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【香水ブランド制作】 FEEL・ 感じるデザイン 

情報は、ただ読むだけのものではなく、感じ取るものでもある。 視覚や文字に偏りがちな社会だからこそ、触感や音、そして 空気ごと受け取れる手がかりを重ね、誰にでも自然に届く【感じるデザイン】を目指す。

グラフィックデザインコース 井上 典子

香水ブランド【FEEL】。硬質塩化ビニール製ボックスにボトルを収納。インサートはマットコート135紙。ポスターはA2サイズ。専用マットボード厚5mm。ガラス瓶にはレジンで点字ロゴ。

現代の情報社会では、視覚や文字を通じて理解することが当たり前とされている。しかし、すべての人が同じ速度、同じ方法で情報を受け取れるわけではない。

見えにくさ、読みづらさ、あるいは理屈より感覚で世界を捉える人もいる。さらに海外では、言葉の壁によって情報から取り残される瞬間がある。私は「読める/ 読めない」「見える/ 見えない」に加えて、「わかる/ わからない」という線引きさえも、できる限り薄くしたデザインを作りたい。情報の受け取り方や言語の違いが、人を分けてしまう境界線にならないように、差別や線引きのない世界へつながるデザインを目指した。

香りは、目に見えず、言葉にする前に身体に届く感覚である。だからこそ香水は、「読むデザイン」から「感じるデザイン」へと視点を移すためのメディアだと考えた。

本作品では、香りそのものだけでなく、手に取ったときの点字の触感と美しさ、素材の質感、そこに生まれる間や気配までを含め、一つの体験として感じられるよう設計した。情報を説明で補うのではなく、空気ごと受け取れる手がかりを重ねることで、言語や視覚に依存しすぎない「届き方」を追求した。

ブランド名「FEEL」には、心で感じるメッセージを込めた。情報を多く語らずとも、記憶や感情が自然に立ち上がる。視覚や文字に頼らず、感覚をひらくことで、情報はよりやさしく、深く、人に届くと考えている。

本作品は、視覚障害者への配慮や言語の違いへの気づきを出発点としながらも、特定の誰かのためだけにというターゲットに閉じたデザインではない。

感覚を重ね、空気ごと受け取れる体験は、結果としてすべての人にとって心地よく、記憶に残るものになるのではないか。

情報を押しつけるのではなく、静かにそっと寄り添い、自然に届くこと。その積み重ねが、境界線を薄め、差別のない世界へつながっていくと思う。

その可能性を、香水というプロダクトを通して伝えることが本作品のコンセプトである。

風は見えない。けれど、確かに触れられる。通り過ぎる気配を手のひらに残すパッケージ。

そっと想いをつなぐ風。見えない気配を空気ごと受け取る体験へ。

森は、黙って語りかける。木々の気配と湿った空気を、そっと閉じ込めた。

深く息づく、ぬくもりの森。静けさと湿度が、身体にそっと染み込んでいく。

昨日を静かに手放す、新しい光。光のぬくもりを触感と香りでそっと閉じ込めた。

新しい一日にふみ出す光。 前へ進む気持ちを照らす。

風・光・森の香水シリーズ。 見えない気配を、誰もが同じ場で受け取れる、感覚からひらく情報のかたち。

風・光・森の香水シリーズ。感覚からひらく、誰もに届く情報のかたち。

井上 典子

グラフィックデザインコース

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こんにちは。スウェーデン、日本と2拠点生活してます。

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