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音楽が生まれる少し前に

Composition V / Composition S / Composition I

グラフィックデザインコース 本間 夏樹

ソフトウェア
インタラクティブインスタレーション / W3607mm×D3511mm×H2039mm
アートブック / W210mm×H148mm

本制作では、音楽が生まれる少し前、まだ形や意味が定まっていない状態をデザインの対象とすることを試みている。

私たちが普段聴いている音楽の多くは、すでに完成された形で提示されている。その背後にある完成へ至る以前の状態が意識されることはほとんどない。そうした局面では、作曲者の内部に方向性や気配のみが漂い、判断や具体化がまだ行われていない。同時に、どのような展開があり得るのかを探索する局面でもある。完成を急ぐことで、その探索が十分に深まらないまま、本来はさらに深く、あるいは広く進み得たはずの可能性に触れられずに、作品が収束してしまうこともある。

本制作は、その未決定の状態を意識し、方向性を模索するための余白を構成することを目指している。各作品は異なる形式を取りながら、音楽創作に先行する感覚につながる時間や状況が現れ得るよう構想されている。

提示されるのは完成された音楽ではなく、明確な意味や方向性を持たない状態である。作品が提示するのは、あくまで始まりの位置である。

イメージを配置する視覚的操作により音のかたまりを構成するソフトウェア。縦方向に音が重なり、横方向に時間が広がる。出力される音のかたまりは完成形ではなく、模索の契機となる状態として提示される。

声をきっかけに音のかたまりが立ち上がるインスタレーション。発声は操作ではなく生成の契機として扱われ、声の特徴や語られた言葉を手がかりに、その都度異なる響きが現れる。

自然の写真と短い詩からなるアートブック。意味が定まりきらない風景に触れ、視覚と言語を通して内側の感覚を辿り、静かに模索する契機を提示する。

音楽制作の流れを整理し、本作品が扱う範囲を示した図。

三つの作品におけるモダリティと時間性の構成表。

本間 夏樹

グラフィックデザインコース

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