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ズレモンず

ズレに出会う絵本

グラフィックデザインコース 平田 文香

コース奨励賞

200mm×200mm
無線綴じ
全48ページ(表紙・裏表紙含む)

「ズレに向き合うきっかけ作り」をコンセプトとし、制作した。絵本の世界では人と人との間に生まれる小さな違和感やすれ違いが「ズレモン」という存在として現れる。ズレモンは誰かを傷つけるために現れるのではなく、人との会話や行動の隙間に潜み、勘違いや思い込みを大きくしていく。ズレモンは特別な場所にいるのではなく、日常のすぐそばにいる。学校や家庭、友人とのやり取りの中など誰にとっても身近な場面に現れ、気づかないうちに人の気持ちや関係を揺らす存在として描いた。
この世界ではズレモンを完全に無くすことはできないが、その存在に気づくことで出来事の見え方は変わっていく。そんなきっかけ作りができる作品を目指した。

些細な勘違いや思い込み、解釈の違いから生じる「コミュニケーションのズレ」が日常的に発生しやすい環境が生まれている。こうしたズレは特別な問題ではなく誰にでも起こりうる身近な現象であるが「自分が悪い」「相手が悪い」と個人の問題として処理されがちであると思う。ズレそのものよりもズレに気づけないことや話し合う前に感情が先行してしまうことが関係性の悪化や孤立感を生む要因となっている。
本作品ではそういったコミュニケーションのズレを「ズレモン」というキャラクターとして可視化することでズレを否定的なものとして扱うのではなく、当たり前に存在するものとして捉え直すことを試みている。ズレを外在化することで読者が自分自身や他者を責めるのではなく「何が起きているのか」に目を向けるきっかけを作ることを目的とした。また、ズレは人と人との間で生まれるものであると同時に人との関わりによって向き合い、解消していくことができる。ズレに気づき、立ち止まり、言葉を交わすことで関係性が修復されたり、新たな理解が生まれたりする可能性がある。

平田 文香

グラフィックデザインコース

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