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慶長遣欧使節の使節船「サン・ファン・バウティスタ号」建造について

歴史遺産コース 丹野 雅也

 慶長18年(1613)伊達政宗が派遣した慶長遣欧使節を乗せて太平洋を横断した船が「サン・ファン・バウティスタ号」である。使節船に関する史料は極めて少なく、江戸幕府のキリスト教禁止政策と鎖国政策によって秘匿・処分され、船の設計図も航海日誌も現存しない。船はどのようにして建造されたのか、二つの問いを立てて卒業研究として取り組んだ。

 第一は、通説によれば、使節船は大砲を搭載し政宗が短期間で造った仙台伊達藩の船とされているが本当なのか。当時の政宗や幕府の思惑、スペイン大使や公儀船奉行らの動向、復元船建造に携わった棟梁の著述などから、船の建造工事について考察した。
 第二は、使節船の出帆地と建造地についてであり、伊達家正史を基にする通説に対して異説が存在する。筆者は正史編纂の資料となった政宗の右筆が書き残した日記を読み解くことにした。さらに造船工事にはドック方式が必須であると考え、建造適地条件を挙げて比較検討を行った。

 本研究では、文献史学的解釈のほか一次史料を重視して解釈の可能性を探り、さらに現地を訪れて抱く疑問を検証するため物理的・科学的視点からの論証を試みて、通説とは異なる結論に至った。

丹野 雅也

歴史遺産コース

論研・卒研で学んだ思考と論証のスキルを糧として、これからも探求心を失わないようにしていきたい。

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