六辻水辺公園・辻鉢木公園リノベーション計画
- 都市に生きる子供たちへ、豊かな水辺体験を!-
ランドスケープデザインコース 佐々木 克次
この計画の原点は、私自身の幼少期の記憶にあります。小学生の頃、夏休みには父の実家の近くの栃谷川でサワガニや小魚を捕まえ、普段は自宅近くの多摩川で魚釣りをして楽しんでいました。この豊かな水辺の体験が、私のかけがえのない宝物となり心に残っています。しかし、現代の都市部に住む子供たちは、こうした自然に触れ合う場所と機会が失われています。私は身近な水辺を、子供たちが自然を学べる場所に変えたいと考えました。
対象地は、さいたま市南区の六辻水辺公園と辻鉢木公園です。南区はさいたま市内で最も世帯数が多く、人口も増加している地域です。しかし、この「水辺」と名前が付く公園の魅力が十分に活かされていません。
現状には3つの問題があります。1つ目は六辻水辺公園のうるおいゾーン、にぎわいゾーンの水質の悪化、2つ目は辻鉢木公園の一般的な遊具の老朽化、3つ目はこの公園内にあるフェンスに囲まれた以前は水が流れていたと推測できる未活用空間です。そして最大の危機は、アメリカザリガニによる生態系破壊です。彼らが水草を切り、水生生物を食べ尽くし、産卵場所を奪うことで、水は濁り生物多様性が失われる悪循環に陥っています。
この現状を踏まえ、『水辺や水生生物に身近に親しめる場所』をコンセプトに、『親水エリアの新設』『ビオトープの創生』『水質改善と生態系回復』の3つの柱を提案します。この計画により、子供たちが安全に水と親しみながら、命の尊さを学べる空間を創生します。
このリノベーションにより、夏には子供たちが裸足で水に入り、メダカやドジョウなどの水生生物を観察できる風景が蘇り、水辺で遊ぶ楽しさや生き物の生命の尊さを心に刻むことができます。そして、『ザリガニ防除』と『生物浮島』の両輪で水辺の水質を再生し、生物多様性を育む。これが私の提案する、都市における豊かな水辺体験の姿です。
計画地のさいたま市南区の概要
三つの問題である、「水質の悪化」「遊具の老朽化」「未利用空間」そして、最大の危機「アメリカザリガニ」の繁殖
リノベーション計画の柱の1点目と2点目として、辻鉢木公園を水遊びや自然学習ができる親水公園へと再生 この計画では、子供たちが安全に水に触れ合えるように、水の流れに変化を付けた五つの空間で構成
子供が安全に水に触れる『じゃぶじゃぶ池』のようなエリアや 水中生物の観察や魚取りが出来るエリアも整備 立入禁止エリアには水の流れを再び復活させ、ビオトープを新設
水草を食べつくし、多くの生き物の住処や産卵場所を奪い、生態系だけでなく、水質にも大きな影響を及ぼすアメリカザリガニの継続的な防除が計画の土台
柱の3点目、六辻水辺公園への『グリーン生物浮島システム』の導入 陸生植物の浄化能力により水中のリンや窒素を吸収し、特殊な重りである水質浄化材の微生物が汚れを分解し、短期間で透明度を向上
佐々木 克次
ランドスケープデザインコース
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