「TABI’n OTO」(たびのおと)
オノマトペで旅する ナワバリ・バトル
グラフィックデザインコース 渡邊 恵美
カルタ(絵札/読札)各40種類、ゲームボード(東海道五十三次・陣地とり):A3判(2つ折り)1枚、ゲームポーン(駒):直径25mm 2種類各40個 、ルールブック:A4判(2つ折り)1枚
本作「TABI’n OTO」は、日本語オノマトペの持つ情景喚起力と視覚化の拡張性に着目した、カルタ型陣地取りボードゲームである。オノマトペは単なる擬音語ではなく、音の響きによって空気感や温度、時間の流れ、さらには感情までも一瞬で想起させる、日本語特有の感覚的な言語表現である。本作は、その「音が情景を運ぶ力」を、浮世絵の風景と結びつけ、遊びの形式へと再構築を目指している。
舞台は東海道五十三次。プレイヤーは、情景をオノマトペで詠み込んだ読札を手がかりに対応する絵札を取り、獲得した宿場町にコマを置いてナワバリを広げていく。読札は情景の一場面を切り取り、あえて説明を最小限に抑え、音とわずかな言葉だけで構成している。これにより、プレイヤー自身の記憶や体験が重なり、同じ音でも異なる風景が立ち上がる余白を作っている。
絵札にはオノマトペの頭文字を視覚的な手がかりとして配置し、言葉とイメージの接続を促す設計とした。ゲームボードは日本橋から京都までの宿場町を巡る構成とし、風景だけでなく、人々の日常や営みが感じられる場面を中心に配置している。
本作は、勝敗を競うだけのゲームではない。音を通して風景を想像し、他者と解釈の違いを共有するコミュニケーション装置である。オノマトペという曖昧で身体的な言葉を、視覚とルールの体系へと拡張することで、「ことばが風景になる瞬間」を体験として提示することを目的としている。
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日本語のオノマトペの独自性と文字の視覚化拡張性をテーマに制作しています。オノマトペが持つ、音から情景や空気感、時間の流れまでも想起させる力に着目し、それを記号化・視覚化することで新たなコミュニケーションの可能性を探究しました。卒業制作《TABI 'n OTO》は当初、情景に合う言葉を選ぶカードゲームとして構想しましたが、制作を重ねる中で「音から風景を立ち上げる」方向へと発展。最終的には、東海道五十三次を舞台に、オノマトペを手がかりに絵札を取り、宿場町を獲得するカルタ型ボードゲームへと展開しました。音と文字が生み出す想像の余白を、体験として共有することを目指しています。
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