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米芾から導かれる気脈と余白美

書画コース 寺尾紀子

米芾の書に影響を与えた東晋時代の書家王献之「授衣帖」より(サイズ)53×214 (筆)長鋒兼毫筆
承比極勝 但承此区問 當復大頓耳 比日憂馳無復意 不審尊體云何 脚及耳痛氣 得此哀號如何

 王羲之の息子であり、米芾の書に影響を及ぼした王献之の「授衣帖」より書いた。
 米芾独自の書風である自由奔放なリズム感と気脈をもって、潤渇の中にも弾力的な力強い流れある表現を意識した。加えて余白を考えながら、細い線には筆先でリズム感を出し墨量を含んだ線には重量感を持たせ筆圧をかけた運筆にした。
 これまで書を学んで連綿から放たれる線の流れ、方向性や形等を重視し見てきたが、今はそれよりも余白をどう捉えるか、書くか(実際は書かないが)に意識した。
 以前「余白の美」を学んだ際、生け花を生ける時に「花を見て生けるのではなく、生ける空間(余白)を見て生けるのだ」とあった。それは書も同様だと思われる。文字そのものよりも、まず余白を感じる。余白は文字の配置や形、線の太さによって大きく変わる。響きあう余白は、本来は目には見えないそれが浮かび上がり文字と共に共鳴しあって、心に美を感じさせてくれるのではないだろうか。

李白の秋思より「燕支黄葉落 妾望自登台 海上碧雲断 単于秋色来」(サイズ)70×135 戦地に行った夫を待つ哀しくも辛い妻の強い心情を書いた。
悟りの境地を漢詩にした大智偈頌の、「当たり前の日常こそが幸せなのだ」という言葉「運水搬柴」(サイズ)128×35 世界で今も尚戦争が起きている今日、こうして書を学べる幸せを痛感している。

寺尾紀子

書画コース

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