美化や誇張といった特性、また個人の経験や趣味嗜好を作品に反映させることは難しいのではないかと考えました。そこで本制作ではその点に着目し、人間にしかできない表現を追求しています。
人間らしい表現について
本作品における人間らしさとは、過去の記憶や体験を主観的に解釈し、美化・誇張して表現することと定義しました。私は本制作において自分が好きなもの、つまり海と動物を中心にモチーフや世界観を構築しました。私の記憶の中にある海は、透き通った水と踏むとシャクっと音のなる茶色い砂浜、いくつかの白い貝殻、そして波の音で構成されています。しかしイラストを描く上で海の参考資料を集めても、記憶の中にあるような美しさや魅力を感じるものはありません。実際に何度も海に足を運んだこともあるし、今回のように海の写真を見たこともあるはずですが、海が好きという感情によって実際に見たはずの海を美化して記憶していました。このように人間は経験したことを写真のようにそのまま記録するのではなく、感情や価値判断を通してゆがめ、意味づけをおこないながら記憶しており、この不正確さこそ人間らしい表現ではないかと考えました。そのため本作品では、写実性よりも誇張や省略を取り入れやすいデフォルメを採用し、またキャラクターの性格をモチーフとなった動物の印象で決めるなど、自分の中にある先入観や印象を作品に取り入れています。
林七海
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