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歴史遺産コース 土井 靖弘【コース奨励賞】

 幕末史については、京都や薩長を中心に語られることが多いが、筆者が住むところにも幕末史があった。自宅近くに千葉大学の裏門があり、その傍らの石碑には、「維新の志士 従五位 竹内啓先生の墓」と刻まれている。石碑の主のことを調べると、「薩邸浪士隊の幹部で、幕末、下野国で騒乱を起こし、その罪で松戸において処刑された」とのこと。
 薩邸浪士隊は、鳥羽伏見の戦いの原因になった江戸薩摩藩邸焼き討ち事件を惹起した。薩邸浪士隊には、下総国出身の草莽の志士も多数参加した。
 松戸宿は、戊午の密勅(安政5年8月8日)を巡る水戸士民延数千人による小金屯集や水戸脱藩浪士による桜田門外の変(安政7年3月3日)さらに天狗党の乱、等でかなり騒がしくなった。その状況は、『井伊家史料幕末風聞探索書』等を読むと生々しい。
 江戸開城後、その夜に徳川慶喜が、松戸宿本陣に一泊して水戸に落去した。江戸は、無血開城したが、その後、下総国では、官軍と江戸城を脱出した旧幕府軍との戦争がいたる所で勃発した。その結果、庶民は徴発され、幾つかの町や村が焼かれた。
 松戸も対岸から官軍の砲火を浴びた。平和な住まいの近くにもそれなりの幕末史が存在したことに驚かされた。


千葉県

天領の松戸宿における幕末模様

土井 靖弘【コース奨励賞】

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